政府発行の仮想通貨にはディストピア社会につながる「ダークサイド」があるとの指摘

GIGAZINE
2021年07月23日 20時00分
メモ



ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)が注目を集めるにつれて、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)に関する議論も活発化しつつあります。そんなCBDCに潜む問題点について、エコノミストのジョン・アダムズ氏が論じました。

The Potential Orwellian Horror of Central Bank Digital Currencies
https://www.adamseconomics.com/post/the-potential-orwellian-horror-of-central-bank-digital-currencies

国際決済銀行の調査によると、各国の中央銀行のうち86%がCBDCについて積極的な調査に乗り出しており、60%がCBDC関連の実験に着手しているとのこと。また14%は、CBDCの実用化に向けた試験的なプロジェクトに踏み切っていることも分かっています。


アダムズ氏によると、CBDCは「物理的な現金のバーチャルな形態で、中央管理された台帳を介してその国の中央通貨当局、すなわち中央銀行によって発行され、規制されている電子記録またはデジタルトークン」と説明できるとのこと。CBDCには「高速かつ低コストな決算を可能にする」「民間企業が破綻した場合に、中央銀行が決済システムや金融システムに介入し、経済を安定化させることができる」「銀行口座を持てない人にもデジタル経済に参加する機会を提供する」といったメリットがあるとされています。

デジタルな通貨という点で、ビットコインなどの暗号資産とCBDCは共通していますが、ビットコインなどは非中央集権的で政府や中央銀行の規制を受けない一方で、CBDCには「中央集権的で政府が掲げる政策に大きく影響される」という性質があります。

そのため、CBDCが本格的に経済政策に導入されると、以下のような「負の側面(ダークサイド)」が顕在化するおそれがあると、アダムズ氏は指摘しています。

・管轄内のすべての経済および金融取引の監視。
・大量のデータを収集し、それを法の執行や政敵の発見、反体制派の口封じなど、本来の目的以外に使用する。
・社会的信用制度などの管理政策を導入し、政府や規制当局が認めない活動に従事する市民に経済的な制裁を課すことができる。
・政府や中央銀行の実権を握る人が、自身の好む種類の資産に公的資金を注入したり、好まない資産から資金を引き上げたりできる。
・企業や個人に、政策立案者が好むサービスや製品を使うよう仕向けることができる。


例えば中国では、デジタル人民元が中国共産党の支配力を高めるのではないかという懸念が、専門家によって指摘されているとのこと。アダムズ氏は、こうした問題点について「中国は全体主義的な体制を構築していることで世界的に知られています。危険なことに、自由民主主義陣営であっても、CBDCは経済的・政治的権力を政治家や官僚の手に集中させる政策ツールとなりうるのです」と警鐘を鳴らしました。

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2021年07月23日 20時00分00秒 in メモ, Posted by log1l_ks

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