ポッドキャスト における動画広告に「ゴールドラッシュ」が起きる:「動画は可能性を広げてくれる」

DIGIDAY

パブリッシャーのポッドキャスト担当者らが動画を伴う実験を強化するなか、このフォーマットがブランドに提供できる数々の機会や、どの投資チームがその購入を担当するのかについて、ポッドキャスト広告バイヤー勢のあいだで話題の中心になりつつあると、DIGIDAYが話をきいた4人のエージェンシー幹部は語る。

ビデオポッドキャストの可能性

「人々があれに反応している様子は、私に言わせれば、まさにミニゴールドラッシュだ。多くの人がポッドキャストを(中略)YouTubeで次々に買っており、市場はいま、それを中心に再編されつつあるというのがもっぱらの噂だ」と、音声広告エージェンシーのオックス・ロード(Oxford Road)CEOであるダン・グランジャー氏は話す。

UMの統合投資部門SVPモーリー・シュルツ氏によれば、このところ、パブリッシャーとビデオポッドキャストの可能性について協議する回数が増えたという。そうした類が話題になるのは、2022年の第4四半期から増えだしたと、ウェーブメーカーUS(Wavemaker US)のマネージングパートナー/エグゼクティブインベストメントディレクターであるアダム・アーネガー氏も指摘する。

ビデオポッドキャストを取り巻く最近の熱狂ぶりを受けて、広告バイヤー勢はビデオポッドキャストにブランド広告を打つ可能性や、オーディオ(音声)からビデオ(動画)へのクロスオーバーに対応する投資チームの編成について協議しているという。

動画広告を手がける音声チーム

ビデオポッドキャストの広告は当然デジタル動画になるが、メディアプラン自体は引き続き広告エージェンシーの音声投資チームが手がけている。というのも、「ビデオポッドキャスト広告は基本的に、オーディオポッドキャスト契約の一部だからだ」とエージェンシー幹部らは指摘する。

「インプレッションが10万で、そのうち5万がYouTube、残り5万がオーディオの番組があれば、そうした動画を含む10万のインプレッションを欲しいと、我々は考える。目と耳に訴えるほうが広告の反応という点において、より大きなインパクトを残せるはずだからだ。したがって、そうしたユニットは有益であり、ポッドキャストの定義に縛られて自らの可能性をわざわざ狭める必要はない」とグランジャー氏はいう。「これはいわば、一挙両得的なモデルになると思う」。

ウェーブメーカーでは、売り込みはまず音声投資チームに行き、続いて動画チームに受け渡されるという。「いまはまだ、どこで扱うのが最適なのか見定めているところだ」とアーネガー氏は話す。「核である音声から対応し、それを動画への導線として進化させていく」。

ただし、「それはあくまでビデオポッドキャストが『よりメインストリームに』なり、より多くのポッドキャストパートナーらがそうしたプロダクトの制作を始めてからの話だ」と、同氏は言い添える。「いまはまだ様子見の段階であり、各クライアントのために何がベストなのか、検討しているところだ」。

一方でUMは、全チャネルを見る統合投資チームを有しており、それゆえ特別なことはしていないと、シュルツ氏は話す。「オーディオだけでは不十分だと考えていまだに二の足を踏んでいる広告主に、音と映像が揃うのなら安心だと思わせられる効果もある」。

トラッキングは困難

とはいえ、クロスデバイスアトリビューションはYouTubeといったプラットフォームでは不可能だ」とホライゾン・メディア(Horizon Media)のアドバンスド&デジタルオーディオ部門VP/マネージングディレクターであるマリア・チュリン氏はeメールで指摘する。つまり、モバイル機器のポッドキャストリスナーから同プラットフォームのデスクトップビューアーに至るトラッキングは困難であるという。

一方で、「アッパーファネルのKPIで成功度を測るクライアントには、創造的な発想、ブランドインテグレーション、より大規模なスポンサーシップの機会を手にできるような素晴らしいチャンスになると思う」とチュリン氏はいう。ただし、CPAやCAC、ROASにフォーカスするローアーファネルのクライアントに対しては、「売り込みが難しくなる」とも付け加えた。

ブランドを織り交ぜる機会が増える

典型的なビデオポッドキャスト広告のフォーマットは、ポッドキャスト音声広告のバックボーンである「個人のおすすめ」に似ているとエージェンシーの幹部らは話す。

また、「動画はアンボクシングやプロダクトプレースメント、ブランドロゴなど、ブランディングの可能性を大いに広げてくれる」とチュリン氏は言い、「インタビュー番組の収録中、ポッドキャストホストのすぐ脇のテーブルのうえにコーラのボトルを置いておく、といったごくシンプルなやり方も可能だ」と、グランジャー氏は話す。

そのほか、シュルツはライブストリーミングプラットフォームのTwitchで広告主がコンテンツのスポンサーになる方法と比較し、「形式も内容も違うが、コンテンツを主催するパーソナリティがいるという点では似ており、ブランドを織り交ぜる機会が増える」と話す。

YouTubeなどの動画プラットフォームにおけるプレロール広告やミッドロール広告はいわば「テーブルステークス(いま場に出されている賭け金、の意)であり、ビデオポッドキャストならば、それよりも統合的な広告機会の頻度が増すと、同氏は言い、「それはやはり番組ホストがいるからであり、そもそもポッドキャストが根本にある。我々自身は、そのコンテンツの中にどうしたら入っていけるのか、積極的に探っていくことになる」と続ける。

オーディオフォーマットに付随する動画アセット

ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)のコンテンツデベロップメントおよびプロダクション部門VPタイラー・プライス氏は、自社アプリB/Rで配信している「The Voncast」や「Taylor X」といった番組のライブストリームポッドキャスト録音について、「スポンサーシップを販売している」と話す。

そしてそれを受けて、同社はそれら動画アセットをソーシャルメディアおよびYouTube上で流通(その広告主がどの程度コミットするかによるが)させ、その動画を通常の広告でマネタイズしていく。ステート・ファーム(State Farm)とチェース(Chase)がこれまでにB/Rのポッドキャストライブストリームのスポンサーになっていると、同氏はいう。

「いまこの時点で、オーディオフォーマットに付随する動画アセットを持っていないのは、せっかく付いたオーディエンスを置き去りにし、手にできるはずの金をみすみす置き去りにしているのと同じことだ」。

[原文:‘Mini gold rush’: How ad buyers are handling video podcast inventory

Sara Guaglione(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

Source

タイトルとURLをコピーしました