誰も読まない規約に意味はない。
英語のスラングでこんなのがあります「TLDR」。これ、「Too Long, Didn’t Read」の頭文字をとった略語で「長すぎだから、読んでない!」という意味。読むべきなのに長すぎて誰も読まないものの代表といえば…利用規約です。今、この長すぎる利用規約にメスが入ろうとしています。
米国下院・上院から3人の議員が共同で議案書を発表。もし法案が通過すれば、今後、企業は誰もが簡単に読めるよう利用規約の要点をまとめることが義務つけられるように。ちなみに、この法案の名前は「Terms-of-service Labeling, Design, and Readability Act」、略してTLDRでちょっとシャレがきいてます。
TLDRが求めるのは、従来の利用規約とは別に、法律家じゃない普通の人が読んでもわかるレベルまで落とし込んでまとめたシンプル版利用規約の提示。特に収集する個人データの種類、取り扱い、なぜデータ収集が必要なのかは解説マストで、データがどこでどう共有されるかについては図を交えてさらにわかりやすく記載するよう求めています。また、収集されたデータをユーザーが消去してほしい場合の手順も明記すること、過去3年間のデータブリーチの報告なども含まれています。さらにコンピュータが自動解析できるよう機械可読版の提出も必要。
内容だけ聞くと非常に素晴らしい法案なのですが、現実的には難しいという見方もあります。TLDRはあくまで利用規約であって、プライバシーポリシーは含まれないので、そもそも全方位的とも言いがたく、法案は法案で終わってしまう可能性が大きようです。しかし、法案を出すことで、誰も読まないような利用規約でいいのか? という社会的問いかけの意味はあります。企業に対しても、ユーザーに対しても注意喚起にはなるかもしれません。