クリニーク、 メタバース における多様性とインクルージョンに照準を合わせる:次世代の消費者がターゲット

DIGIDAY

6月8日、クリニーク(Clinique)はふたつめとなるWeb3のイニシアチブを発表した。今回、同ブランドはメタバースにおける多様性とインクルージョンに焦点を当てる。

次世代の消費者に向けたメッセージを発信

クリニークは「メタバース・ライク・アス(Metaverse Like Us)」と名付けたキャンペーンで、テス・デイリー氏、シーカ・デイリー氏、エミラ・ディ・スペイン氏の3人のメイクアップアーティストとコラボレーションし、ソフトウェア会社Daz3Dが制作したバーチャルアバターのためのメイクアップのルックをデザインする。Daz3Dは8880点もの多様なアバターのコレクションを保有しており、その66%が有色人種のアバター、16%が障がいを持つアバターだ。クリニークが7月から9月にかけて3回に分けて行うドロップでは、無作為に選ばれたDaz3Dのアバターの保有者に向けて、1回のドロップにつき1968点の無料のデジタルメイクアップルックをリリースする予定。アバター保有者は自分のデジタルウォレットにルックを受け取り、それを自分のアバターに結合させることもできるし、希望すれば交換や売却もできる。

クリニークが初めてWeb3に進出したのは2021年10月のNFTアートコレクションのローンチで、ブランドのロイヤルティプログラムにオンラインでサインアップすれば、NFTを獲得する懸賞に応募できるというものだった。

「あらゆるブランド体験におけるブランドのさまざまな側面が現実になる。まずはロイヤルカスタマーを称賛し、サポートすることに狙いを定めた」と、クリニークのグローバルマーケティング・アナリティックス・オンライン・シニアバイスプレジデント、キャロリン・ドーキンス氏は話す。「この新しいローンチは、当社の新たな消費者と次世代の消費者に向けて、私たちはインクルージョンと多様性の重要性を理解していると発言することだ」。

Web3が初期段階のうちにインクルーシビティの促進を

Glossyで最近掲載したように、メタバースは必ずしももっとも多様な空間というわけではないが、ニックス・コスメティックス(Nyx Cosmetics)といった美容ブランドは、Web3がまだ初期段階にあるうちに、インクルーシビティを促進することを望んでいる。ニックス・コスメティックスは、多角的なプライド・キャンペーンの一環として、6月16日にBIPOCとLGBTQIA+の人々を表現した8430点のデジタルNFTアバターを販売した。多くのメタバースプラットフォームが登場し、拡大していくにつれて、美容ブランドが多様でインクルーシブなアプローチを取る可能性はさらに高まっている。

「メタバースに対しては、アバターやNFTがさまざまな(メタバース)スペースに流れ込み始めるようになるととらえている」と語るのは、クリニークのグローバルコンシューマーエンゲージメント・バイスプレジデントのロクサーヌ・アイヤー氏だ。「インスタグラムがこの分野に向けて動き出したので、他のプラットフォームも(関与していく)とみている。異なるプラットフォームやメタバースの世界を縦断するようなポータビリティが高まるだろう」。

Web3でリードし、ブランドへの現代的な認識を広める

若い消費者、テクノロジー、未来の価値観にブランドを一致させることは、クリニークによい結果をもたらしている。5月に行われたエスティローダーカンパニーズの第3四半期決算では、メイクアップにおいて2桁の成長を遂げた点が強調された。ヒーロー製品であるリップスティック、ブラックハニー(Black Honey)は、2021年8月にTikTokで再ブレイクを果たしている。ドーキンス氏は「メタバース・ライク・アス」への投資額については明かさなかったが、クリニークはこういった類のイニシアチブのためにマーケティング予算に別枠を設けているという。

ドーキンス氏によれば、2021年10月のクリニーク初のNFTキャンペーンは成功とみなされ、ソーシャルメディアのエンゲージメントの20%増加につながった。クリニークのオーガニック検索は約60%増加した。

「こうした(Web3の)領域でリードするというアイデアは、消費者をブランドに引き寄せ、そのブランドに対する現代的な認識を促進するための興味深い方法だ」。

アイヤー氏は、クリニークは2度目のローンチではClinique.comとメタバースを確実にリンクさせたいと考えていた、と付け加えた。Clinique.com上で、顧客はアバターのレンダリングとともにメイクアップルックのインスピレーションとなった製品を見ることができ、その製品を購入することも可能だ。クリニークは6月7日にインスタグラムの動画クリップで「メタバース・ライク・アス」の予告をスタートし、ローンチ当日には追加の動画と静止写真を投稿した。ドーキンス氏いわく「メタバース・ライク・アス」のソーシャル戦略の大部分はインスタグラムに注力する。

「すべての肌を祝福し、すべての肌のために奉仕するという使命にフォーカスし続け、そのことを消費者が理解できるようなやり方、消費者が参加できる方法へと変換していくことを引き続き確実に行っていく」とアイヤー氏は述べている。

[原文:Clinique sets sights on diversity and inclusion in the metaverse]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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