すでにファッションの主要ブランドを魅了している、ディセントラランド（Decentraland）。現在、この分散型仮想世界にビューティ業界大手が進出しつつある。
ロッティロンドン、ディセントラランドへ進出
ディセントラランドでメタバース参入を果たした最新のビューティブランドは、ロッティロンドン（Lottie London）だ。同ブランドは、3月17日、セレブリティネイルアーティストのショーン・レジェンド氏との新しいネイルコラボレーションのローンチ（ウォルマートで販売される）を祝うために、初のメタバースパーティの会場としてディセントラランドを選んだ。3月24日から始まっているメタバースファッションウィークのホストであるディセントラランドは、消費者にフレンドリーなマーケティングの新規機会を求めているブランドからますます注目されているメタバースだ。
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「我々は消費者とファンのために総合的なエクスペリエンスをデザインした」と述べているのは、ロッティの親会社であるブランドエージェンシーロンドン（Brand Agency London）のグローバルマーケティングディレクター、ノラ・ズコースカイト氏だ。物理的なパーティなら「ロサンゼルスかニューヨークのどちらかだけでの開催になるのだが、ディセントラランドでのエクスペリエンスと機会は無限だ」。このイベントの計画に要したのはわずか1カ月だった。
ロッティのローンチイベントは、ディセントラランドのベガス・プラザ地区にあるナイトクラブのようなカサ・アスルが会場となり、ディセントラランドのインフルエンサーらが派手なバーチャルルックで盛り上げた。パーティでは、リアーナ氏やゼンデイヤ氏、キム・カーダシアン氏やカイリー・ジェンナー氏のネイルアートで有名なショーン・レジェンド氏とのビデオインタビューが披露された。また、出席者はロッティのベストセラー製品に基づいたメイクアップルックをした無料の仮想アバターヘッドを受け取った。
協働したいセレブは誰かという質問にレジェンド氏はこう答えている。「エリザベス女王に長いコフィンネイルをしてみたいね」。
このイベントスペースは誰でも1週間訪問することができるようになっており、最初の24時間で1000人以上の訪問者が訪れた。この出足によって「没入型体験に大きな関心があることが示唆された」とザコースカイト氏。
ロッティは、このキャンペーンでビューティ顧客とディセントラランドコミュニティの両方をターゲットにしており、ディセントラランド内はもちろん、出席の方法の説明も含めてソーシャルプラットフォーム全体で宣伝している。ザコースカイト氏は、出席者の「大多数」はディセントラランドコミュニティからだと推定している。
ディセントラランドでブランドパーティに参加する方法
ディセントラランドでのブランドローンチパーティに参加するには手順がいくつかある。まず、ユーザーはディセントラランドのプロフィールを作成して、マップをクリックしてイベントを見つけなければならない。今回のロッティのパーティの場合はカサ・アスルを見つけるということだ。ローンチパーティの時点では、仮想マップ上のマークされてない一連の座標をクリックして見つけるようになっていた。
また、このイベントの場合、出席者はクリックして、ロッティのPOAP（参加プロトコールの証明の略）のコレクタブルなトークンを受け取ることができた。トークンは仮想アバター用メイクアップルックと交換できるようになっている。そのルックには、ロッティのメガブロウ（Mega Brow）、スタンプライナー・ウィングエディション（Stamp Liner Wing Edition）、フレクルティント（Freckle Tint）製品が使われた。ロッティは、12時間以内に1000個のPOAPトークンを使い果たし、さらに1000個を鋳造しなければならなかった。
「メタバースとディセントラランドは美容好きな消費者が大勢集う場所とはいえないが、新しいオーディエンスと消費者にリーチできるので大きな可能性を秘めている」とザコースカイト氏。
メタバースでのファッションとビューティ製品の使われかた
主要ブランドがメタバースファッションウィークに関する宣伝に便乗しつつあり、ディセントラランドはそのようなブランドをますます惹きつけている。参加ファッションブランドには、ドルチェ＆ガッバーナ（Dolce & Gabbana）、エトロ（Etro）、トミーヒルフィガー（Tommy Hilfiger）、ダンダス（Dundas）、カヴァリ（Cavalli）、ニコラスカークウッド（Nicholas Kirkwood）、エリーサーブ（Elie Saab）などが含まれる。
またビューティブランドも遅れをとってはいない。エスティ ローダー（Estée Lauder）はメタバースファッションウィークの単独ビューティブランドパートナーである。これは、1月下旬にディセントラランドで開催されたバルデ・ビューティの最新作の口紅とNFTのローンチパーティに続くものだ。
仮想世界では、アバターの外見が重要なステータスシンボルとして機能する。ファッションやメイクアップなどで、ファッションとビューティ（ロッティやフェンティビューティなど）双方のブランドはメタバースのアバタールックを実験的に制作している。
ディセントラランドの献身的な既存コミュニティは、アバターを着飾るために仮想スタイルを購入したり仮想パーティでその姿を披露したりしているため、ビューティブランドは出席者のためにメイクアップのルックを制作している。
メタバース関連のビューティルックに関心を寄せているブランドもある。フェンティビューティは「ダウンロード可能な仮想グッズ」に対して商標を申請したばかりだ。グッズに含まれるのは、「化粧品とメイクアップをフィーチャーしたコンピューターゲーム、化粧品とメイクアップ用品、ヘアケアの支度、ヘアカラーリングの支度、ヘアスタイリングの支度、ヘアケア用品、ヘアカラーリング用品、ヘアスタイリング用品、スキンケアの支度、スキンケア用品、石けん、香水、パーソナルフレグランスなどであり、これらすべてががオンラインの仮想世界で使われることになる」ということである。
ディセントラランドでのプロモーションの一環としてNFTを使うブランドもある。エスティ ローダーはメタバースファッションウィークのために、同社の製品のアドバンス ナイト リペア セラム（Advanced Night Repair serum）がインスピレーションとなったNFTを1万点無料配布する。ロッティロンドンはディセントラランドのパーティーでNFTをローンチしなかったが、ブランドエージェンシーロンドンが所有する姉妹レーベル、シアテロンドンは、2021年9月にクリスティン・クイン氏とのコラボレーションの一環としてNFTを制作したビューティブランドの最初の1社でもあった。
ザコースカイト氏によると、ロッティの親会社、ブランドエージェンシーロンドンは、同社のポートフォリオ全体のブランドのメタバースとゲーム関連のプロモーションに関して、将来に向けて「多くの業務を行っている」ということである。
「今回は初めてだったが、何かを初めて行うときにはどうなるのかというトライアルはつねに少々ある」と同氏。「正直言って大成功は期待していなかった。（開催を実際の場所の）1カ所に限定したとしたら、これだけの客足を実現するのはかなりむずかしかっただろうと思う」。
［原文：Decentraland is becoming a metaverse beauty hub］
LIZ FLORA（翻訳：ぬえよしこ、編集：山岸祐加子）
