米政府は2022年4月6日(米東部時間)、ウクライナに侵攻したロシアへの追加経済制裁を発表した。
最大手銀行の国営ズベルバンクと民間のアルファ銀行の米国内資産を凍結するほか、米国によるロシアに対する新規投資や主要国営企業との取引も禁じる。今回の制裁の特徴のひとつが、資産凍結の対象に「ロシア大統領と外相を支える家族」が含まれている点で、米政府が発表した制裁対象リストにはプーチン大統領の娘2人とラブロフ外相の妻と娘の名前も掲載されている。米政府高官は、プーチン氏が家族を通じて資産を隠し、それを「米国の金融システムに置いていると信じる理由がある」と説明している。
「国費プログラムを率いる」マリア氏と「技術系の経営者」のカテリーナ氏
プーチン氏の家族構成ははっきりしておらず、子どもが何人いるかも不明だ。ただ、今回の制裁で、少なくとも娘が2人いることは確実になった。米財務省の発表によると、制裁の対象になったのはマリア・ウラジミロブナ・ボロンツォワ氏とカテリーナ・ウラジミロブナ・ティホノワ氏。マリア氏は
「遺伝学研究のためにクレムリンから数十億ドルを受け取り、プーチン氏によって個人的に監督されている国費プログラムを率いている」
一方で、カテリーナ氏は
「技術系の経営者で、その仕事はロシア連邦と防衛産業を支えている」
という。
米政府は、その狙いも説明している。ホワイトハウスのウェブサイトに公表されている会見録によると、米政府高官のリモート会見の場で、記者から
「これは象徴的な制裁なのか。それとも、彼女たちが米国やヨーロッパに資産を持っていると信じるに足る理由があるのか」
という質問が出た。この高官は、
「我々は、プーチンとその取り巻きやオリガルヒ(プーチン氏に近いとされる新興財閥)の多くが富を隠し、家族と共に資産を隠し、資産と富を米国の金融システムに置いていると信じる理由がある」
と応じた。