コロナが社会にもたらした好影響 – 非国民通信

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東京一極集中が鈍化 「転入超過」が最少に 21年人口移動報告(毎日新聞)

 総務省は28日、住民基本台帳に基づく2021年の人口移動報告を発表した。東京都は、転入者が転出者を上回る「転入超過」の人数は前年より2万5692人減り5433人で、外国人も対象に含める集計方法になった14年の調査開始以降最少となった。東京23区では、年間の転出者(38万2人)が転入者(36万5174人)を上回り初めて転出超過に転じた。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うテレワークの普及などにより、東京都から離れて生活する人が増えたことが影響しているとみられ、東京一極集中の流れが鈍化している。

(中略)

 東京都に神奈川、千葉、埼玉3県を加えた東京圏では8万1699人の転入超過だったが、14年以降では最も少なかった。

 東京都を除く3県の合計では転入超過の人数は20年より拡大した。市町村単位では神奈川県茅ケ崎市が転入者の増加率が20年比で44%、同県藤沢市が21・5%、埼玉県上尾市が18・7%を記録した。都心から離れた自治体への転出が進んでいることがうかがえる。

 新型コロナウィルスの感染拡大は、シワ寄せを受ける一部の業界にとってはさておき、社会全体にとっては良い影響をもたらしている部分も多いように思います。それは日本の民主化を進めた敗戦とGHQ統治のようなもので、もし日本が先の戦争において有利な条件で講和など結んでいた日には、日本の民主化はずっと遠のいていたことでしょう。コロナも然り、SARSやMERSウィルスの時のように運良く感染拡大から免れていたなら、日本の社会は何も変わらないままであったはずですから。

 上記引用の通り、東京都への転入超過が過去最低を記録、23区に限れば現行の集計方法において初の転出超過を記録したわけです。日本中で人口が減少していく中、職の都・東京へと人々が地方から移り住んでくる、それは長らく問題視されつつも有効な対策が見いだされることなく、続いてきました。これが漸く変わりつつあるのですが、コロナなくしては起こりえなかったのではないでしょうか。

 東京都知事である小池百合子は公約の一つに満員電車ゼロを目指すことを掲げていました。公約は目指すことであって実現することではありませんでしたが、新型コロナウィルス感染拡大の後の緊急事態宣言が発出されるに至り、少なからぬ期間において満員電車ゼロが達成されたわけです。しかしこれが小池百合子のおかげなのかコロナのおかげなのかは、考えるまでもないでしょう。

 季節性のインフルエンザにより、日本では例年1万人程度が死亡していると推計されています。ところが新型コロナウィルスの感染拡大が始まって以降、季節性インフルエンザの感染者は激減、ほぼ撲滅されたかのごとき様相を呈しているわけです。コロナのおかげで公衆衛生が改善された、感染症を拡大させるような問題行動が抑制されるようになった、その副産物としてインフルエンザを初めとした従来型の感染症から、我々は守られるようになりました。

 そしてテレワークの普及も、コロナなしには考えられなかったところです。何度か書いてきましたが、私の勤務先ではテレワークの制度こそあったものの、それは障害などの理由で通勤できない「ワケあり」の人だけに許される代物でしかありませんでした。それが緊急事態宣言が出されてからは、障害のある人もない人も、普通の働き方としてテレワークが出来るようになったのですから、隔世の感があります。

 さて東京一極集中の鈍化はテレワーク普及の結果であると推測されています。通勤が毎日でなくなれば、職場である東京都心から近い場所に住む利点が薄くなる、多少の遠距離通勤でも家賃が安く広い部屋に住みたいと、近郊部へと住居を移す人が出てくるのは自然な流れでしょう。結果として神奈川・千葉・埼玉3県の転入超過は20年より拡大したそうです。

 ちなみに私は元から千葉住まいですが、これまで東京に住んでいた人の転入が増えているせいか、近隣の家賃相場が上がっていて困惑しています。日用品を買える店舗が徒歩圏内にある場所に住みたいなと思っても予算面で厳しく、この辺は良いことばかりでもありません。東京一極集中から、東京を囲むドーナツの密度が高くなっただけではまだまだ、もっと地方まで人が分散してくれないといけませんね。

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