ロシアの侵攻が激しさを増す中、新型コロナウイルスに感染したウクライナ在住の日本人女性が、「陽性なら帰国できない」と日本大使館側から言われたと、ツイッターで苦境を訴えている。
感染が分かったときは、日本政府から退避勧告が出ていたが、なぜ対応できなかったのか。外務省の海外邦人安全課に話を聞いた。
「大使館側は、陽性なら帰国できないと説明してきた」とツイート
ツイッターのアカウントによると、この女性は、ウクライナ人の夫や子供らと首都のキエフに住んでいる。
ロシアの侵攻が現実味を増した2022年2月11日、日本政府は危険情報を最も高い「レベル4」に引き上げ、ウクライナ在住邦人に退避勧告を出した。
女性の3月2日のツイートによると、女性は2月11日、日本への航空機を予約し、翌日のPCR検査も予約した。女性は、在ウクライナ日本大使館に陽性となったときのことを聞くと、大使館側は、領事レターを出すので相談してほしいと伝えてきたという。女性は、検査を受けた結果、13日に陽性と判明した。
そこで、陽性でも帰国できるか聞くと、大使館側は、陽性なら帰国できないと説明したという。ただ、ウクライナの西側で接するハンガリーなら陰性証明が不要とも話したというが、女性は、ハンガリーで療養するのに不安を感じたと明かす。女性は投稿で、大使館側が運命だと思ってウクライナを出るのをあきらめるよう伝えてきた、ともしている。
ウクライナに残留している邦人約120人について、自民党の高市早苗政調会長は2月25日、ごく少数以外は退避しようとしていないとツイッターで報告し、「よって、大使はじめ邦人保護に携わっておられる大使館員も退避できず、邦人の安否が心配でなりません」とつづった。
これに対し、女性は3月2日、自分たちのために大使館員が退避できないと言われたようでショックだとツイッターで明かした。そして、大使館側は、陽性なら帰国できないと言わずに何とかしてほしかったと書いていた。