バッチバチな2022年冬アニメ。いきなり飛ばしてる『進撃の巨人』と盛り上がってきた『鬼滅の刃』の激突はもちろん、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』とか『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』とか『最遊記RELOAD -ZEROIN-』とかビッグタイトルが目白押しだ。
ゆえに、クールが始まる前、新作の影が薄いような気がしていた私(中澤)。しかし、2~3話が放送された今、なんだかんだで次週が楽しみな新作が7個ある。中にはそんなに話題になっていないものもあるかと思うのだが、誰かに言いたいのでここに記す。2022年冬アニメで個人的に注目している新作7選がこれだー!
・『明日ちゃんのセーラー服』
女子中学生が主役の女子校中等部を舞台にした日常系。原作がヤングジャンプのwebコミック「となりのヤングジャンプ」だからか、女の子のキャラデザインのデフォルメ具合がヤングコミックっぽい。
ゆえに、百合的な楽しみ方をしている人もいそうだけど、個人的には主人公・明日(あけび)ちゃんの目線の瑞々しさに心が洗われる。小さな感動を見つけるその感覚は『よつばと!』とかにも通じるものがあり、「ポカリスエットのCM+よつばと」という雰囲気が寝る前に見るのにちょうど良い。「明日も仕事か……」って日の一服の清涼剤である。
・『錆喰いビスコ』
原作はライトノベル。と言うと、「異世界転生ものはもういいよ」って話になりそうだが、本作は文明崩壊後の日本を舞台にしたハードボイルドSF作品。人をも錆びつかせる錆び風が吹き荒れ、東京には大穴が空き、埼玉は砂漠。そして主人公は大悪党と呼ばれるキノコ守り。
SF世界にキノコがさく烈する感じに『ドロヘドロ』を連想する人がいるかもしれないが、個人的にはもっと終末的で『砂ぼうず』っぽいと思う。見終わった後「腕の傷がうずくぜ」とか言いたくなる系です。
・『TRIBE NINE(トライブナイン)』
全くノーマークだったのだが、1話見たら一気に次回が楽しみになってしまったのが『TRIBE NINE(トライブナイン)』だ。内容についてありのままに言うと、野球をモチーフにした近未来のスポーツ「エクストリームベースボール」をテーマにしたもの。
で、ぶっちゃけ面白くなさそうだと思ったのだが、なにせ登場人物が全員アウトローのためチーム同士の抗争が激しく、『東京卍リベンジャーズ』みたいになってる。「なんか狂った設定だけど面白いなー」と見ていたら、本作は『ダンガンロンパ』の制作チームが手掛けたもののようだ。
うわあ! ゲームも欲しい!! と思いきや、スマホゲーでリリースがあるようだ。コンシューマーで出してくれても良かったんやで?
・『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』
39歳の私にとって本作は完全に『逮捕しちゃうぞ』である。しかし、だるい空気感マシマシなところが現代っぽい。押しつけがましくないから、気合を入れる必要がなく気楽に見られる。Netflixのドキュメントとは真逆だ。まあ、あれはあれで素晴らしいけど。
要するに、ぼんやり見るのに最適なのが『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』。意外と2022年冬クールで1番癖になる作品かもしれない。
・『平家物語』
実は今、古典として知られる『平家物語』がアニメ放送されている。これは2021年にフジテレビの動画配信サイト「FOD」で先行配信されたものだが、まず今の映像技術で古典のとっつきにくさがなくなっているのが良い。
ぶっちゃけると私は古典とか全く興味がない人間だったりするのだが、同じ日本なのにその時代特有の残酷さや容赦の無さがもはやファンタジー。一方で、それぞれのキャラの感性は人間的なところが胸を打つ。完全に前述した気合を入れて見る系なのだが、アニメ好きじゃない人にもオススメできる作品だ。
・『怪人開発部の黒井津さん』
ウルフくんが可愛い。ショッカーみたいな組織の怪人開発部を描いた本作。言ってしまえば最初のひと言で終わるのだが、その可愛さはキーワードだと思う。
そうだよなー、今の時代、悪の組織でもコンプライアンス守ってないと新卒来ないよなー。よく考えたらリアルな内容なのを笑えるのは可愛いから。黒井津さんも怪人も、上司のメギストスも一生懸命なのが可愛い。誠に可愛いは正義である。
・『東京24区』
最後に、一番どう転ぶか分からないのが『東京24区』だ。漂う近未来感と高校生の謎グループが暗躍するという点でペルソナみたいだったので、1話時点ではかなりワクワクしたのだが、3話目を見た段階ではちょっと失速したようにも感じられる。
作画とかストーリーのガチ感が凄いので感動を期待してしまうが、はたして走りきることができるのか? 普通に終わったら埋もれてしまいそうなだけに損してる作品のように思わなくもない。とは言え、まだ3話。私は応援してます。
──以上! なお、上記に次いで注目しているのは『異世界美少女受肉おじさんと』『スローループ』『天才王子の赤字国家再生術』の3つ。後回しにしてしまうことが多いため7選から抜いたが、この3つも十分面白いので最終的に上記の7つに勝つ可能性も余裕であると思う。
また、「7作もあんのかよ!」と言う人には『錆喰いビスコ』を推したい。1クールでどこまで進めるかが肝な作品のような気もするが、尖ってるわりに間口は広そうである。というわけで、完全に個人的な好みでオススメさせてもらったので、「いまいち見るもの見つからないなあ」って人は参考にしていただけると幸いだ。
執筆:中澤星児
画像:©博/集英社・「明日ちゃんのセーラー服」製作委員会、©2021 瘤久保慎司/KADOKAWA/錆喰いビスコ製作委員会、(C) Akatsuki Inc./トライブナイン製作委員会、(C)泰三子・講談社/ハコヅメ製作委員会、©「平家物語」製作委員会、©Team24/東京24区プロジェクト、©水崎弘明・COMICメテオ/「怪人開発部の黒井津さん」製作委員会