効率をあげるために「 アフィリエイトマーケティング 」に目を向けるファッションブランド

DIGIDAY

顧客獲得コストやCPMが上昇するなか、ファッションブランドにとって広告費の効率的な活用が最大の関心事となっている。昨年は、低コストで効率的な投資対効果のおかげで、企業によるアフィリエイトマーケティングの採用が著しく伸びている。

アフィリエイトマーケティングソフトウェアの会社であるパートナライズ(Partnerize)のデータによると、アパレル分野の4月のアフィリエイトマーケティング費用の支出は、前年比22%増となった。それに伴いアフィリエイト販売の平均受注量も、同期間に前年同期比で20%近く増加している。そしてこのデータは、アフィリエイトマーケティングの導入の増加がすぐに減速することはないことを示唆している。ガートナー(Gartner)の年次CMO支出調査によると、CMOの65%が今年アフィリエイトマーケティングの支出を増やすと回答している。6月に開催されたGlossyファッション&ラグジュアリー・サミットでは、アフィリエイトマーケティングとその有効性が共通のテーマとして議論された。

バリュー重視よりもコンテンツ重視のパブリッシャーが貢献

パートナライズのCMOモーラ・スミス氏は、「これは成果報酬だ」と述べている。「このモデルは本質的に効率的だ。広告費対効果は、アフィリエイト(マーケティング)の場合、一般的に12対1程度だ。また非常に効率的であるため、より高価な他のチャネルのコストを相殺するのに役立つ」。

たとえばテレビで広告をうつとなると、4桁から5桁の費用がかかり、その結果を追跡することも容易ではない。しかしこうした高価なトップ・オブ・ファネルのマーケティング機会は、依然として貴重である。アフィリエイトマーケティングは、高レベルのトレーサビリティとともに強力なリターンを提供することで、より高価で、より大きなスイングを可能にするのを助ける。通常、アフィリエイトマーケティングの平均的なコミッションレートは6~7%だ。

パートナライズのデータによると、アフィリエイトマーケティングの収益増加の大部分は、リテイルミーノット(RetailMeNot)などのクーポンやバリュー重視のパブリッシャーではなく、Buzzfeedやヴォーグ(Vogue)といったコンテンツ重視のパブリッシャーによるものだ。後者は新規顧客からの収益の50%以上を占めている。とはいえ、アフィリエイトパートナーに占めるインフルエンサーの割合は、ますます大きくなっている。

しかし、アフィリエイトマーケティングには限界がある。スミス氏は、それがもっとも効果的なのは、より大規模で、より確立されたブランドだという。パートナライズのCEOマット・ギルバート氏は、年間売上が100万ドル(約1億3500万円)以下のブランドは、アフィリエイトマーケティングに大規模な方法で投資をする準備ができていないと述べている。

特定のオーディエンスを狙う場合に効果的

既製服ブランドのサッチン・アンド・バビ(Sachin & Babi)のシニアバイスプレジデントであるエイミー・リオダン氏は、アフィリエイトは特定のオーディエンスに焦点を当てる場合にもっとも効果を発揮すると話した。

「サッチン・アンド・バビは、アフィリエイトマーケティングをかなり戦略的に活用しており、ワードローブに投資しようとしている非常に熱心で洗練された顧客にアピールする機会だと捉えている」とリオダン氏は言う。「また、ファッション、ビューティ、ウェルネスの発信地となっているパブリッシャーには大きな価値を見いだせる。そうしたパブリッシャーが選んで紹介するパートナーには信頼性があるからだ」。リオダン氏はアフィリエイトマーケティングをトップ・オブ・ファネルの成長チャネルとして扱っており、リターンを注意深く監視し、必要に応じて会社の投資を調整している。

最適なのは提携するパブリッシャーを多様化すること

アフィリエイトマーケティングを成長チャネルとして大きな成功を収めている企業もある。クリークブランズ(Clique Brands)のプレジデントであるブリアンナ・モブレム氏は、同社のサイトであるフーホワットウェア(Who What Wear)においてアフィリエイトの売上が大幅に増加し、2021年の間に230%増となったと話した。

最良のアプローチは、スミス氏いわく、ブランドが提携するパブリッシャーを多様化することだ。同じ顧客をターゲットにして、非常によく似たパブリッシャーやコンテンツクリエイターと10もの異なるパートナーシップを結ぶのは賢いやり方とは言えないという。

「一般的に、最高のアフィリエイトプログラムは多様性に富んでいる」と彼女は指摘した。Buzzfeedのようなトップ・オブ・ファネルの出版と、リテイルミーノットのような購入までの過程が短い出版を組み合わせるのが理想的だと、スミス氏は述べている。

「各パートナーは、トラフィックと収益の生成にそれぞれ異なる貢献をしている。過剰なインデックスを作成するよりも、十分に分散されているほうがよい」。

[原文:As digital ad costs increase, fashion brands turn to affiliate marketing for efficiency]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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