水をかけると活性化する「紙製の使い捨て電池」

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環境への影響を最小減に抑えることが期待された新型電池「紙電池」が考案されました。塩が練り込まれた紙を水で湿らせると塩が溶け出し、電解質として働くという仕組みです。

Water activated disposable paper battery | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-022-15900-5


A Water Activated Disposable Paper Battery | Advanced Batteries & Energy Storage Research
https://www.advancedbatteriesresearch.com/articles/27320/a-water-activated-disposable-paper-battery

Scientists Invent a Paper Battery–Just Add Water – Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/scientists-invent-a-paper-battery-just-add-water/

新たに作成された紙電池は、短辺1cmほどの長方形の紙に3種類のインクが印刷されているのが特徴です。紙全体に塩が練り込まれており、一方の短辺には蝋(ろう)が塗られています。さらに正極となる黒鉛片を含むインクが平らな紙の片面に、負極となる亜鉛粉を含むインクが紙のもう片面に印刷されており、カーボンブラックや黒鉛片を含む別のインクが両面に印刷されています。

これに少量の水を加えることで電子が放出され、酸化還元反応により電流が発生するとのこと。研究チームが紙電池の効果を試すために実験をしたところ、1個の紙電池に数滴の水を加えると20秒以内に電池が作動し、紙が乾くまで1.2Vの電圧を安定して発生させることができたそうです。


1.2Vというとニッケル水素電池と同等ですが、この計測では紙電池は機器に接続されていなかったため、機器につないだときに同等の電圧となるかは不明。ただし、紙電池を2個つなげると液晶ディスプレイ付き目覚まし時計を動かすことができたようです。

紙電池は1時間ほどで性能が大幅に低下しましたが、そこからさらに水を加えることで0.5Vの電圧を1時間以上発生させることができたとのこと。紙電池が既存の乾電池に取って代わるのはまだまだ先と考えられますが、研究者らはこの電池がセンサーなどに組み込まれ、有害な電池に代わる持続可能な代替手段となる未来を想定しているとのこと。

研究に携わったグスタフ・ニストロム氏は「このデバイスの性能は、多くの用途に適していると思います。今後は生産規模を拡大し、多くのシステムに電池を組み込むことが主な課題です」と述べました。

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