FIFAワールドカップカタール2022はあらゆるものが「AI」でコントロールされている

GIGAZINE
2022年11月24日 21時00分
メモ



4年に1度のサッカーの祭典、FIFAワールドカップのカタール大会が2022年11月20日から12月18日まで開催されています。11月23日にはサッカー日本代表が大会初戦を迎え、強豪のドイツ代表に2対1で逆転勝利を収め、最高のスタートを切りました。この試合でも前半終了間際にVARによるオフサイド判定でドイツの得点が取り消されるシーンがありましたが、これを含め、さまざまなテクノロジーがカタール大会では人工知能(AI)によりコントロールされているとThe Washington Postが報じています。

The tech being used at the World Cup in Qatar – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/11/21/world-cup-ai/

What Is Semi-Automated Offside Technology? | Socialnomics
https://socialnomics.net/2022/11/21/what-is-semi-automated-offside-technology/

FIFAワールドカップカタール2022の公式球である「アル・リフラ」は、VARに正確なボールデータをリアルタイムで提供することで、迅速かつ正確なオフサイド判定が下せるように審判団をサポートします。ボールの内部には500Hzの慣性測定ユニットセンサー(IMU)が搭載されており、人間の審判では判定が難しいようなオフサイドシーンを検出するために必要な情報を提供してくれます。


このセンサー内蔵のサッカーボールはワールドカップの全64試合で使用され、データ神経センターに情報がフィードバックされます。また、関係者がこの情報を使用して試合を統計データで詳細に分析することも可能です。

また、2018年のロシアワールドカップで導入されたVARが、2022年のカタール大会ではより強化されています。カタール大会のVARは新しく「半自動オフサイドテクノロジー」と呼ばれる技術を採用しており、公式球のアル・リフラと連動することで、オフサイド判定をより正確かつ迅速に行うことが可能。このシステムは日本対ドイツ戦で下されたオフサイド判定でも審判団をサポートしていたものと思われます。

半自動オフサイドテクノロジーはアル・リフラのIMUが収集した「ボールの位置情報」と、スタジアムの屋根下に設置されたカメラが収集する「プレイヤーの位置情報および四肢情報」を、AIを使って分析することでオフサイド判定を行います。半自動オフサイドテクノロジーはピッチ上の攻撃側がボールを受けるたび、ビデオ・オペレーション・ルームのオペレーターに自動で「オフサイドか否か」の判定を送信。ビデオ・オペレーション・ルームのオペレーターは送信されてきた判定をピッチ上の主審に伝える前にチェックすることで、システムの判定を人間の目で検証する役割を担います。

FIFAが2022ワールドカップで導入される「半自動オフサイドテクノロジー」について解説 – GIGAZINE


この他、暑さが問題で史上初の冬開催となったFIFAワールドカップカタール2022では、スタジアムを涼しく冷やすための冷却システムに、高度なテクノロジーを採用しています。冷却システムを開発したのは、カタールのサウド・アブドゥルアズィーズ・アブドゥル・ガニ教授。ガニ教授によると、スタジアムの冷却システムは自動車の空調システムに近いそうで、「車の空調システムと同じものを使用していますが、スタジアムのものははるかに大規模です」と語りました。


スタジアムでは断熱材と「ターゲット冷却またはスポット冷却」と呼ばれるシステムを組み合わせており、スタジアムに設置されているパイプや通気口から空気を吸引し、空気を冷却・ろ過して再びスタンドやピッチに送り出すようになっているとのこと。スポット冷却とあるように、人のいる場所だけを集中的に冷却することが可能となっています。また、ガニ教授は「冷却システムは空気のろ過も行っている」と、清潔な空気を生み出しているともアピールしています。


カタールの指揮統制センターは、試合中の観客の動きを追跡するために1万5000台以上のカメラを利用すると、カタールの当局関係者がフランスメディアのFrance 24語っています。1万5000台のカメラはワールドカップで使用される8つのスタジアムすべてに分散して配置される模様。カタールに本社がある衛星テレビ局のアルジャジーラは、ワールドカップの決勝戦が行われるルサイルスタジアムでは、ファンを追跡するために顔認識技術が使用されると報じており、これを受けて海外メディアからはプライバシーを懸念する声も挙がっています。

また、カタールのサッカースタジアムでは観客がピッチに乱入することを防ぐために、チケット販売や観客が入る場所などをデータポイントとし、観客の行動パターンを予測するアルゴリズムを利用しているとのこと。

なお、イギリスのアラン・チューリング研究所はFIFAワールドカップカタール2022の優勝国を予測するためのアルゴリズムを作成しています。このアルゴリズムはFantasy Premier Leagueをプレイするために2018年に開発された「AIrsenal」というAIをベースとしたもので、過去のワールドカップの試合や近年の国際試合の結果をトレーニングに利用しています。このアルゴリズムによる優勝国予測で最もオッズが高かったのがブラジル(25%)で、以下ベルギー(18%)、アルゼンチン(15%)の順に続きます。

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