「調べ物はGoogleではなくSNS」「エンタメはテレビではなくYouTubeとTikTok」など、若者文化の変容が指摘されるようになってずいぶん経った。
最新のトレンドを生み出す高校生たち。彼ら彼女らも何年かすると経済力をもち、次の社会を回していく主力になる。
ウェブライターの端くれとしてトレンドを把握するのも大事な仕事、と直近のアンケート結果を何気なくチェックした筆者。ところが……まったくついていけない……だと?
・渋谷トレンドリサーチ
調査を行った株式会社アイ・エヌ・ジーでは、30年以上にわたってティーン市場のマーケティングリサーチをしてきているそう。恒例の「渋谷トレンドリサーチ」ということで、関東在住の高校生男女200名に「流行に関するアンケート調査」を実施。
まずは「今流行っている言葉は?」という質問。言葉は文化を映す鏡。どれだけ新語や造語が飛び出してくるかと思ったら……
※画像に出ていない1位は「アセアセ」(※半角カタカナ)
「アセアセ」「生きるwww」「きまず」などなど、全然普通の日本語じゃんか! 意味わかるよ?
と思ったら大間違いだった。ほぼすべての言葉が人気YouTuberの名セリフであったり、TikTok投稿がきっかけ! 元ネタがわからずに使っては大恥だ。由来はYouTuberの中町綾さん、ウチら3姉妹のとうあさん、パパラピーズ……。
言葉づかいのモデルがYouTuberだったりTikTokerだったりするんだな。そもそもインフルエンサーのファンになる、という経験がない筆者には冷や汗もんだ。
ちなみに「今一番好きなインフルエンサーは?」「今好きなTikToker(TikTokアカウント)は?」「今好きなYouTubeチャンネルは?」の結果は次の通り。コムドット強し!
※画像に出ていない1位は「とうあ(ウチら3姉妹)」
※画像に出ていない1位は「【コムドット】やまと」
※画像に出ていない1位は「平成フラミンゴ」
おおぅ……挙げられている固有名詞が、ほとんどわからない……。ここはどこ……。
YouTubeでは複数回答とはいえ30%を超える人が同じ上位チャンネルを挙げている。友達同士で同じ動画を見て、話題を共有するのだろう。
ボーッとしていても流れるテレビと違って、YouTubeもTikTokも自分から見に行かなければ永久に触れる機会がない。「見てきたもの」がまったく異なる人たちが一緒に働いたり活動したりするのって、これからますます大変だな。
一方で「今一番聴いている曲は?」や「今一番好きなアーティスト・アイドルは?」という質問になると、回答が分散化。
※画像に出ていない1位は「初心LOVE / なにわ男子」
※画像に出ていない1位は「なにわ男子」
「なにわ男子」が人気ではあるものの、クラスで3人くらいが「一番好き」といえばランクインする計算。音楽の趣味は多様化しているのかもしれないなぁ。
大手レコード会社に所属してCDを出す、というだけではない音楽の発表の場が増えて、作り手も聴き手も細分化しているのだろう。
「今流行っている物事は?」という質問の1位になったのは「ホカンス」。“ホテル” と “バカンス” を組み合わせた韓国発祥の造語だそうで、旅行の代わりに近場のホテルに集まり、写真を撮ったりパーティーをするのだそう。
「高校生がホテルを予約!?」と思ったが、内容は撮影やおしゃべりやおやつといった「女子会」で、これは古今東西変わらない。ちょっと安心。
「今流行っている食べ物は?」ではマリトッツォやトゥンカロンも挙がったものの、韓国流のバースデーケーキ「センイルケーキ」が1位。日本では見ないようなカラフルなケーキをオーダーしてホカンスするのだそう。
あとは「平成ギャル」「平成プリ」「ルーズソックス」「スケボー」など、なんだか懐かしくなるような物事がランクイン! 少し前から続くギャルブームの影響で、「今一番好きなモデル」第1位には池田美優さんが選ばれたそう。
調査は最後に「次に流行ると思う物事は?」をまとめて終了。
「まぎか」とは人気YouTuber 平成フラミンゴが「まじか」と発言する時に滑舌が悪く聞こえる定番のセリフ、「動脈ピース」はSnow Man 向井康二さん考案の頸動脈の位置にピースを当てるポーズだそう。韓国発祥の揚げドーナツ「クァベギ」のような韓国ブームも続きそう。
なるほど! わかったような、わからないような。
これは今まさに、インターネット文化をめぐる大きなパラダイムシフトが起きているということなのか、それともいつの時代も年配者は若者を「まったくわからん」と思ってきたものなのか。
どちらにしてもこのままでは時代に取り残される不安が満々である。至急、顔を洗って出直します。
出典:渋谷トレンドリサーチ / (株)アイ・エヌ・ジー(https://www.i-n-g.co.jp/)
参考リンク:PR TIMES
執筆:冨樫さや