「従業員の交流やボランティア活動を奨励し、 ソフトスキル 育成を図りたい」:グプタメディア 人事責任者 ケリー・ヒース氏

DIGIDAY

この1年で、コロナ禍に適応するための労働環境として、リモートファーストやハイブリッド勤務を採用する企業が大幅に増えた。ズーム会議が給湯室での井戸端会議に取って代わるなか、パフォーマンスマーケティングエージェンシーのグプタメディア(Gupta Media)は、従業員の交流イベントやボランティア活動を奨励することにより、企業文化を維持したいと考えている。

グプタメディアで人事の責任者を務めるケリー・ヒース氏によると、これは人間関係づくりの取り組みでもあるが、それは社内に限定されず、広告業界全体を視野に入れているという。もちろん、スタッフ、特に新卒や中途の新入社員にとっては、顧客を獲得するために必要なソフトスキルを身につける機会ともなっている。

75人の従業員全員に社外での活動に参加してもらうため、グプタメディアはさまざまな試みをおこなっている。たとえば、地元や他都市で開かれる交流イベント、パネルディスカッション、あるいは表彰式などのチケットを従業員に贈呈したり、ボストンにある自社のオフィスでイベントを主催したり、有給のボランティア休暇の積極的な消化を促すなどだ。

グプタの広報担当者によると、現在、従業員の賞与の10%が平日にボランティア休暇を利用することに紐付けられているという。

グプタではフレックス勤務を採用しており、従業員は4週間で週平均4日出社している。また、希望する従業員にリモート勤務を認める「リモートワーク強化週間」や、7月と8月に実施する「夏のフレックス金曜日」なども設けている。さらに、新型コロナウィルスの感染拡大時には、ワクチン接種の有無にかかわらず、すべての従業員を対象として、毎週、社内でPCR検査をおこなうことにしている。

米DIGIDAYはヒース氏にインタビュー取材をおこない、グプタの従業員の取り組み、ソフトスキルの重要性、ハイブリッドやフレックスな労働環境で企業文化を維持する方法などについて話を聞いた。

なお、インタビューの内容は、読みやすさを考慮して若干の編集を加えている。

◆ ◆ ◆

――グプタメディアの従業員を対面での交流や活動に復帰させようと考えたのはなぜか?

1年ほど前、オフィス勤務を試験的に再開した。その結果、従業員のソーシャルスキルやソフトスキルが低下していることが分かった。エージェンシーの世界では周知のことだが、次世代の幹部候補にとって、必ず習得しなければならない重要なスキルだ。技術的あるいは戦術的な技量は教えるのも覚えるのも比較的容易い。

しかし、次世代のリーダーに絶対不可欠な資質があるとすれば、それはこのソフトスキルにほかならない。最近新卒で入社した従業員については、インターンシップが中止になったり、ハイブリッドまたは完全にリモートで実施されたりした。彼らが直面した問題のいくつかは、我々も目の当たりにした。

コロナ禍の直前に採用したスタッフは、リモート勤務でも申し分ない実績をあげている。それでも、ソーシャルスキルやソフトスキルの習得に関しては、入社2、3年目、あるいは4年目の従業員に期待されるレベルに達していない。

――ソーシャルスキルやソフトスキルの不足に気づいたいきさつは?

クライアントとの打ち合わせなどで、彼ら彼女らの服装やマナー、身なりや振る舞いなどを見るにつけ、本来身につけているべき職業人としての自覚や意識が足りないと感じた。人脈作りの側面でも問題があった。

たとえば、クライアントがひとりかふたり、およびその関係者数人が出席する普通の打ち合わせと、クライアントへのプレゼンテーションはまったくの別物だ。ひとつの会議室に大勢の人間が集まるプレゼンテーションには、社交や新しい出会いの機会があり、Zoomではできない親密な関係作りやコミュニケーションに有用だ。

――従業員が仕事を休んでイベントやワークショップに参加する場合、有給休暇に影響はないのか?

このような活動も仕事の一部と考えている。というのも、ソフトスキルが高いほど、チームの一員としてより良い成長を遂げることができるからだ。有給休暇に影響はない。従業員に有給を使ってイベントやワークショップに参加しろと求めているわけではない。仕事の一環としてやってくれればよい。

――ここ数ヶ月、新型コロナの症例が急増している。この取り組みに何か影響は?

グプタメディアではワクチン接種と追加接種を積極的に推進しており、摂取率は99%に達する。また、当初からリモート勤務も認めており、体調不良の人がいれば、慎重に行動してもらうようにしている。従業員に対する抗原検査キットの提供は早くから始めているし、先にも述べたが、感染の再拡大に先んじて、毎週社内でPCR検査も実施している。

[原文:Why a performance marketing firm is asking employees to get out of the office to build company culture

Michael Bürgi(翻訳:英じゅんこ、編集:黒田千聖)

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