通販が普及した今、全国どこにいても遠くのものが食べられるようになった。北海道や沖縄の名産がボタン1つで届けられるのだから、まったく便利な世の中になったものである。
そんなある日、福岡県内の道の駅に立ち寄ったところ、福島ラーメンという棒ラーメンがズラリと並べてあって驚いた。福岡と福島。福つながりではあるが、ラーメン王国の福岡で福島ラーメンをわざわざ売るって一体どういうことなんだ?
・福島ラーメンとは
気になったことで購入した福島ラーメンは、お店で確認できた範囲だと しょうゆ味ととんこつ味の2種類が置いてあった。値段はしょうゆが200円で、一方のとんこつは220円(ともに2食入り)。よくあるタイプの棒ラーメンで、これといって珍しい特徴はない。ただ……
店内のポップによると、この福島ラーメンはなんと福岡県生まれで知る人ぞ知るうますぎるラーメンとのこと。しかも、昭和35年より製造されていて、カップヌードルの10年先輩でもあるらしい。
さらに調査すると、福島ラーメンは筑後市にある老舗製麺会社「江崎製麺」のロングセラー商品。小麦胚芽も含んだこだわりの麺は、小麦の風味豊かなもちもちとした食感なのだとか。そして「福島」のネーミングはどうやら事業終了した老舗製麺所から継承しているようだ。
・しょうゆラーメンから実食
福島だけど県じゃない。一通り福島ラーメンについて勉強したところで、しょうゆ味から食べてみよう。袋の中に入っているものは実にシンプル。
棒ラーメンとスープのみで、誰でも簡単に作ることができる。450ccのお湯に麺を入れ、サッと茹でてスープを加えて煮込めば完成だ。1杯あたり100円、その実力はというと……
どちらかいうとアッサリめではあるのだが、隠れたパンチ力が隠されているような気がした。どういうことかというと、スープがほのかにピリリとしていてエッジが効いているのだ。原材料には生姜の文字。ほぉ、君の仕業かぁ……!
まぁ棒ラーメンなのでそれ以上も以下もない味ではあるものの、個人的には老若男女誰が食べても美味しいと思うこの感じがいい。こういうのでいいんだよの典型例だ。
そしてせっかく福岡発のラーメンなので、現地に長いこと住んでいた砂子間記者に感想を聞いてみた。食べんね、食べんね!
砂子間「うん、普通に美味しいですね。どこか小学生が食べてる姿を想像できるような味でなんだかホッコリします。安心できる味といいますか、福島ラーメンは初めて食べましたけど “よか” ですね」
・とんこつの味はどう?
妙に「小学生が食べてる姿を想像できるような味」に納得したところで、とんこつ味の方も食べてみよう。
こちらも しょうゆ同様に5分もあれば完成する。とんこつはとんこつでも種類は豊富だが、これは……
ストライクゾーンど真ん中だ。トガることなく、一言で表現するなら原点回帰がしっくりくる。脳がバグるほどウマいわけじゃないけど、田舎の風景を思い出すような素朴な味……こういうの……こういうのでいいんだよ!
60年以上の歴史があるだけに、こちらもしょうゆと同じく誰にでも食べやすい仕様となっていた。ちなみに余談だが、江崎製麺は以前に当サイトで紹介したピンク色をした「運命の赤い糸ラーメン」なんて変化球商品も出している。
これらはネット通販でも売られているため、全国どこでも手に入る……何なら福島県で福島ラーメンを食べることもできてしまう。冒頭でも書いたが、それにしても便利な世の中になったものだなぁ。