エリザベス・アーデンは ジェネレーティブAI を新VRストアにどのように活用しているのか?:いち早く採用した企業のひとつ

DIGIDAY

エリザベス・アーデン(Elizabeth Arden)は、新しいバーチャルストアでのマーケティングイメージでジェネレーティブAIの世界に参入した。

体験型eコマース企業のオブセス(Obsess)が制作し、5月16日にローンチした没入型VRストアは、エリザベス・アーデンの赤い扉が象徴的な歴史ある5番街のサロンがモチーフで、ユーザーはクリックで仮想空間を移動できるようになっている。製品情報の紹介に加えて、ブランドの歴史を紹介するミニ・オンラインミュージアムも併設。今回のローンチによって、エリザベス・アーデンはAIが生成するイメージをいち早く採用した企業のひとつとなった。

アーカイブ画像から新たなビジュアル資産を作成

同ブランド初のVRストアであるこの体験の特色は製品が展示された複数のスパ「ルーム」で、ユーザーはクリックして詳細情報を見たり製品を購入したりできる。ユーザーの参加を促し、ブランドのアドバンスド ライト セラミドカプセル(Advanced Light Ceramide Capsules)をアピールするため、VRストアでは5種類のセラミド製品を見つけてクリックしたユーザーに賞品をプレゼントするゲーミフィケーション要素も取り入れている。

エリザベス・アーデンでゼネラルマネージャーを務めるロナルド・ロルストン氏は、「ブランドの歴史を掘り下げ、それがクリエイティブに現れている」と語った。「当社にはこうした豊かなレガシーがあるが、私たちが何者であり、何を行っているのかという点ではかなり現代的であり、当社は科学に非常に注力していると主張したい」。

AIが生成したコンポーネントはスペース内のバーチャルミュージアム機能にあり、そこでは創業者のアーデン氏が婦人参政権運動を支援したことや第二次世界大戦中に口紅の「ビクトリーレッド」を発売したことなど、ブランドの120年の歴史と創業者を描いた画像が紹介されている。

その画像の作成でオブセスはAIを活用、ジェネレーティブAI画像プラットフォームのダリ2(DALL-E 2.)を使用しアーカイブされた歴史的なブランド画像の高画質化と編集を行った。

「AIを使ってオリジナル画像にあったギャップを埋め、エリザベス・アーデンのアーカイブ画像と同じスタイルで新たなビジュアル資産を作成した。たとえば、ある歴史的な画像の中のある女性の足をAIで補ったり、自動車やテーブル、ロッキングチェアなどの古いアイテムのイメージのコンポーネントの修正や補完を行っている」と、オブセスの創業者でCEOのネーハ・シン氏は述べている。

ブランドや消費者が予想もしないビジュアルが可能に

「当社のフランチャイズに若い消費者を取り込むことが重要」とロルストン氏は言う。「5年前、10年前とは、ショッピングに対する考え方が違ってきている。私たちは確実にその最前線にいるようにしたい」。ロルストン氏は、エリザベス・アーデンの一般的な顧客の年齢層を、米国では35歳以上、アジア市場では25歳以上と推定している。

このプラットフォームはまず米国でローンチし、最終的にはフランス、ドイツ、英国、オーストラリア、中国で展開する予定だ。

オブセスはブランドと提携する際に、デザイン、ゲーミフィケーションフロー、パーソナライゼーションなど、「あらゆる面で効率化を図る」ためにAIを取り入れている、とシン氏は述べている。将来的にAIにさらなる可能性を見出しているという。

「AIは、古いイメージや未完成のイメージを完成させる可能性を引き出すだけでなく、ブランドや消費者が予想もしないような、シュールで幻想的なビジュアルをもっと作り出せるようになる」と、シン氏は言う。たとえば、あるブランドが宇宙空間にインスパイアされた新しいコレクションを発売することになった場合、広告画像やバーチャルストアルームを使って、そのコレクションを宇宙空間というリアリスティックなコンテクストで実際に紹介して売り出すことができる。

「クリエイティブな観点からすると、これは私たちにとってまったく新しい世界であり、今後成功するためには最大限に活用しなければならないし、それはきっと楽しいものになると考えている」とロルストン氏は述べている。

[原文:Elizabeth Arden uses generative AI for new virtual store launch]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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