アリババ のプラットフォームのB2Bカテゴリーにビューティが上昇:背景にビューティスタートアップのブーム

DIGIDAY

パンデミックが続くなかで新規事業が急増しているが、Alibaba.comのデータが示すところによると、その多くがビューティブランドである。

アリババ・グループ(Alibaba Group)が運営するAlibaba.comは、国際的な企業と中国のメーカーをつなぐ商取引プラットフォームで、「ビューティとパーソナルケア」が現在3番目に大きなカテゴリーとなっている。米国の国勢調査のデータではパンデミックの間に新規事業登録数が53%増加しており、このカテゴリーは同プラットフォームで急成長している。

「ビューティとパーソナルケアは、過去2年間にわたって着実に増加傾向にある」と話すのは、Alibaba.comで北米B2Bブランド・エクスペリエンス・インサイト部門のトップを務めるエリカ・チャン氏だ。「昨年と比較すると、ビューティとパーソナルケアはトップ10から現在トップ5になったカテゴリーだ」。

このプラットフォームにて注文されたビューティサブカテゴリにおけるトップ5のアイテムは、ヘアエクステンション、メンズグルーミング、つけまつ毛とそのツール、スキンケアと関連ツール、スパやヘアサロン向けの美容機器となっており、Alibaba.comの全カテゴリ中の平均注文額は約2000ドル(約24万4400円)となっている。

副業や趣味で始めたものがビジネスになっている

Alibaba.comを調達に利用している企業には、サービス業とeコマース業の両方が含まれている。また、多くのサービス業がパンデミックをきっかけにeコマースへと事業を拡大している。

たとえばテック起業家のオーレリア・エドワーズ氏は、2020年3月にデザイン性のあるプレスオンネイルをカスタムフィットさせるAIアプリ、ネイルストリー(Nailstry)をローンチした。彼女はAlibaba.comから1万ドル(約122万円)の現金による助成金を受け、それを活用してネイルチャームなどのデザインアイテムのほか、アルコールパッドや爪やすりといった、同ブランドのカスタムネイルキットの商品を調達している。

エドワーズ氏は、2018年にニューヨークのウェストビレッジにプレスオンネイルデザインの店をオープンした。パンデミック前に自分のプレスオンネイルブランドについて初めて友人に話したときは「頭がどうかしていると言われた」と彼女は言う。だがパンデミックの影響でデザイン性の高いプレスオンの需要は急増した。彼女いわく、このトレンドはパンデミックの最中に新規ビューティビジネスを誘発した広範なDIYブームの一環だ。「消費者の立場では、もともとビューティに関心のあった人が自分でやるようになったというケースが増えた。また、何か副業を探していた人たちもいて、おそらくそうした人たちがパンデミックの際に(自分のキャリアの方向性を)転換し、ネイルビジネスを始めたのかもしれない」。

「個人の注文とビジネスの注文の境界線が、ますます曖昧になってきている」とチャン氏は指摘している。「副業や趣味で始めたものが、やがてビジネスになっていく」。

個人ブランドの新規参入を支える

ビューティスタートアップのブームの背景には、ソーシャルメディアやあらゆるレベルでのインフルエンサーブランドの台頭もある。

「こうしたインフルエンサーの多くは、何であれ自分の製品で人気を収益化したいと思い始めている。アリババはすばらしい調達源だ。自分のメイクアップラインを持つにあたって新規参入の障壁がとても低い」と語るのは、ビューティツール企業エヴァ・ジェーン・ビューティ(Eva Jane Beauty)を創業したエミー賞受賞歴のあるメイクアップアーティストのエヴァ・ジェーン・バンクリー氏だ。同ブランドは主にAmazonで販売しており、シグネチャー製品となる米国製のメイクアップバレット(Makeup Bullet)スポンジのほか、Alibaba.comから調達したシリコンブラシといったツールを提供している。

小規模な企業にとって、Alibaba.comからの調達には問題がないわけではない。バンクリー氏は、同プラットフォーム上で自分のメイクアップバレットのコピー商品が出現しているのを目にしたことがあると話したが、「権利侵害を報告すれば、毎回削除してもらえるのはいいことだ」と答えている。

また最低発注量も小規模な企業にとっては課題となり得る。

「小規模ビジネスとして、1万という最低発注数は私には合わない。だが、交渉して適切なベンダーを見つければ、より少ない量で発注できる」とエドワーズ氏は述べた。ときには最低数になるようにほかの企業と一緒にまとめて発注をすることもある。

目指すはサプライヤーベースの多様化

より多くのビジネスが誕生するにつれて、Alibaba.comはとくにグローバルなサプライチェーンにおける国際的な輸送の問題を考慮して、将来的には中国からのサプライヤーに注力し、より広範囲に拡大することを目指していると主張している。

「サプライチェーンの課題は残念ながらまだ過去のものとはなっていない」とチャン氏は言う。「Alibaba.comにとって、ここ数年での変革の一環として、我々のサプライヤーベースの多様化がある。当社の成長の経緯から、これまで我々のサプライヤーの大半は中国やアジアを拠点にしていた」。現在の目標は「世界のあらゆる地域でサプライヤーを確保することだ。たとえば米国を拠点とするバイヤー向けのアジアからの出荷が遅れているなら、地元かあるいはもっと近い地域の選択肢を見つける手助けができるようになりたいのだ」。

[原文:Beauty rises to become one of Alibaba.com’s top B2B categories]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida、編集:黒田千聖)

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