ウクライナ危機 で、2022年の米国「広告費予測」が下方修正 : IPGのマグナが予測

DIGIDAY

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ロシアのウクライナ侵攻は、ブランドの安全問題から広告主によるキャンペーンの中止まで、すでに広告コミュニティーに大きな波紋を広げている。現在、今年の広告費の予測にも影響を与え始めている。広告予測会社IPGのマグナ(Magna)部門による2022年米国の広告支出予測を読み解く。

ロシアのウクライナ侵攻は、ブランドセーフティの問題から広告主によるキャンペーンの中止まで、すでに広告コミュニティーに大きな波紋を広げている。現在、今年の広告費の予測にも影響を与え始めている

広告エージェンシー持株会社のなかで、3社の主要な広告予測会社の1社であるIPGのマグナ(Magna)部門は、2022年の米国の広告費総額の成長予測を、前年比11.5%とやや控えめに修正した。それでも予測された広告費は3200億ドル(約40兆円)と高額ではある。米国の広告費が3000億ドル(約37兆円)を超えるのは初めてだ。しかし、ロシアによる侵略前の予測12.6%から1%ほどポイントが下回っている。

マグナのグローバル・マーケット・インテリジェンス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるヴィンセント・レタン氏は、この下方修正がロシアによるウクライナ侵攻によるものだと指摘し、いくつかの業界でサプライチェーンの問題が続いていることが二次的な原因となっていると述べた。3月28日に修正された見積もりが発表されたとき、レタン氏は「ウクライナ危機はすでに消費者と企業の信頼を直撃している。それは2022年の経済成長を減速させ、インフレ傾向を煽るだろう」と事前に用意されたコメントで述べた。「経済的影響の深さと長さを評価するのは時期尚早だが、マグナは米国経済はこの新たな挑戦を切り抜けるだけの力を持っていると考えている」とのことだ。

景気後退を防ぐ大統領選挙

レタン氏は、堅実な政治広告シーズンが米国経済の主因であり、そのことがこれ以上の景気後退を防ぐと指摘した。連邦選挙委員会のデータをマグナの予測の根拠として引用しながら、彼は今回の選挙周期がメディアに62億ドル(約7760億円)をもたらすと予想しており、これは2018年の選挙周期と比較して41%の増加であると述べた。この政治広告に流れる巨額の資金の主な受益者は地方メディアと見られ、マグナは2018年から26%増の42億ドル(約5250億円)を地方メディアが確保すると予測している。

また、予想されていた成長率を維持するのに大きく役立っているのは、テクノロジー、通信、エンターテインメント、旅行、ギャンブルなど、2022年も引き続き多額の支出を行っている広告カテゴリで、これらはすべて、平均よりも速く成長するとマグナは予想している。一方、自動車業界はサプライチェーンの問題で苦戦を続けている。

マグナは、映画館の広告が前年比168%の4億5000万ドル(約560億円)と、パーセンテージでもっとも急速に成長する広告媒体になると予想しているが、パンデミックのあいだに映画館事業が大幅に閉鎖されたため、成長が比較的低調であった2020年〜2021年の小さな金額と比較しての話だ。コネクテッドTV/ストリーミングは、2021年の58億ドル(約7260億円)から27%成長し、短編ビデオは2021年の160億ドル(約2兆円)から23%成長すると予測されている。

マグナの競合他社による予測

一方、ほかの主要な広告支出予測プレイヤーは、ピュブリシス(Publicis)のエージェンシーであるゼニス(Zenith)とWPPのグループエム(GroupM)だが、グループエムでビジネス・インテリジェンス担当グローバル・プレジデントを務めるブライアン・ウィーザー氏は、予測数値を変える計画はまだないと語った。

「世界の大部分に影響を与えている現実的な懸念にもかかわらず、全体的には、世界経済活動は比較的プラスの方向に進み続けている。(中略)2021年末に予測した広告の成長レベルを支える経済状況が続いている」と彼は最近の報告書に書いている。ピュブリシスのゼニスにも彼らの予測がロシアによるウクライナ侵攻を受けて変更されるのか、コメントを求めたが、記事執筆時点で回答は得られていない。

[原文:Magna revises U.S. ad spend for 2022 amid invasion of Ukraine

Michael Bürgi(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by Ivy Liu


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