ケータリング に力を入れるレストランが増えている:コロナを経て収益源の多様化を模索

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全国展開のレストランチェーンが思い通りに進むことができれば、次回の社員旅行にブルーミングオニオン(ハンバーガーチェーンアウトバックのサイドメニュー)を添える企業が増えるだろう。

収益源のひとつになりつつあるケータリング事業

グループでの集まりが全盛のいま、多くのレストランチェーンはケータリングビジネスの成長をめざしている。レストランは突然のパンデミックによって、生き残りをかけてデリバリーやeコマース販売への急激な転向を余儀なくされた。レストラン店内での夕食は復活してきたが、全国およびローカルレストランはより多様化された収益源を構築するため、ケータリングをますます重視するようになってきている。

オンラインのケータリング市場は今後数年間は成長し続けることが期待されている。これは特に、従業員のオフィスへの復帰を呼びかけるダウンタウンの会社が増えていることが理由だ。これに対して、サブウェイ(Subway)、トゥルーフードキッチン(True Food Kitchen)、アウトバック(Outback)などのレストランは、ケータリングプログラムに費やす時間とリソースを増やし、パンデミック後の行動習慣に適応するためこれらの分野に多少の見直しを行ってきた。

パンデミックの開始時にビジネスの85%を一夜にして失ったあとで、ケータリング注文プラットフォームであるイージーケーター(ezCater)のB2B需要は増加しつつある。同社の最高顧客ケアおよび執行責任者を務めるマイク・オハンロン氏は、同プラットフォームのB2Bソフトウェアおよび消費者向けマーケットプレイスは、ポストコロナとなり集会が増えたことから持ち直してきていると、米モダンリテールに語った。

ソフトウェアプロバイダである同社は、全国展開の大手チェーンとローカルレストランの両方と協力しており、これらのレストランから、プラグアンドプレイ(接続してすぐに利用できること)のケータリングソリューションへの関心が増していると、オハンロン氏は語る。「当社のネットワークの半分は、地域チェーンまたは単一店舗の独立系レストランが占めている」と同氏は述べている。

全体として、イージーケーター・プラットフォームにおける毎月の注文量は2022年1月から現在までに77%増加しており、今年もっとも注文された商品はサンドイッチだ。さらに同社は現在、自社プラットフォームに9万5000のケータリングパートナーを抱えており、これは前年比で28%増加している。

職場への復帰イベントへのサービス

ニューヨーク市を拠点とするトウェルブ・チェアーズ・カフェ(12 Chairs Cafe)は現在2つの店舗で操業しており、公式にプロモートされているケータリングビジネスがないにもかかわらず、イベントや会社のケータリングが増加していると語る。「当社は、店内飲食ビジネスと並行してケータリング事業の拡大もはじめた」と同氏は述べている。

トウェルブ・チェアーズのブルックリン店舗でジェネラルマネージャーを務めるローテム・イチャキー氏は、需要の急増に応じてケータリングを開始した。同氏は、ワクチンの接種開始が昨年はじまってから、特にオフィスや家族が結婚式、誕生日パーティー、バルミツバー(ユダヤ教の成人式)などの集まりを開催することにより「ケータリング要求が大幅に増加した」と、米モダンリテールに語った。「いくつかの会社は500人から1000人分の注文を定期的に行い、『Covid対策された』個別包装の注文を希望している」と同氏は述べている。

今日までのところ、トウェルブ・チェアーズのケータリングの注文はほとんど口コミと、最近行ったポップアップ店舗や、YouTubeおよびニューヨーク・ファッションウィーク(New York Fashion Week)とのコラボレーションによるものだ。しかし、需要がオーガニックで発生するため、オンザフライの計画が必要になると、イチャキー氏は語る。一例として、同社は現在自社のプライベート・イベント空間のキッチンを使用して、このような大規模の注文を充足している。「個別の注文とイベントはそれぞれ大きく異なるため、需要に対して最適な対応を行うよう、自社のケータリングプログラムを作り上げている最中だ」。

オフィスへの復帰に対応するケータリング

多くの全国チェーンは、無料の食事の特典によって、オフィスに復帰する従業員を引き寄せることを、賭けに対するリスクヘッジとしている。たとえばアップルビーズ(Applebee’s)はケータリングメニューを、サイドメニューののウイングやサラダも含めるよう拡大した。同社のチェーンは現在、600の店舗でオフプレミス(買った場所から離れて消費することになる小売)のケータリングを行っている

別の例はサブウェイだ。同社のケータリング担当ディレクターを務めるジェン・サンダース・ヘインズ氏は、同社は15年以上にわたってケータリングサービスを行ってきたが、最近になって「オフィス内業務と対面集会の再開を念頭に置いて」総合的なケータリングプログラムを再起動したと、米モダンリテールに語った。

この再起動の一部として、同社はこの夏に自社のケータリングビジネスも刷新し、1万店を超える同社の店舗をイージーケーター・マーケットプレイス(ezCater Marketplace)に参加させることになった。この一新されたケータリングプログラムは5月に開始され、多人数のグループの注文に簡単に対応できるよう設計されたものだ。

「一新したケータリングプログラムの一部としてランチボックスのバンドルを拡充し、顧客がサンドイッチのすべてのバラエティやトッピングを自分自身で選択しなくても、食事のオプションを簡単に選べるようにした」とヘインズ氏は述べている。同社のランチボックスのバンドルには現在12のランチボックスと12の飲料ボトルが含まれ、自由に選択でき、事前のカスタマイズは必要ない。食品の柔軟性の関係で、このケータリングオプションは過去数カ月にわたって同社のもっとも一般的なメニュー品目のひとつになったと、同氏は語っている。

企業のケータリングに賭けている全国チェーンはサブウェイだけではない。アウトバックなどのレストランチェーンの親会社であるブルーミンブランズ(Bloomin’ Brands)は、ケータリングビジネスの成長に「徹底して」注力していると、今年前半に語った。同社のレストランチェーンのひとつであるイタリアングリルのカラバス(Carrabba’s)は、2019年から2021年までにケータリングの売上額が46%増加したと報告している。

これに対して、ブルーミンブランズはアウトバック用のデジタルケータリングプログラムの立ち上げを4月に決定し、現在は481のアウトバック店舗で利用できる。

ケータリングの成長予測に関する声明で、アウトバックのプレジデントを務めるブレット・パターソン氏は、同社が「オフィスに復帰する従業員へのケータリングに特別な関心を抱いている。顔合わせのためであれ、忙しい日の会合であれ、良い食事を一緒に味わうことには大きな意味があるからだ」と述べている。

トラフィックが安定しない状況における収益の多様化

小規模なレストランチェーンでも、企業ケータリングはこれまでの年よりも優先度が高くなりつつある。パンデミックによって、レストランにおいても収益の多様化が重要であることが裏付けられたのが理由だ。

トゥルーフードキッチンは、季節の料理に特化したレストランチェーンで、全国に40を超える店舗を保有しており、今年になってケータリングビジネスの刷新を行ってきた。同社のマーケティングディレクターを務めるクリスティーン・フェリス氏は、同社が昨年秋にケータリングメニューを刷新し、売上を推進するイニシアチブに移行したと語る。同社は、まず店内受け取り用とデリバリー用の両方に対応した室内注文用ソフトウェアチャネルを昨年10月に開始し、そのあとで2020年3月になってイージーケーターに参加した。

ケータリングは同レストランのオフプレミスビジネスを補完するため役立っており、ケータリングプログラムへの認知が広がるにつれてビジネスのより大きな部分になるだろうと、フェリス氏は語る。今後は秋に、プログラムに対する注目を集めるため、新しいブランドのパッケージメニューとランチボックスを発売する予定だ。

グループケータリングもまた、同社に固有の問題を解決するため役立っていると、フェリス氏は語る。「当社にはシーズン外の市場にいくつかのレストランが存在するため、ケータリングによる追加売上は、店内飲食ビジネスの減少を相殺するため役立ってきた」と同氏は付け加えている。

レストランの運用会社が、インフレ、訪問客数の変動、デリバリーの需要など、いくつもの課題に直面するにつれ、企業からの注文は急速に、成長のための大きな分野となりつつある。

サブウェイのヘインズ氏は次のように述べている。「ケータリングの将来は有望で、調査によれば世界がパンデミックから回復するにつれ、今後数年間に大きな成長が予測されている。客の好みは急速に変化しつつあり、当社はそれらの要求の変化に対応するためイノベーションと適応を続けている」。

[原文:With events back, restaurant chains bet on catering programs to drive sales]

GABRIELA BARKHO(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)
Image via ezCater

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