SF映画の転移装置みたいだけど…?
プラモやフィギュアなどを組み立てるとき、角度が難しかったり、接着剤が指に付いたり、塗装したくてもクランプや接地面まで一気に塗られないなど、いろいろと地味~なストレスってありますよね。でも、もし物体が宙に浮かんだまま作業ができたら、どんなに楽でしょう?
それを叶えるのが、超音波を使った音響浮遊装置を取り付けたロボットアームの「LeviPrint」。開発したのは、スペインのナバーラ州立大学にある研究所UpnaLabです。
液体の接着剤も一滴だけを操り、手を触れずに形が出来上がっていきます。説明がなければ、無重力か念力かと目を疑うかもしれませんね!
超音波スピーカーで挟めば移動や回転が可能
浮遊の秘密は、以前からたびたび取り挙げているSF技術「トラクター・ビーム」の応用。お皿のように少し凹んだ面に小さなスピーカーを敷き詰め、超音波で空気を振動させる装置で物体を挟みます。
興味深いのは、浮かせる物体により超音波の波形が変わる点。可視化するとこうなります。
「LeviPrint」は長細い物体も操るため、そのために最適化されたアルゴリズムが用いられています。複数の物体を浮かせられるのも、そのおかげなのでしょう。
非接触で可能性広がる
もしこれが磁力だったら、鉄など磁力に反応する部品しか動かせませんが、超音波なのでマッチ棒やビーズのように小さい物なら自由自在。挟んでいるため、浮かせたままアームを動かして移動ができるのは画期的です。また人の手を介さず非接触が可能になることで、不用意に壊す心配もありませんし、コロナ禍の医療・研究現場でも大いに役立つでしょうね。