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次に来るホットなテイクアウトスポットは、地域の食料品店の「グラブ・アンド・ゴー」(grab-and-go:でき合いの食事を手に取ってすぐに店を出られる)コーナーかもしれない。
「グラブ・アンド・ゴー」増加中
ロネッコスーパーマーケット(RoNetco Supermarket)のメンバーであるウェイクファーン・フード・コーポレーション(Wakefern Food Corp.)は8月、グラブ・アンド・ゴーを提供するフレッシュ・トゥー・テーブル(Fresh to Table)という店舗内コンセプトを、ロネッコショップライト(RoNetco ShopRite)の5つの店舗で開始した。マイヤー(Meijer)も、1食分ずつ温めて食べるタイプの新商品ラインを8月に開始した。これに対してシュナックマーケッツ(Schnuck Markets)はドアダッシュ(DoorDash)と提携し、ミズーリ州、イリノイ州、インディアナ州にある25店舗で調理済み食品を配達するようになった。
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さらに市場シェアを増やすため、一部の食料品店は、消費者がすぐに持ち帰れるでき合いの食事や調理済みの食品に投資し、レストランに似たモデルを取り入れている。レストランで食事をするコストが上昇するなか、食料品店は、買い物客がテイクアウトに代わる安くて便利な選択肢として、食料品店の調理済み食品を選ぶことに期待している。市場調査企業IRIのデータによると、このカテゴリーの売上額は2020年から2021年に18.4%増加して210億ドル(約2兆9600億円)に達した。
ソフトウェアおよびコンサルティング企業のブルーヨンダー(Blue Yonder)でグローバル小売業界戦略担当コーポレートバイスプレジデントを務めるシャノン・ウー・レブロン氏は次のように述べている。「我々は常に、自分や家族の食事にかかる時間とコストを節約する方法を探し求めている。調理済み食品は、クイックサービスレストランでの食事や、ゼロから調理する家庭料理の優れた代替品となる」。
パンデミックで自宅に閉じ込められていたころ、多くの人々が選んだ趣味のひとつが料理だった。パンデミック前の習慣に戻りはじめ、職場や学校への通勤も再開された現在、人々は短時間で食事ができる選択肢を探し求めていると、レブロン氏は語る。従来型のレストランに比べると、調理済み食品分野の多くのメニューは一般的に安価だ。
持ち帰り用食品はレベルアップしている
食料品店に調理済み食品を並べるというコンセプトは、決して新しいものではない。しかしこの数カ月のあいだ、食料品店のこのセクションは、従来のロティサリーチキンやクラブサンドイッチの枠を超えてアップグレードされた。
たとえばマイヤーは、新しい調理済み食品のラインを「レストランスタイル」と表現している。このラインでは、チキンアサダ、チキンアルフレッド、ペストチキンなどの食事を販売している。一方でザ・ジャイアント・カンパニー(The Giant Company)も昨年、家庭向けに、「オール・セット・イン・ア・ボックス(All Set in a Box)」という、調理済み食品の販売を開始した。これは、クイックサービスレストランで販売されている箱詰めの料理にならったものだ。
カンター(Kantar)でシニアソートリーダーを務めるバリー・トーマス氏は次のように述べている。「食料品店が飲食業界に参入してきた。多くの食料品店はこの数年間、一歩下がって観察し、この業界を少し違った形で捉えている」。
食料品店には、パネラ(Panera)のようなファストカジュアルやファストフードチェーンと同様の客層を獲得する機会があると、トーマス氏は付け加えている。食料品店のカーブサイドや店舗内での受け取りなどのサービスは、ある意味でドライブスルーの体験を模倣したものだ。たとえばホールフーズ(Whole Foods)では、チーズピザやサーモンアボカドロールのような調理済み食品をアプリで注文し、配達か持ち帰りのどちらかを選択することができる。
配送業者とのパートナーシップ
ほかの企業も、パートナーシップを活用して、食事の配送サービスに食い込もうとしている。たとえばウォルマート(Walmart)とブルーエプロン(Blue Apron)は共同で、Walmart.comでミールキットを購入できるサービスを6月から開始した。インスタカート(Instacart)は食料品の配達を中心として自社ビジネスを構築しているが、1月からは、食料品店で購入した調理済み食品を即日配達で受け取れるようにした。
カンターのリテールインサイト責任者を務めるレイチェル・ダルトン氏は次のように述べている。「食料品店が、できたての調理済み食品という事業分野全体を成長させるには、こうした配達業者とのパートナーシップを続けるのが有益だと、私は考えている。消費者のなかには、宅配を選択する層がいる。パートナーを提携してできたての食事を宅配できるようにする食料品店は、この分野でのシェアを拡大する機会を得ることができる」。
コンサルティング会社のピュブリシスサピエント(Publicis Sapient)で北米の小売戦略責任者を務めるヒルディング・アンダーソン氏は、調理済み食品は、食料品店がワンストップショップに近づく新たな方法だと語る。
同氏は次のように述べている。「これは、好循環をもたらす弾み車だと考えることができる。これらの店舗が、調理済み食品のコーナーを利用して、料理ができたてのうちに来店して購入するよう消費者を動機づけることができる。そうすれば、ほかの買い物も促され、買い物かごの中身が増える」。
調理済み食品コーナーへの投資
しかし、調理済み食品は消費期限が短いため、食料品店は廃棄を避けるために需要を正しく予測できる必要があると、同氏は語っている。専門家たちは、食料品店が調理済み食品セクションのために新たな従業員を雇用してトレーニングすることも必要になる可能性があるとしている。
調理済み食品へのこうした投資がすぐに止まることはないという点で、専門家たちは一致している。食品のオプションを増やすことに加え、食料品店はこれらの調理済み食品を置く場所や、店内で食べるためのスペースに投資し続けるだろうと、アナリストたちは述べている。アジア食品店のナインティーナイン・ランチ・マーケット(99 Ranch Market)がサウスサンノゼに新しく開設したモールはすでに人気で、フードホールに長い列ができている。ナインティーナイン・ランチのクイックサービスカウンターでは、点心、台湾ブリトー、豚のスペアリブなどを提供している。
アンダーソン氏は次のように述べている。「利益が出にくい環境に対応する方法として、調理済み食品への投資は今後も続くだろう。このような環境では、消費者の行き先も、レストランから食料品店に変化していくと可能性があるだろう」。
[原文:Grocery stores are using grab-and-go food to inch into restaurant territory]
MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Wakefern Food Corp