Facebook社名変更の2日前にマーク・ザッカーバーグCEOに対し行われたインタビューの内容とは?

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2021年10月29日、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが基調講演「Connect 2021」において、同日付で社名を「Meta」に変更すると発表しました。記者のベン・トンプソン氏は、この基調講演の2日前にザッカーバーグCEOに対してインタビューを敢行、社名変更に伴う将来のビジョンについて詳細を聞き出しました。

[FREE] An Interview with Mark Zuckerberg about the Metaverse – Stratechery by Ben Thompson
https://stratechery.com/2021/an-interview-with-mark-zuckerberg-about-the-metaverse/

ザッカーバーグCEOは基調講演の中で、社名をMetaに変更し、新しいインターネットの姿であるメタバースを主力事業とし、テクノロジーと共に人と人をつなげることに焦点を当て続けるというビジョンを示しました。トンプソン氏は基調講演を事前に視聴した上で、ザッカーバーグCEOが示すビジョンなどについて尋ねました。

ベン・トンプソン氏(以下、トンプソン):
あなたのプレゼンテーションを拝見しました。私はこのプレゼンテーションが世界中に公開される前に内容を見たわけですが、具体的な社名が分からないので、このインタビューで変更後の名前は出てきません。

さて、このプレゼンテーションは誰をターゲットにしたものなのでしょうか?あなたは数年先のビジョンを描いていますが、これが批評家らから「机上の空論だ」と評されることは間違いありません。あなたはそのビジョンを誰に見せたいのですか?従業員ですか?新入社員?投資家?開発者?いずれにせよ、そのビジョンが実現するのはゲーム関連を除いてまだまだ先のようですね。

マーク・ザッカーバーグCEO(以下、ザッカーバーグ):
このプレゼンテーションは、私たちが描くビジョンについて説明することを目的としていました。私たちはこのプレゼンテーションを「今年の新製品発表」といった従来の基調講演とは別物であることを明確にしようとし、私たちが新しく構築したいと思っているものをより広い目で見てもらうことを意図していました。実現に何年かかるか分かりません、10年ほどかもしれませんが、実現に向けて手を貸してください

メタバースの意味については人によって捉え方が違います。そのため、相互運用可能であるもの、ビジネスモデルはどうあるべきかなど、メタバースを構築するうえで最も重要なものについてまとめて1つの指標として示すことが重要だと思い、このプレゼンテーションを作成しました。

トンプソン:
あなたは相互運用性とオープンであることの重要性についても話されていました。しかし、メタバースを1つの企業が提供するという点に不安があります。あなたのビジョンは本当に人と人とをつなぎ、ピアツーピアを実現すると思いますか?また、他の企業がメタバースを実現する場合も、同じように相互運用可能なものになると思いますか?

ザッカーバーグ:
ピアツーピアを実現すると思います。メタバースについては、FacebookやGoogleなどは独自のインターネットを構築しているとは言えませんし、Facebook独自のものになるとは言えません。各企業はそれぞれ異なるインフラストラクチャを構築していますし、これがインターネット全体に役立つことを願っています。これら各企業の要素は、何らかの方法で連携する必要があると思います。

私たちはこれを可能にするために必要な技術とプラットフォームの構築を支援しています。VRゴーグル、顧客やクリエイターのためのプラットフォーム、そしてもちろんSNSもです。ここで最も重要なのは、デジタル技術の進展がもたらす新たな経済・社会が全て相互運用できることにあると思います。今日のスマートフォンにおいて、1つのアプリが1つの世界を構築していることから分かるように、最も基本的な単位はアプリですよね?将来的に、ユーザーのアイデンティティを確立した上で、異なるアプリやデバイス間をシームレスに行き来できるようになることを願っています。


トンプソン:
ここ数年、特に新型コロナウイルス感染症が流行しだしてからは、オンラインとオフラインの境がますますあいまいになっているような気がします。人々は「自宅で仕事をしている」といいますが、実際にはオンラインで仕事をしているのであり、オンラインにいるということは、認知的に存在する場所が異なっているのです。

このような環境において、下実と世界をつなぐ役割を担う拡張現実(AR)よりも、仮想空間に没入できる仮想現実(VR)の方が重要で意味のあるものになる可能性があります。人々はVR空間に没入する時間を増やしたいと思うものなのでしょうか?

ザッカーバーグ:
実際にはARの方が重要になると思います。例えるならば、ARはスマートフォンのようなもので、どこへでも持ち運びができるもの。VRはコンピューターと人との間にある何かで、画面への没入感を高めてくれるものです。

あなたは潜在的に正しいと思いますし、VRも重要なものになると思いますが、ARとVRが完全に分離しているとは思いません。私がプレゼンテーションで話したことは、AR空間にいる人とVR空間にいる人が対話し、全ての異なるコンピューター間でこれを実現するというものです。


トンプソン:
このビジョンを実現するにおいて重要となる課題は何ですか?あなたは明らかに開発者向けの売り込みを推し進めていますが、さきほど仰ったようにまだ基本的なものを構築している段階であり、マーケットプレイスやVR内でのコンポーネント販売などのいくつかのものは利用できません。

根本的に新しい何かを市場に導入するためには、古い方法が間違っている理由を説明し、新しいルールを周知させなければなりません。どのようにこの問題を解決するのですか?開発者やユーザーが間違いなく参入するビジョンが見えているのでしょうか?

ザッカーバーグ:
あなたの主張は正しいです。構築すべきテクノロジーには、今の時代には存在しない側面を導入する必要があると思いますし、理想のVR空間を構築することはまだできません。実現は少なくとも数年先であり、それもスタートラインにようやく立てるような状況でしょう。通常、ヒットする商品は第1作目ではありません。iPhoneでさえ、大きく飛躍したのは発表から数年が経過した時でした。私たちも、Oculus Quest 2(Meta Quest 2)で大きな飛躍を遂げました。

あなたは先ほど「誰に向けた基調講演ですか?」と尋ねましたが、私は特定の誰かに向けることを意図したつもりはありません。私たちが構築しようとしているものに知的かつ哲学的に賭けているだけで、全ての視聴者にとって、何らかの引っかかる要素があると思います。このビジョンの実現に当たって利害関係を固める必要があるため、一部は確かに従業員や新入社員に向けたものにはなります。私は会社を新たに設立したいと思っており、もしこのようなことに取り組みたい人がいるのであれば、その人にとって最もエキサイティングな場所になると思います。

消費者にとってもユースケースを理解することは非常に重要なことだと思います。私たちがうまくやれたならば、Questはそう遠くない将来、理想に近い規模のVR空間を実現していると思います。そうなった場合、「持ち運び可能なQuestでフィットネスを行う」というような、ユーザーにとって本当にエキサイティングな新しいユースケースが誕生していると思います。


実現に向けて、トレーニングや教育、商取引などのたくさんの課題があると思いますが、時間の経過と共にこなしていけると思います。10年後までに、私たちのVRデバイスは、コンピューターよりもはるかに優れたデバイスになり始めると思います。

トンプソン:
新しいメタバースでFacebookはどのようにお金を稼ぐつもりですか?莫大な時間とお金を費やすと宣言していましたが、そのお金はどこから来るのですか?

ザッカーバーグ
結局のところ、コマースだと思います。私たちが行わなければならない最初の仕事は基本的なテクノロジーを機能させることですが、ビジネスの観点から言うと、次に行うべきなのはメタバースのGDPを可能な限り増やすことです。料金をできるだけ低くし、クリエイターにとってできるだけ有利にすることでGDPが増加し、10年後までに必要な量のコマースと商品を手に入れることができます。

ユーザーエクスペリエンスの観点から見ると、理想的なVR空間を提供することは、ソーシャルネットワークの究極の表現だと思います。それが私たちが興奮している理由であり、私たちがこれに焦点を合わせている理由です。構築する必要があるものはたくさんあると思いますから、私たちはこれを何年もかけて推進しなければならないと考えています。

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