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フィグス(Figs)の共同創設者であるトリーナ・スピア氏とヘザー・ハッソン氏は、2021年5月にニューヨーク証券取引所に株式を上場し、オープニングベルを鳴らした。
それから1年と少しが経過した今、D2Cの医療用衣類ブランドである同社は、引き続き医療従事者のあらゆる衣服のニーズに対応し続けることを計画している。同社の焦点のひとつは、自社の商品をより多くの国々で販売し、スクラブ以外にも多くの商品を提供していくことだ。
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2013年に創設されたフィグスは、現在では米国以外に、カナダ、英国、オーストラリアなど10カ国に展開し、スクラブ、ジョガー、白衣などの商品を販売している。ヘルスケアはニッチ市場だが、急速に成長しつつある職業で、労働統計局(Bureau of Labor Statistics)のデータによると、雇用者数は2020年から2030年のあいだに16%増加すると予測されている。同社の実収益は第2四半期に前年比で20.9%増加し、1億2220万ドル(約174億円)に達したが、これはアクティブな顧客数の増加によるものだ。4月にベルギー、フランス、ドイツなど7つのEU諸国で新たにソフトローンチした後、同社のグローバル事業は、マーケティングが最小限だったにもかかわらず18%増加した。
同社は現在、根幹のD2Cを維持しながら成長を続けようと試みている。CEOを務めるスピア氏は、米モダンリテールとの対談において、同社のビジョンと、今後数カ月のあいだに成長を達成するための計画について語った。フィグスは、ポップアップ店舗やほかの小売形式など、独自の対面ショッピング体験を立ち上げることに関心を抱いていると語る。以前、パンデミックより前にロサンゼルス、カリフォルニア、ニューヨークでポップアップ店舗を開設したことがある。しかし、このような野心とは別に、同社は依然としてオーガニックチャネルで大きな成長を画策している。
スピア氏は次のように述べている。「当社が他社と異なる点は、その多くが口コミによりもたらされていることだ。すべての医療従事者は歩く広告塔で、当社のために次の顧客を獲得してくれる。また、彼らの口コミのダイナミズムは極めて独自のものだ。これによって当社はマーケティング経費を効率的に活用でき、収益性のある方法で成長してきた」。
ラインナップの拡大にあたり、同社は医療従事者がスクラブの内側と外側に着るレイヤーに注目している。投資家やアナリストとともに行った第2四半期の決算発表で、スピア氏は同社のアンダースクラブカテゴリーが前年比で60%成長し、同社のライフスタイル商品全体では前年比で70%成長したと述べた。
以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。
◆ ◆ ◆
――フィグスは、医療従事者にさらに多くの商品を提供する計画をたびたび発表してきた。どのようにそれらを実行する計画なのか?
医療従事者が現在何を着ているかを考えると、アンダースクラブカテゴリーには、当社が行えることが数多く存在する。医療従事者の多くが着ているのは、綿の長袖シャツだが、これはテクニカルなものでもなく、パフォーマンスに基づくものでもない。
レイヤード(重ね着)する組み合わせにおける別のアイテムで、大きなチャンスとなるのが、アウターウェアだ。フィグスが出る以前は、医療従事者はザ・ノース・フェイス(The North Face)やパタゴニア(Patagonia)のフリースを着ていた。これらは優れたブランドだが、屋外でハイキングや岩登りなどのスポーツを行うために特化したものだった。当社のフリースやベストは、屋内の医療機関で着るために作られたものだ。
これらの商品はすべて、当社のレイヤードの組み合わせの一部になった。このようにレイヤードは、ビジネスの主要な成長要因であり、長期的にそうであり続けるだろう。
――フィグスが国際的な拡大に注力することを決定した理由は何か?
医療関係者のなかには、フィグスのことをまだ知らない人が大勢いる。そのため、当社にとっての大きな優先事項は、そうした人たちを取り込み、当社のブランドを紹介することだ。当社のブランド認知はわずか22%程度にすぎないため、医療業界の多くの人にフィグスを紹介する大きな機会が存在する。そして、これは米国だけではなく全世界で行うことができる。
当社はEUの7カ国で新たにサービスを開始したばかりだが、大いに期待している。この観点から、我々が現在実際行っていることは、非常に強力な基盤の構築とローカライズだ。これは、マーケティング、通貨と支払い、そしてチェックアウトという観点からのローカライズだ。
医療業界のコミュニティは全世界で約1億2000万人の医療関係者で構成されるが、そのコミュニティ全体に我々がサービスを提供できるようになるのは、時間の問題だ。
――ほかのチャネルに拡大することはあると思うか?
我々は、D2C企業であることを強く意識している。そして、当社にとってD2Cとはオンラインの販売だけでなく、オフラインでの販売も意味する。つまり、チャネルのコントロールの問題だ。
そこで重要なのは、商品の製造方法から販売方法までのすべての過程において、製造全体をコントロールする、まさに垂直統合型の企業であることなのだ。
ほかの団体や卸売業者を経由して販売することは考えていない。そのため、ポップアップショップや実店舗での販売も視野に入れている。
――このカテゴリーに参入する新規業者とどのように差別化を図る予定か?
実際の数字を見れば、新たに参入する企業は非常に小規模だ。当社にもっとも近い競合他社でも、当社の10分の1程度でしかない。
フィグスは、左も右も見ず、自分たちの仕事に集中している。我々はイノベーターであり、ナンバーワンであり、この分野のリーダーだ。そのため、当社はより良く、より速く、よりスマートに変化し続けていく必要がある。
本物のブランドを構築するのは非常に大変だが、我々は過去10年間、それを行ってきた。当社は本物のブランドを構築し、重要かつ有意義な方法でコミュニティとつながってきた。今後もこの取り組みを続けていく。
MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Figs