陰謀論、セクハラ、差別… Metaのメタバース世界で人間の悪意を見た

GIZMODO

そこに性善説はない。

今後さらなる広がるを見せるだろう新しいコミュニティの場所、第二の現実として注目されるメタバースの世界。リアルとは違う自分になれたり、大好きなアーティストのライブをみんなが間近で見られたりと楽しい話を聞く反面、現状、一部では恐ろしいことに…。MetaのメタバースHorizon Worldsが、差別や暴力溢れる悪の温床になっているという報告があがっています。

仮想世界でやりたい放題

上半身しかない世界にも関わらず、ユーザー数が30万人を超えたMetaのHorizon Worldsに先入調査を行ったのは、大手企業監視をミッションとするNPO団体SumOfUs。潜入捜査員は強いお酒を強要され、部屋に連れ込まれ押し倒されるという、聞くだけでもツライ目にあってしまいました。また、テーブルの上にはドラッグが並び、ユーザー同士はお互い差別的な言葉で罵り合っていたという報告も。

レポートには動画(観覧注意:性的暴力の描写が含まれます)も含まれています。また、あっちの世界での会話を録音され「この声、今晩のオカズにするね」という、あっちの世界とこっちの世界を繋いだセクハラ行為まで…。

Horizonのチェック体制はノープラン

SumOfUsがレポートで糾弾しているのは、Metaのメタバースプロジェクトに対する見切り発車な状況。有害なコンテンツ、ハラスメントやヘイトスピーチなどをどう管理、排除していくのか、まったく明確な計画がないままプロジェクトが進行していることが問題だとしています。

SumOfUsは、以前からFacebook/Metaに対して厳しい意見を持っている団体ではありますが、確かに指摘通り、SNSでハラスメントのコントロールの難しさを重々承知しているだろうMetaにしては、あっちの世界でノープランとはあまりにも軽いというか、性善説に頼りすぎというか…。MetaのVR部門VPであるAndrew Bosworth氏が、「(ユーザーに節度ある行動を求めるのは)いかなるスケールにおいても、事実上は不可能」と発言したことも取り上げ、プラットフォームに対する無責任さを指摘しています。

パーソナルスペース機能はあるけれど…

もちろん、完全に野放しでノータッチというわけではありません。Metaは、今年2月に、「個人境界線(Personal Boundary)」機能を実装。これはアバター間に一定の距離を設ける仕様で、ユーザーが数パターンから設定可能、デフォルトでオンになっており、公式は解除しないことを勧めています。が、実際はというと、ユーザー同士で「境界線解除して」という会話が頻繁になされ、SumOfUsの潜入捜査員も、何度も知らないユーザーから解除を促されたそうです。個人境界線発動時に誰かが近づくとコントローラが振動する仕組みで、この振動そのものが攻撃されているようで怖いという声もあるようです。

18歳以上の場にふつーに子どもがいる

Horizon Worldsにはペアレンツコントロールもありますし、プレイできるのは18歳以上となっていますが、それもあくまでも建前。捜査員によれば、実際は未成年の利用も多いのだとか。Horizon Worldsに限らず、キッズ向けのRobloxも同じ問題を抱えており、先日、VR世界でのレイプ事件もありました。

テック世界で冷ややかな目で見られることもあるメタバースの世界。

Facebook、Instagram、WhatsAppで有害コンテンツを管理できなかったMetaが、メタバース世界でも同じ過ちを繰り返しつつあることに、もはや驚きはない」というSumOfUsの言葉は、マーク・ザッカーバーグ氏にとっては、かなり耳が痛いはずですが…。

彼がそれでもプロジェクトを推し進めるのは、あちらの世界に大きな夢と野心があるからなのか、それとも性善説を強く信じているからなのか。

Source: SumOfUs

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