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ラゲージブランドのアウェイ(Away)は、新しいポリエステル製の新しい商品ラインをリリースし、アウトドア市場に参入しようとしている。2016年に同社の地位を築いたシグネチャー商品であるハードシェルスーツケースでは対応できない、アウトドア旅行の需要を収益化することを目的としている。
パンデミックの下で生まれた新しい旅行スタイル
F.A.R―フォー・エニー・ルーツ―(F.A.R – For Any Routes –)は、アウェイがこの夏に発売する新しいバックパック、ダッフル、旅行用アクセサリーの商品ラインだ。プロダクトは耐久性のある防水のリサイクルポリエステルで作られており、キャンプやハイキングなどのアクティビティ用に設計されている。いずれのアイテムにも水筒、衣服、道具を入れるため、いくつもの仕切りとストラップが用意されている。
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同社は今回、シグネチャであるキャリーオンバッグ以外の分野にも着実に領域を拡大し、同時に13の実店舗に物理的な展開を行っている。これは同社が、車での旅、自宅近くでの休息、アウトドアでの冒険といった、新しい旅行の習慣に対応していることを示す新たな兆候でもある。
家庭用品ラインのオクソー(OXO)などほかのブランドや、コールズ(Kohl’s)、デッカーズグループ(Decker’s Group)、ディックス(Dick’s)などの大手小売業者はすべて、パンデミックのあいだにアウトドアを愛する人々からの需要に応じるため、自社の商品ラインナップを拡大した。アウェイがF.A.Rの立ち上げに伴い提携した旅行会社のゲッタウェイ(Getaway)は、キャビンステイ(小屋を借りる)プランを提供しているが、2022年の第1四半期には同社史上最大の数のゲスト宿泊数を記録した。ゲッタウェイ全体の総予約数は2018年から588%も増加した。
アウェイの最高商務責任者を務めるローラ・ウィレンスキー氏は、同社の収益はパンデミックの最中に短期間ながら最高で90%も落ち込んだが、新しい商品とマーケティングの努力によりブランドの復活に成功したと、メールで説明した。
同氏は次のように述べている。「バイヤーの鋭い意図と、抑えつけられていた旅行への需要が当社の回復の火種となり、2020年の第2四半期から、当社の主要な業務指標は、初期のパンデミック回復予測を大幅に上回った。オンラインと店舗でのコンバージョン率がパンデミック前の水準を大きく超え、回復速度は四半期ごとにますます加速し続けている」。
日常使いから本格派まで あらゆるアウトドア需要に応える
新しい商品ラインのマーケティングは主にアウトドアでの体験を中心とし、岩だらけの山腹や涼しげな水辺を背景にして商品を描写している。
ウィレンスキー氏は次のように述べている。「このコレクションは間違いなくアウェイの既存顧客を対象としたものだが、まったく新しいオーディエンスにリーチするようデザインされたものでもある。幅広い客層を獲得するため、このコレクションではあらゆる種類のアウトドアの旅行、すなわち単に外に出ることを楽しむ層から、アウトドアアクティビティを中心に旅行する層まで対応できるような、調整可能で革新的な商品を取り揃えている」。
アウェイの最高デザイン責任者を務めるクァン・ハンリー氏は、新しい商品ラインの作成には2年間を要したと、メールで語った。「明確な機能的分類」を持つ商品を開発するのが最大の焦点だったと同氏は述べている。たとえば、コレクションで最大のアイテムのひとつであるコンバーチブルなバックパックの価格は220ドル(約2万9700円)だが、ラップトップ部分、チェストストラップ、およびダッフルバッグに変えるためのストラップが付属する。「この商品は、できるだけ多くの物を詰め込み、より長い距離を快適に旅行できるよう、特別にデザインされた」と同氏は記している。
アウトドア・アドベンチャーへの関心と時を同じくして、「ゴープコア」のブームが到来していると話すのは、エディテッド(Edited)のファッションおよび小売アナリストを務めるアベリー・ファイゲン氏だ。ゴープコアは、ここ数年間に出現した新しいファッショントレンドで、アウトドアから発想された機能的なアイテムに焦点を当てたものだ。そして、これはアパレル企業にとって支払い済みの配当金のようなものだった。このテクニカルな衣服の分野、つまり、アウトドアで着るようにデザインされた衣服は、2019年から29%成長した。
同氏は、アウトドア用品の市場には業者が多いものの、アウェイは既存顧客に繰り返し購入を促すことができるかもしれないと語っている。
同氏は次のように述べている。「アウェイはラゲージ領域を独占していることで知られている。同社がこの部門に参入して苦戦するとは思わない。他者と比較して自社をどのように位置づけることができるかは、アウェイ次第だろう」。
この商品ラインは消費者向けの低価格なものでもあり、物価が賃金よりも急速に上昇している現在、ハイエンドのバッグを多くの顧客が買い求めやすくしている。もっとも大きなダッフルの価格は190ドル(約2万5700円)だ。
ファイゲン氏は、ブルーとグリーンを基調としたいくつかの色展開と、ポピーオレンジレッドという新商品ラインの配色は、アウトドアの小売分野全体のトレンドであり、自然やアウトドアへの思いをイメージを呼び起こすようにデザインされていると言及している。
変わる理想の旅行像
旅行予約マーケットプレイスのビアター(Viator)のコミュニケーション担当ディレクターであるアダム・ローレス氏は、同社を通して予約された旅行の半数近くはアウトドアを中心にしたもので、パンデミック前の水準と比べても人気は増していると、米モダンリテールに語った。2019年から2021年にかけて、アウトドアアクティビティへの需要は153%増加し、ウォータースポーツ体験への需要は311%増加した。
この成長は、パンデミック中のロックダウンによって抑圧された需要と、Z世代やミレニアル世代が新しいタイプの旅行の体験を望んでいることの両方によって推進されたものだ。
ローレス氏は次のように述べている。「飛行機や車に飛び乗ってひとつの目的地に行き、バケーションのあいだずっと椅子に座って海や湖を眺めて過ごす時代は終わったと考えている。特に、Z世代やミレニアル世代の大勢の新しい旅行者たちはどんどん外出や旅行をしており、旅行からあらゆる冒険と興奮を得ようとしている」。
アウトドアの旅行への需要を後押ししているもうひとつの要因は、インスタグラム、TikTok、そのほかのソーシャルメディアサイトに溢れる証拠写真だと、同氏は述べている。
「誰かがザイオン国立公園や、グランドキャニオン、あるいはスキューバダイビングでのお気に入りの写真を投稿すると、それを見た人々から需要の第二波が生まれる」と同氏は述べる。
[原文:Why Away is betting on outdoor gear for its new product expansion]
Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:猿渡さとみ)
Image via Away