もはや既存の“映画”じゃない。
世界で一番ヒットした映画である『アバター』(監督:ジェームズ・キャメロン)。そのリマスター版『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』が、9月23日から2週間限定、10月6日まで各地の映画館で上映されています。
TOHOシネマズ新宿のIMAXレーザー3D上映で鑑賞したところ、これまでにない体験でしたので、何がすごかったのか簡単に紹介しようと思います。
3Dがすごい
まず『アバター』最大の特徴である3D映像。これがすごい。
僕はオリジナル版を未見のため、以前のバージョンとの比較ではなく、単純に2022年の最新作映画として驚くべきクオリティでした。
よくある3D映画の違和感として、手前にいる人物Aがアクリルスタンドのように平面的という、「レイヤー構造が目に見える」ケースがありますよね。
これは2D映像を後処理で擬似3D化してるから起こる現象であり、個人的にはほとんどの3D映画がこのタイプという印象。ですが、『アバター』はしっかりと3D映像として撮影されているので、レイヤー構造ではなくリアルな3Dになっています。
そして闇雲に3Dを使うのではなく、遠景のシーンなんかは(おそらく)2Dなんですよね。これによって目の疲れも軽減されるし、立体的なシーンはより立体的に感じられるメリハリがついて、ギミック最優先ではなくしっかり映画として作られているのだと実感できました。
IMAXがすごい
2022年基準で見ても3Dがすごかった理由の一つとして、やはりIMAXの力は大きいと思います。
オリジナルは2K/SDRだったの対し、リマスター版は4K/HDRとなっており、3D CGもすべてレンダリングし直されているそうですが、この没入感はすごいものがありました。
本当にそこに世界がある感覚、とでも言うべきでしょうか。
もちろん従来の3Dと比較して映像を明るく感じられるIMAX 3Dの恩恵もあるはずです。
2009年オリジナル版『アバター』の時点でも、ジェームズ・キャメロンは映像技術が自身の構想に追いつくまで約10年間企画を寝かせていたそうですが、2022年の技術でよりイメージに近い世界を構築できたのでしょう。
この辺は『スター・ウォーズ』が1977年公開当時と現在のバージョンでは別物になっているのと近いかもしれませんね。
ハイフレームレートがすごい
で、今回『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』を観てとくに驚いたのが、HFR(ハイフレームレート)だったこと。
映画というのは基本的に秒間24コマで作られており、テレビやYouTubeで一般的な秒間30コマより少しカクカクした感じが、独特の「映画っぽさ」につながっているんですね。
でも、『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』のHFR上映(一部劇場や一部上映形式でのみ対応)では、秒間48コマと、通常の2倍のコマ数になっており、妙にヌルヌルしています。
近年YouTubeでは60コマのアップロードも珍しくなく(ヒカキンTVも60fpsですね)、おそらくこの流れは映画にも来るだろうと思っていましたが、実際目の当たりにすると違和感がものすごいことになっていました。
しかし、それはおそらく自分の中に「映画は24コマ」という強い感覚があるから。
あまり映画を観ない人なら大して違和感を覚えないかもしれませんが、アバターのように物語世界への没入感を重視する作品ならばHFRの方が効果的だと思います。
ゲームだってフレームレートが高い方が没入感ありますもんね。
そして、そもそも映画が24コマであるのも、当時の技術的制約によって決められたフォーマット。つまり、結局は慣れの問題で「映画的」とされているだけなんです。
個人的には24コマへの偏愛もありますが、表現の可能性が広がるのは間違いなく喜ばしいことだと思います。
新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 』は新たな映画体験を作る?
12月6日(金)に劇場公開される『アバター』新作、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 』は、上記の特徴すべてを踏襲してさらにアップグレードされた映画になるはず。
というか、その前哨戦が本作『アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター』なんじゃないかと思います。
オリジナル版を観た方も、未見の方も、ぜひこの機会を逃さずIMAXやDolby Cinemaの3D版で体験してみてください。