ゼンリンは12月22日、長崎市の観光型MaaSの実証実験を開始したと発表した。
同社のマイクロMaaS施策の第1弾という位置づけで、観光情報や公共交通サービスなどをデジタル化し、ウェブサイトやアプリを通じて提供する。ヒトの行動の喚起や、長崎市の観光における体験価値の向上、地域活性化などを目指す。
同社は、日本全国の狭域な地域「マイクロエリア」が抱えるさまざまな課題を、ヒトの「移動情報」や「地図情報」を活用して解決し、あらゆる地域の活性化に貢献するという「ゼンリンマイクロMaaSソリューション」の提供に取り組んでいる。
地元における体験や学習から新たな旅行の価値を提供する、マイクロツーリズムをはじめとする“地元発見型”の「地域観光」、一人ひとりのニーズに合わせたルート提案などのマルチモーダルな移動を実現する「マルチモーダル」、ユニバーサルな移動を実現する地理空間情報を提供する「バリアフリー」など、さまざまなソリューションを開発しているという。
今回の実験では、長崎市観光の魅力の一つとなる街歩きを楽しむための観光情報ウェブサイト「STLOCAL(ストローカル)」を公開。旅行を予定する“旅マエ”の観光客に対し、王道観光ルートから再訪したくなる路地裏のスポット情報まで、おすすめの観光情報を記事形式で紹介する。
具体的には、長崎市を15の観光エリアに分割し、各エリアの街歩きをじっくりと楽しめる情報や、路地裏のスポット巡りなどを発信する。
あわせて、長崎で活躍するYouTuberの品川正之介氏、長崎のタウン情報誌「ながさきプレス」編集部などによる、街歩きの魅力を紹介する記事などを掲載。長崎市を熟知した人から、長崎市の奥深さを発信していくという。そのほか、「Instagram」の公式アカウントからも情報を発信していく予定だ。
また、旅行中の“旅ナカ”で長崎市を楽しむためのスマートフォンアプリを2022年春に公開。公共交通や観光施設、体験アクティビティなどのデジタルチケットを販売する。スムーズな観光や移動を提供すべく、アプリはウェブサイトと連携させる予定だ。
同社は、地域の魅力の再発見や、移動の楽しさ、便利さの定着で、滞在型観光および、リピーターの増加を目指す。また、今回の長崎市における実験を皮切りに、地域創生の一翼を担うMaaSビジネスとして、全国への展開を目指すという。
なお、STLOCALのコンセプトは、「旅するあなたに、その街でのとっておきの過ごし方をご提案する」。名称には、「地域(Local)を、道(Street)や駅(Station)から散歩(Stroll)し、滞在(Stay)することであなただけの物語(Story)につなげたい」という想いを込めたとしている。