郵送して専門家に鑑定してもらった。
知り合いの娘さんが先日、とある石を拾った。
最初にそれを見せたという小学校の先生は
「これは隕石だ!」
と言い、そのお父さんもやっぱり
「これは隕石だ!」
と思ったという。
↓ こんな石だった。
※2006年5月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
隕石っぽい
パッと見て、たしかに素人ながらも隕石に見える。
どうだろうか?
大きさは小さい。手の平に乗るサイズ。
が、そのわりにはズシリと重く感じる。
それと、わずかに磁石にくっつく。カチリとくっつくわけではないが、磁石を近づけると微妙に動く。
そして熱で溶けたような焼け焦げた跡。
“宇宙からの物体”とかその手のキーワードに弱い私は、さっそく拾い主である知り合いの娘さんに会いに出かけた。
発見現場へ
上が発見者のゆうかちゃん、小学3年生。
ピースが決まってる。
ではこれより、発見現場に連れて行ってもらおう。
場所は長崎は諫早市である。
ゆうかちゃんは、よくいろんな変なものを拾ってくるそうだ。
今回の隕石もそんなうちのひとつ。
「もっと大きい隕石拾ってこんば。」
というお父さんのテキトーなコメントに、
「だってあんまり大きいと持って帰れないやん。」
と、さらにテキトーなコメントを返していた。
やがて発見現場に到着。
辿り着いたのは小学校の校庭の砂場だった。
「発見した」というよりは、まさに「拾った」というその光景に、まったり感が漂いはじめる。
やがて、いつのまにかお父さんと私とで
「インターネットでなにか良い儲け話はないか?」
とか、
「グーグルカレンダーはすごい。」
みたいな話をし始めていた。
すっかり飽きてしまったゆうかちゃんは、気付くとブランコで遊んでいた。
はたして本物なのか?
発見現場を見たら、隕石っぽさがダウンした感もややあるが、しかし本当のところどうなのか?
話によると、東京は上野にある国立科学博物館で、本物の隕石かどうかの鑑定をしてくれるという。
ちょうど私がゴールデンウィークで帰省する予定だったこともあり、せっかくなので持って行って鑑定してもらうことにした。
と思って借りたのだが、電話して確認してみると郵送でもOKとのこと。なので結局、郵送することにした。結果は2週間ほどみてください、とのことだった。
はたして、注目の鑑定結果はいかに!
そして2週間が経過…
いや、もっと早かった。1週間くらいだったかも。
鑑定結果は宅急便でやって来た。
さっそく空けてみると、中には1枚の手紙が入っていた。
それによると…
隕石は落下の際に大気との摩擦で表面が融けますが、非常に高速であるために地表まで到達するのに1分もかかりません。このため、熱が伝わって全体が充分融ける時間がなく、内部は緻密な固体のまま保存されます。 融けた表面は飛び散りますが、最後まで表面を被っていた部分は固まり、溶融殻と呼ばれる黒い薄い皮となって隕石を取り巻きます。 ところがお預かりした試料は、内部に大きな気泡がたくさん存在し、全体が溶融した形跡があります。また、表面の様子や色も隕石とは異なっています。 おそらくこの試料は鉱滓(こうさい。鉱石を炉で融かし有用な金属を取り出した残りのもの)であると思われます。 |
つまり、隕石ではなかった。電話でも少し質問させていただいたのだが、それによると…
・本物の隕石は、表面だけが熱で溶けて、それが薄皮饅頭の皮のようについていて、中はそのままだという。
本物の隕石は超レア
隕石かどうかの問合せは、多いときで週に1、2件の電話相談。郵送での問い合わせは稀。そのうち本物だったケースは10年間で一度しかないという。それもかなりの知識を持っている高校の地学の先生が持ち込んだものとのことで、純粋に素人が持ち込んだもので本物だったケースはない。
隕石というものは私が考えてたみたいに簡単にみつかるものではないらしい。
隕石リスト
今回調べていただいた国立科学博物館の研究者・米田さんは今のポストについてもう10年になるらしいが、その間に日本で見つかった隕石は6件しかないという。
いや、10年間で6件というのはむしろ多い方らしく、たしかにこの「日本の隕石リスト」を見ると、25年間1コも落ちてない時期もある。(しかもわりと最近の年代で)
というわけで、砂場で拾った石が隕石である可能性は、ものすごーく低い。というか、無い。ということがわかった。
にもかかわらず、送られてきた手紙には、
前略 この度は隕石の可能性のある試料を手に取り調べる機会をいただきどうもありがとうございました。 |
と、大変丁寧な物腰で書かれてあり、さすがは博物館のかただと思うとともに、隕石に対する好感度が一段と増したのであった。鑑定してくださって、本当にありがとうございました。