イギリスで開かれていたG7外相会合で、日韓の外務大臣が11日に短時間立ち話したことが話題を集めた。
【映像】韓国で日本の漫画キャラに扮するコスプレイヤーたち(2分ごろ〜)
11月、韓国の警察トップが不法に竹島に上陸し、日本政府が厳重に抗議する事態が起きた。これまでにも、元徴用工問題をきっかけに日本は韓国への半導体部品の輸出管理を強化した。さらに当時の岸田外務大臣が「日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷を癒す措置を講じる」と話していた元従軍慰安婦の問題では、韓国と最終的かつ不可逆的な解決に合意したにもかかわらず、現在も賠償責任が求められているなど、問題は山積みだ。
かつて日韓共催となったサッカーワールドカップ(2002年)では手を取り合った両国。日韓関係が『戦後最悪の状態』といわれる一方、いまやコスメ、ファッションだけでなく、K-POPをはじめとした韓国エンタメも日本の若者に人気を集めている。文化面では良好な関係を築いているように見えるが、なぜ日韓の溝は埋まらないままなのか。
ニュース番組『ABEMA Prime』に出演したネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「隣国が揉めるのは当たり前だ」とコメント。「フランスとイギリスは海を挟んで隣国だが、魚を獲りすぎたなどの話でずっと揉めている。溝があるのは当然で、受け入れた方がいいと思っている」と話した。
「統一日報」論説主幹で元駐日韓国大使館公使の洪熒氏は、日韓両国の外務大臣について「本当に2人とも外交官らしくない」と言及。「そういうところ(外交の場)であれば、嫌なときも笑顔で話しかけるべきで、それで立ち話したと。立ち話で別れたことに『よくやった』という気持ちになるのもおかしい」との見方を示した。
米・イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏は「僕はぶっちゃけて言うと、こうして深刻そうに『戦後最悪』と議論することが一番良くないのではないかと思う」と意見。「基本的に政治家や官僚のおじさんたちが、外交カードを使って自分の政治的なキャリアを上げたり、支持率を上げたりするために頑張っている。普通の日本人、普通の韓国人はぶっちゃけそんなに興味を持っていない」と指摘する。
「大昔の歴史的なゴタゴタは別にどうでもよくて、おいしいものがあれば食べに行くし、いいK-POPがあれば聴きに行くし、その程度だと思う。そこで僕たちが妙に日韓関係について勉強して深刻に議論してしまうと、あたかも普通の人にとって、これが重要な問題であるかのような雰囲気が漂ってくる。そうすると政治家や官僚の人たちに、さらに彼らが色々とバチバチをやりあうオプションを与えてしまっている、餌を与えてしまっている感じがあると思う。あまり気にせずに日常をやり過ごすのが一番いい」
今後、こうした状況を打開していくためにはどうしていくべきか。番組ではフリップを用意し、出演者にひと言ずつ書いてもらった。
洪氏がフリップに書いたのは「真実、誠実、丁寧に」。理由について洪氏は「まず真実を尊重しないといけない。作り話、嘘に振り回されてはいけない」と述べる。
「それから相手に対して誠実に、丁寧に接することが大事だと思う。私はもう30年以上役人生活をしてきたが、そこで私が悟ったのはまず真実を曲げてはいけないということ。相手が受け入れるかどうかは別にして、最善を尽くして誠実に、丁寧に説明する。私が東京で接したほとんどの日本の人々は、韓国に対して分かったつもりで実は分かっていない人が多かった。それは当然だ。私が日本に対して知らないのと同じだ。だからそういうときは、まず誠実に丁寧に説明をする。説明をしてから議論する。それが必要だと思う」
また洪氏は「韓国の日本大使館の前で行われた慰安婦のデモを止めたグループがいた」といい、報道に対して「日本のメディアは、20〜30人が反日のデモをしたことはテレビで流すのに、それを止めたグループがいたことは一切報道しない。こういうことではお互いに真実に基づいて丁寧な話し合いができないんじゃないかと思う」と意見した。
成田氏がフリップに書いたのは「気にせずマッコリでも飲もう」。その上で「やっぱり事実関係の検証や交渉は政治家の人たちみたいなプロに任せるのがいい」とコメント。
「僕たちみたいな普通の人間、庶民に関しては中途半端にかじった程度で議論とかしても単純化して複数ある事実の一方に肩入れするみたいなことしかできない。むしろ悪影響があると思う。『難しいことは分かんない』『政治家の人たち怖い』みたいな感じでソジュ(※韓国焼酎)でも飲んで、飲んだくれてるのがいいんじゃないかな。政治的にいうと、やっぱりそもそも隣国同士は、それは隣同士に座っているオフィスの隣人とか同じベッドを共有しているカップルみたいなもの。揉めるものだと思う」
一方、ひろゆき氏がフリップに書いたのは「ムリ。」という言葉。
「例えば日本で家が2軒並んでいると、落ち葉が落ちてきて『捨てるのウゼえ』とかで隣人は必ず揉める。トラブルはあるけどそんなもんだよねというだけじゃないか。いくらでも揉めごとの種なんて作れるし、歴史の真実を掘り起こしてもしょうがない。『イカゲーム面白いじゃん』とか『K-POP楽しいじゃん』とかで、問題を解決しようとしないほうがいい。『問題もあるけど、でも僕らは普通に暮らしていくよね』でいいのではないか。だって(解決は)無理だから」
また、日韓問題に関心がない人たちが、国境を超えて相手の国のポップカルチャーを楽しむことについて、ひろゆき氏は「正しいことだと思う」とコメント。
「例えばキムチや冷麺を食べることを韓国の文化とすら思ってない人もいる。要は焼肉に行ったら『カクテキが出てきて当然』と思っている。要は文化が完全に根付いている状態なので『これは韓国のものだよね』や『これはフランスのもの』といちいち意識しないで、文化を共有している。こういう形のほうがよっぽど揉めごとは減ると思う」
長い歴史の中で度々問題になっている隣国同士のいざこざ。一般市民は、国同士の揉めごとに流されず、自分の生活を送ることも大事なのかもしれない。(『ABEMA Prime』より)