TikTok 、ホリデーシーズンに向け新たな広告ツールを準備中:「ユーザー体験のなかにショッパブル広告を取り入れる」

DIGIDAY

TikTokは、ホリデーショッピングシーズンに向けて新しい広告オプションを展開する。マーケティング担当者やクリエイターをターゲットに、3つの新機能を用意し、広告主はインフィード動画に自社製品をリンクさせたり、動画視聴者を製品カタログへと誘導したり、ライブ動画にクリッカブル広告を掲載したりすることができるようになる。

TikTokは、これらの機能を通じてユーザーが商品を発見したり、購入したりすることが容易になると期待している。また、これらの機能により、広告主は、ブランドのショッパブル動画を見て商品を購入する可能性が高いユーザーにリーチすることで、Facebookの「悪名高い」ターゲティングに優れたアルゴリズムを活用・連携できるようになる。

TikTokは、ブラックフライデーからクリスマスまでの1年で最も忙しいホリデーショッピングシーズンに合わせる形で機能をリリースする。一方で、これは特にプラットフォームによる広告配信サービスに不安を表明している広告主に歩み寄るための一歩でもある。10億人を超えるTikTokユーザーの存在を考慮し、広告主が彼らへリーチできるよう環境整備に取り組んだ形だ。

ユーザーにショッパブル広告を紹介可能に

「ブランドが、消費者の購買意欲が最も高まるホリデーシーズンに新製品を発売するのと同じ様な文脈で、TikTokは自らの哲学を広告主へのマーケティングに応用している」と、eコマースソフトウェア開発会社、トリプルウェイル(Triple Whale)でブランド責任者を務めるアレクサ・キルロイ氏は述べる。

これは広告主にとって最新のギミックになるが、このTikTokという短編動画アプリは今年すでに、すっかりマーケティング担当者を魅了して止まない。2022年が始まって以来、ジャンルを問わず世界中にTikTokを使ったQVCスタイルのライブショッピングが採用されたが、その結果は実に様々だ

「理想的なタイミングで提示される必要があるのは言うまでもない。ただ、広告主とTikTokのオーディエンスの両方にとって、どのような展開が見られるのかは非常に興味深い」と、総合広告・マーケティング会社EGCグループ(EGC Group)のプレジデント、ニコル・ペン氏は話す。

今回の新しいショッピング広告サービスは、Facebookのインフィード広告によるアプローチと同じスタイルで、広告主がインフィード動画広告で1つ以上の商品を紹介し、詳しく説明する手法だ。ブランドは「動画ショッピング広告(Video Shopping Ads)」と呼ばれるこのツールを使用することで、購入する可能性の高いユーザーにショッパブル動画を紹介することができる。この広告では、紹介された商品のランディングページを作成するだけでなく、ユーザーが購入する可能性を判断するためのスコアも生成される。

2021年のホリデーシーズンは問題続き

現時点では、米国と英国を拠点にする限られた広告主のみ(TikTokは名前を挙げていない)、ベータプログラムで動画ショッピング広告をテストすることができるにとどまっている。また当然ながら、TikTokは自社のショッピング広告のアルゴリズムの仕組みを明らかにしていない。

米DIGIDAYの取材に応じてくれたマーケティング担当者は、「TikTokのサービスは浮き沈みの多いホリデーシーズンを乗り切るのに役立つ」と語っている。特に2021年はサプライチェーンに始まり、iOSのアップデート、プラットフォームのボラティリティに関連する数多くの問題など、様々な難題が発生した。

同マーケティング担当者は、在庫問題が2022年のホリデーシーズンの最重要課題となり、ショッパブル広告を制作する際に考慮すべき点になるだろうと付け加えた。

「ブランドがショッパブル広告を扱う際には、エンドユーザーの体験が期待に沿うものとなるよう設計することが最も重要だ」とオムニチャネルプラットフォームであるスカイ(Skai)のCMO、マーゴ・カーンローズ氏は言う。

インフルエンサーとショッピング

TikTokは、この新しいサービスがインフルエンサーに刺さり、TikTokユーザーとブランド各社の商品との間のギャップを埋めてくれることも期待している。特に、ライブストリーミングがホリデーシーズンまで続くことは大きな要因だ。「これによって、ブランドがインフルエンサー自身と契約を結ぼうとする可能性が高くなる」と、キルロイ氏は述べる。

「TikTokが受け入れられているのは、クリエイターとそのオーディエンスの間に強い共通性があるからだ」とカーンローズ氏。「ショッパブル広告は、インフルエンサーにとって、彼らが情熱を注いでいる本物のブランドをフォロワーに届ける大きなチャンスなのだ」。

しかしマーケティング担当者は、そのブランドがこれまでに培った信頼を損ねないよう、ほかのTikTokコンテンツ同様に、広告パートナーとは有機的な関係に終始するよう注意を促されている。「ブランドと広告主は、ショッパブル広告への移行において、過剰にならないように意識する必要がある」とカーンローズ氏は語る。

[原文:Marketers look to TikTok’s new video ad offerings ahead of this year’s busy holiday shopping season

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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