メタ 、 リテールメディア に参入:ウォルグリーンなど大手小売のテスト導入でも成果

DIGIDAY

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最新の広告提供により、メタ(Meta)は現在、ますます人気が高まっているリテールメディアへの参入を果たした。

メタは3月、小売業者やeコマースの広告主のパフォーマンスを向上させるために、2つの新しい広告ツールをテストしていると発表した。マネージドパートナー・アド・ライト(Managed Partner Ads Lite/MPA)により、メタはAppleのウォールドガーデンから抜け出し、リテールメディア・ネットワークを活用して、ブランドがよりパーソナライズされた広告を出せるようにしようとしている。MPAは、小売業者がメディア・ネットワークを拡張し、メタのプラットフォーム上で広告を作成し、個々のブランドパートナーや製品SKUの売上を促進することを支援する。ドラッグストア大手のウォルグリーン(Walgreens)とディスカウントストアのダラーゼネラル(Dollar General)の両社は、ここ数カ月のあいだ、メタのパイロット・プログラムをテストしている。

さらに、巨大テック企業であるメタは、よりオムニチャネルに特化した広告商品の構築に力を入れるために、ローカル在庫広告も導入した。オンラインでの購入だけでなく、店舗での購入や、ローカル在庫を移動を促進させるのがねらいだ。

デジタル広告における優位性を取り戻す

eコマースのクライアントを持つエージェンシーによると、メタはiOS14の失敗を受け、広告サービスを改善するための新しい方法を見つけようとしているという。彼らは、MPAの効果は利用可能なファーストパーティデータに依存するため、MPAを提供することは、より大規模なリテールメディア・ネットワークにとって重要になる可能性があると述べている。この新しいローカル在庫広告製品は、Googleの戦略から抜粋したもので、ブランドや小売業者によって広く利用されている広告サービスである。

ポストiOS14の時代に、メタはデジタル広告における優位性を取り戻すための努力を続けている。AIを搭載したショッピングキャンペーンツール「アドバンテージ・プラス(Advantage+)」を昨年発売し、eコマースや小売業者の広告主が、コンバージョンの高いキャンペーンを改善できるよう支援している。

メタで小売スーパー・食料品業界責任者を務めるアリシア・ラブーフ氏は、米モダンリテールに次のように語った。「我々は常にパフォーマンスに基づいた製品を構築してきた歴史があり、マネージドパートナー・アドもそれに変わりはない。リテールメディア・ネットワークは、ここ数年で急成長しており、我々は、リテールメディア・ネットワークがパートナーのために使用できるサービスを作る必要があると考え、マネージドパートナー・アドを導入した。

「小売パートナーのデータを取り込むことは、消費者インサイトを得るための非常に豊富な情報源であるため、間違いなく非常に興味深い」と代理店ディジショップガール・メディア(Digishopgirl Media)の創業者であるカティア・コンスタンティン氏は述べる。「そして、iOS 14を通じて入ってくるデータのドロップで、そのパートナーシップモデルによって、(メタの)アルゴリズムがより大きなオーディエンスプールを持つことができ、より良い在庫と、そして、おそらくより多くの在庫を持つことができる。だから私は、この先何が起こるのか、とてもエキサイティングなことだと思っている」。

ウォルグリーン、ダラーゼネラルなどの大手小売がテスト導入

メタは、マネージドパートナー・アド・ライトのテストによる初期の結果から、この広告ユニットが、「ブランドにとって、オムニチャネルのパフォーマンスを向上させる」ことを示していると述べている。ウォルグリーンのリテールメディア・ネットワークであるウォルグリーン・アドバタイジンググループ(Walgreens Advertising Group)は、メタおよび大手国内CPGブランドと提携し、75SKUのオンライン販売に最適化したキャンペーンを実施した。これにより、ヘルスレメディの売上が3.9%、スキンケア商品の売上が2.5%上昇したという。

ダラーゼネラルによると、MPAテストにより、広告主はFacebookやインスタグラム(Instagram)のニュースフィード、ストーリー、リールなどのメタ広告プレースメントを通じて、ダラーゼネラルの顧客とつながることが可能になった。

メタのラブーフ氏は、企業サイドであるウォルグリーンやダラー・ゼネラルとは、すでに非常に優れた既存の関係を持っていたという。「彼らは当社に、『我々は、自分たちのブランドと連携できる製品が必要だ。メタは我々に何を提供してくれるのだろうか?』と言い続けてきた。市場からのフィードバックを聞き、それに応えたいと思った」とラブーフ氏は付け加えた。

MPAは、「小売店のCRMデータを使って小売店のネットワークとマッチングすることで、もう少しボリュームを増やし、ファーストパーティデータをよりスマートに使えるようにする。Cookieがなくなれば、今後数年でそれは非常に重要になるだろう」と、アカディア(Acadia)のペイドメディア担当ディレクターであるアラン・キャロル氏は話した。

ファーストパーティデータは最高の武器に

Googleは以前、サードパーティCookieのサポートを段階的に廃止すると発表した。サードパーティCookieは、ユーザーが複数のウェブサイトにアクセスした際の行動を把握するコードである。この情報は、小売業者が異なるユーザーグループに対してどのような広告を表示するかを決定するために使用される。

キャロル氏の視点から見ると、「ブランドが顧客や潜在顧客から収集するファーストパーティデータは、最高の武器になる。つまり、メタが今回やろうとしているのは、むしろそのことなのだ」。

ラブーフ氏は、ローカル在庫広告は、「店舗の位置情報と在庫データを利用して、広告主が設定した半径内の距離にいる人々に広告を配信することで、小売業者が在庫商品のローカル需要を促進するのに役立つ」と述べる。

コンスタンティン氏は、同氏の代理店には今日、この広告ユニットを検討しているクライアントがおり、「どのように組み込むかについてFacebookと話し合っている」という。

また、同氏は、「この製品は、しばらく前からGoogleで利用できたので、彼らは間違いなくこの製品が何をするものなのかを知っている。しかし、今のハードルは、データをメタに取り込むことで、在庫データが定期的に自動で送られてくるようにすることだ」と述べる。

位置情報の共有

キャロル氏は、ローカル在庫広告は、マイクロソフト(Microsoft)とGoogleの両方のプラットフォームで非常に長い間存在してきたと付け加えた。「一言で言えば、ユーザーの位置情報がわかっていれば、最寄りの店舗でどんな商品が手に入るかを正確に伝えることができるように、商品の在庫に関するより詳細な情報を渡すことができるようになる、ということだ」。

キャロル氏は、ソーシャルネットワーキングサイトでは、ユーザーが自分の位置情報を共有することに敏感になっている可能性があるため、ローカル在庫広告は、GoogleやBing(ビング)のような検索エンジンに比べて、それほど効果的ではないかもしれないと注意を促した。「自分の位置情報が積極的に共有されていることを知ると、人は少し気難しくなるものだ。検索エンジンでそれを見る方法は、ソーシャルメディアサイトでそれを見る方法とは大きく異なることになるだろう」。

また同氏は、MPAが最終的に、「大規模で効率的なレベルを追加することができれば、(ライバルから)資金をシフトするのに役立つツールになると考えている。というのも、昨年はすべての異なるプラットフォームで、効率性が非常に圧迫されたからだ」と話した。

コンスタンティン氏は、これはメタが、「彼らの広告スイート内で積極的に革新し、いくつかの新機能とかなり成熟した製品を展開している」ことを想起させるものだと付け加えた。

[原文:Meta tests new ad offering in partnership with retail media networks
]

Vidhi Choudhary(翻訳・編集:戸田美子)
Image via Meta

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