観光に賭けた京都市の悲惨な現状 – 川北英隆

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面白いデータがあることを知った。九州経済調査協会が月次に公表している「宿泊稼働指数」である。ホテルや旅館の部屋が実質的にどの程度稼働しているのか(宿泊者を受け入れたのか)のか数値である。数値が高いほど部屋が埋まっていることを示す。

2/3に公表された宿泊稼働指数によると、今年1月の全国平均は32.1、前月の53.7と比べ21.2低下した。前年1月の22.8と比べると、それでも9.3上回っている。とはいえ、コロナ感染の急速な拡大があるため、2月の数値がどうなるのか、予断を許さない。

ちなみに、コロナ感染の前の稼働指数(全国平均)は55前後で推移していた。ピーク時には60に到達する程度だろうか。全国平均から離れ、府県別の指数を見ていると、コロナ前の各道府県の最高値は70を少し上回る程度である。人気の宿泊施設では満室になる一方、そうでない施設は空きがあることと、平日と土日・祝日とでは大きな差が生じるので、どうしても最高で70少しの水準にとどまるのだろう。

本題だが、このデータを眺めていて気になったのが京都府の稼働指数の低さである。今年1月の京都は10.1、全国最下位である。水準としても「たった1割しか埋まっていないの」である。前年同月と比べて12.3低下している。この低下幅も全国最大、悲惨である。

京都の観光シーズンである11月で見ると、昨年11月の稼働率指数は34.7だった。その月の全国平均が51.8だから、それを大きく下回る。順位も下から3番目と、やはり悲惨である。京都の昨年12月は24.4だった。これは全国最低である。例年12月の京都は低いのだが、コロナの感染が一服した月であるにもかかわらず、前年同月と比べ1.9低下している。低下したのは全国で京都だけである。

何故こんなに京都が惨めなのか。外国からの観光客を当てにしたホテルが乱立したからだろう。高級ホテルだけではなく、小さなホテルがたくさん、市の中心部に新たに建てられ、閑古鳥だけが群れている。和服自慢の市長はんの号令の下、京都市の姿勢が観光に大きく舵を切った。それが裏目に出たわけだ。新設ホテルが倒産し、廃業したら、建物が廃墟と化すのか。どうするのだろうと、本当に心配になる。

市政として、観光だけに賭けるべきでなかった。市政としての分散投資が必要だったのにと思う。観光に賭けるとしても、最大の観光資源である寺社を金銭的にいかに巻き込むのか、それによる京都市としての財源確保に腐心すべきだった。

観光が超不振な京都市、財政的に破綻に向かっている。京都市庁舎を立派にしている最中なのだが、それで思うことがある。少し儲かると(京都市の場合、コロナ前は観光で潤った)、自分たちの職場を立派にしたい、立派な建物を見せびらかしたいと思うのが世の常であり、その結果の多くは凋落である。和服の市長はんもその甘い罠にはまったのか。

いずれにしても京都市は最大の危機を迎えている。市民として心配の種である。

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