テレワークしている人の割合“宣言”解除後 最低に 民間調査(NHK)
新型コロナ対策としてテレワークの積極的な活用が求められる中、テレワークをしている人の割合が、緊急事態宣言の解除のあと低下し、感染拡大以来、最も低くなったとする民間の調査結果がまとまりました。
日本生産性本部は、企業や団体に勤める人たちのコロナ禍での働き方をほぼ3か月ごとにアンケート形式で調べていて、今回の調査は、20歳以上の1100人を対象に先月中旬、インターネットで行いました。
それによりますと、週に1日以上、自宅などでテレワークをしている人の割合は18.5%で、前回・去年10月の調査から4.2ポイント低下し、おととし5月の調査開始以来、最も低くなりました。
調査対象期間が明示されていませんし調査対象範囲も十分であるか微妙ですが、ともあれ新型コロナウィルスの感染者数が随所で過去最多を更新してきた中で、テレワークをしている人の割合が調査開始以来、最も低くなったことが伝えられています。感染症予防など気にしない人の方が、徐々に盛り返していった結果と言えるでしょうか。
今の時代に鉄砲が得意でも役に立ちませんし、戦国時代に英会話が得意でも役には立ちません。時代や状況が変われば、必要とされる能力もまた変わるものです。テレワークという劇的な働き方の変化においても然りで、従来型の出社を前提として就労環境とテレワークとでは、求められるものが変わってくるのは必然と言えます。
今まさに起こっているのは、従来型の働き方において主流派であった人々と、テレワーク導入によって立場が上向いてきた人々との間のせめぎ合いなのではないでしょうか。そして出社型勤務で幅を利かせていたけれどもテレワークでは成果の出せない人の反攻が実った結果として、ここに引用したような数値に繋がっているように思います。
何度か書いてきたことですが、私の勤務先ではコロナ前からテレワークの制度がありました。ただそれは障害などの理由で通勤が出来ない「ワケあり」の人だけが利用するものであり、「普通の」人はもれなく出社して業務を行っていました。これが政府の緊急事態宣言を受けて、障害の有無にかかわらず全社員がテレワークを行うようになったのです。
それまでは一部「ワケありの」人以外は全員が出社していましたので、当然ながら業務も出社を前提にして組み立てられており、出社できない人は至って限定的な範囲の業務にしか従事できていませんでした。これが一変したのは緊急事態宣言が出てからで、業務はリモートを前提に運用されるようになり、出社する人もそうでない人も等しく業務に関わるようになりました。
働き方が大きく変わる中、事実上の障害者枠でしかなかった在宅勤務者が「普通の」社員と同じ仕事をするようになり、それまで目立たなかった人が頭角を現したりもする一方、逆に存在感を失っていく人もいたわけです。かつては社内で部下を怒鳴り散らしては権勢をほしいままにしていた人が途端にいるのかいないのか分からない人になったり等々、舞台が変われば出番も変わるのがよく分かります。
テレワークで働きやすくなった、業務の効率が上がった人もいれば、反対に従来通りの出社を前提とした働き方に依存する形で地位を築いてきた人の中には環境の変化に適応できない人も多いのではないでしょうか。声の大きさで周りを押さえつけてきた人、飲み会に皆勤して偉い人から気に入られてきた人、そうした人にとってテレワークは脅威でしかありません。
戦争に負けてGHQに占領されて、日本は民主化しました。そして新型コロナウィルスの感染が拡大して政府が緊急事態宣言を出すに至り、全国各地でテレワークが始まりました。GHQが去っても民主体制から軍国主義に戻ることはありませんでしたが、コロナの場合はどうでしょうか? コロナを契機に社会が前進できるのか、それとも旧体制に回帰するのか、どうにも優勢なのは後者のようです。