ロシアのウクライナ侵攻に対して日本も制裁措置を次々に打ち出す中、ロシアの国会議員から日本を非難する声が出ている。
最も極端だとみられる主張が「北海道の全権はロシアにある」というもの。現時点での主張の「本気度」は不明だが、日本について「ロシアがどう対応しなければならないかは不透明」ともツイート。今後、荒唐無稽な主張を強める可能性を示唆している。
「現時点でモスクワではこの話題は提起されていないが」
日本はこれまで、北方領土の返還交渉を含む平和条約交渉を進めるために、北方領土について「不法占拠」という表現を使うことを避けてきた。ロシアによるウクライナ侵攻を機に方針を転換し、この表現が復活した。林芳正外相が2022年3月8日の記者会見で「不法占拠」か否かを問われて「法的根拠を何ら有していないという意味で、不法なものであると考えている」と述べたのに続いて、岸田文雄首相も3月17日の参院予算委員会で「不法占拠」だと答弁。22年版の外交青書にも、03年版以来19年ぶりに「不法占拠」の記述が復活する予定だ。
ロシア外務省は3月21日、平和条約交渉について「継続するつもりはない」と中断を発表している。
問題の発言の主は、中道左派の野党「公正ロシア」の党首を務めるセルゲイ・ミロノフ氏。「公正ロシア」は21年の下院選で27議席を獲得し、与党の統一ロシア、野党の共産党に次ぐ第3党だ。ミロノフ氏は01年から11年にかけて、上院にあたる「連邦院」の議長を務めたという経歴を持ち、今は下院の副議長を務めている。
ミロノフ氏は4月1日、
「日本はロシアに対して、繰り返しクリル諸島(編注:北方領土と千島列島)に関する主張を繰り返してきたが、一部の専門家によると、北海道の全権はロシアにあるという」
とツイート。今後の対応について、次のように書き込んだ。
「現時点でモスクワではこの話題は提起されていないが、東京(日本政府)の対決路線がどこに向かい、ロシアがどう対応しなければならないかは不透明だ」