Microsoftのゲーム部門であるXboxの代表であるフィル・スペンサー氏が、Microsoftが買収したActivision Blizzardの人気タイトルであるCall of Dutyシリーズについて、PlayStationブランドを運営するソニーと締結したマーケティング契約を超えて「あと数年」の間はPlayStationでの提供を続けると約束していることを明らかにしました。
Microsoft will keep Call of Duty on PlayStation for ‘several more years’ – The Verge
https://www.theverge.com/2022/9/2/23334619/microsoft-sony-call-of-duty-playstation-letter-commitment-activision-blizzard
MicrosoftのXbox部門の代表であるスペンサー氏は、海外メディアのThe Vergeに対して「1月、現在のソニーとの契約よりも少なくともあと数年間にわたり、機能とコンテンツの同等性を備えたPlayStationでのCall of Dutyシリーズの提供を保証する契約をソニーに提示しました。これは典型的なゲーム業界の契約をはるかに超えるオファーです」という声明を出しました。
PlayStationでCall of Dutyシリーズの提供が保証される期間がどの程度になるかは不明ですが、Bloombergは2022年初頭にMicrosoftが少なくとも2年間はPlayStationプラットフォームでCall of Dutyシリーズをリリースし続けることを約束していると報じました。つまり、Microsoftとソニーの間のフランチャイズ契約は2024年に期限切れとなる可能性があります。なお、Microsoftは2022年1月にもCall of Dutyシリーズについて、「今週はソニーの首脳陣と良い話ができました。私はActivision Blizzardの買収に際し、我々の内側に存在する既存の契約を全て尊重したいという意思と、そしてCall of DutyをPlaystationで発売し続けたいという願望を確認しました。ソニーは我々の業界にとって重要な存在であり、この関係を大切にしたいと考えています」と発言しています。
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MicrosoftがPlayStationプラットフォームでCall of Dutyシリーズの提供を「契約年数よりも長く続ける」とアピールしている理由のひとつは、MicrosoftによるActivision Blizzard買収について調査を続けている規制当局にあります。MicrosoftによるActivision Blizzardの買収は独占禁止法に違反する恐れがあるとして、世界各国の規制当局からの調査を受けており、ブラジルにおける公正で自由な競争の実現を目指す規制当局である経済擁護行政委員会(CADE)からも、聞き取り調査を受けています。この中で、ソニーはCall of Dutyシリーズについて「ライバルのいないフランチャイズ」「多額の予算とリソースにもかかわらず、Activision BlizzardのCall of Dutyに匹敵するフランチャイズを作成できた開発者は他にいません。Call of Dutyはそれ自体がゲームカテゴリで際立っています」「Call of Dutyは過去10年間でほぼ毎年最も売れたゲームとなっており、そのジャンルでは圧倒的にベストセラーのゲームです。また、Call of Dutyはファーストパーソンシューティング(FPS)とほとんど同義となっており、本質的にはシューティングゲームというカテゴリそのものとなっています」と言及。さらに、ソニーは2019年に行われた第三者機関による調査を引用し、Call of Dutyシリーズがもっとも収益性の高いコンテンツトップ10にランクインした唯一のゲームであることなどを指摘しています。
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これに対して、Microsoft側はソニーが主張するほど「Call of Dutyは不可欠な存在ではない」と主張。また、MicrosoftはPlayStationのような競合するゲーム機でCall of Dutyシリーズのような人気タイトルを配信しないことは、Microsoftにとって「単に利益にならない以外の何物でもない」と主張しています。その理由は、独占タイトルとしてゲームをリリースする戦略は、「ゲームがXboxのエコシステムに多数のプレイヤーを引き付け、ライバルのゲーム機でリリースしないことによる損失を補って余りあるだけの利益をもたらす場合にのみ有効であるため」と説明しています。
一方、Microsoftは2021年にベセスダ・ソフトワークスを買収した際、DeathloopをPlayStationでリリースしたものの、 RedfallやStarfieldといったタイトルはXboxとPC独占で配信しました。この事実がCall of DutyシリーズのXbox独占につながる可能性を危惧する考えにつながっている、とThe Vergeは報じています。
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なお、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収については、イギリスの競争市場局(CMA)が綿密な調査を進めており、現在はCall of DutyシリーズやWorld of WarcraftなどのActivision Blizzardが保有する人気タイトルがMicrosoftのものとなることで、ゲーム市場にどのような影響が及ぶかについて調査を進めています。
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