こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
東京都武蔵野市で、外国人にも投票権を認める住民投票条例が市議会に上程されるとのことで、にわかに話題が集まっています。
武蔵野市で、外国人にも住民投票権を認める議案が上程される。安全保障上の観点から極めて大きな懸念があり、私は反対です。納税の対価は住民サービスであり、投票権ではない。これは多様性の内包とはまた別次元の話。 #NewsPicks https://t.co/AXS85ukKlE
— 音喜多 駿(参議院議員 / 日本維新の会・東京都選出) (@otokita) November 15, 2021
私は同性婚や選択的夫婦別姓など、いわゆる社会的リベラル政策の多くには賛成の立場ですが、外国人参政権の付与は国政・地方政治ともに極めて慎重に対応するべきと考えています。
今日は以下にその理由をまとめておきます。
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まず第一に、外国人参政権は違憲の疑いが強いものです。憲法第15条に参政権は「国民固有の権利」と明記されています。
最高裁判例における「傍論」を根拠に、地方自治においては必ずしも憲法違反ではないという主張に一時期注目が集まっていたようですが、判決の主文では明確に否定されており、外国人参政権の合憲説は少数派・異説と言われています。
「外国人だって税金を納めている、代表なくして課税なしだ」
というご意見もありますが、納税の対価は参政権ではなく行政サービスです。納税を参政権の根拠にすると、納税免除されている日本人から投票権を奪う論理も成立してしまいます。
もちろん外国人住民が、自らが享受する行政サービスについて物を言う機会は改善のために重要であるものの、それは参政権とは別の機会で担保されるべきものです。
第二にはやはり、安全保障上の懸念です。
悪意のある国・外国人などいないと信じたいところですが、残念ながらそれは理想論で、私は外交安全保障においてはリアリズムに立ちます。
「外国人が大挙して押し寄せて、自治体を乗っ取るなんて夢物語だ」
「地方政治に国防や安全保障に関わることなどない」
という主張は短絡的です。外国人参政権が離島などの小さな自治体に広がっていけば、かなりの権限を外国人住民が持つことは現実的にありえます。
あまりこういう私事に政治のことを挟むべきではないのでしょうが、耐震もない安普請の二階建て簡易建築に、一時期は25人以上の外国人が住み着いていたとの話で、こういう人たちも在留カードがあれば住民投票ができてしまうような仕組みにはあまり賛成ではありません。 https://t.co/e8HMnRMAA9
— 山本一郎(Ichiro Yamamoto)(@Ichiro_leadoff) November 17, 2021
また地方自治が所管する業務には、警察消防はもちろんのこと、自衛隊との連携事務もあります(周辺事態安全確保法や国民保護法に、地方自治体やその長の役割が明記されている)。
そして沖縄の基地問題を見ても、直接の決定権は地方自治体にないまでも、国政に対して住民投票が一定の影響力を持っていることは明らかではないでしょうか。
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これらに加えて今回の武蔵野市のケースでは、外国人参政権が先の市長選挙ではまったく争点・公約になっておらず、市民への告知もずさんだった問題点が繰り返し指摘されています。
武蔵野市の住民投票条例「素案」に対する意見集約の驚くべき記録が明らかに。
集約期間は、わずか2週間。
パブコメで22名、職員から29名。
市民意見交換会の参加者10名。これで「意見集約」と言えるのか?
我が国の地方自治史上、異例の制度を導入するにしては、余りに拙速、不透明ではないか。 https://t.co/mUoxg8xKZn
— 長島昭久@東京18区(武蔵野、府中、小金井市) Akihisa NAGASHIMA, MP (@nagashima21) November 17, 2021
最終的には武蔵野市議会が議案に対して結論を出すことになりますが、仮に可決ということになれば、他の自治体へ波及していく可能性もあることから、私もいち政治家として懸念・反対の意見を表明するものです。
一方で、様々なバックグラウンドを持つ方が日本国籍を取得し、多様な意見を参政権を通じて届けていくことには当然賛成であり、複雑すぎる帰化手続きを簡素化・合理化していく改革も同時に進めていかなければなりません。
武蔵野市民の方々はもちろんのこと、多くの皆さまにもこれを機会に参政権や帰化を巡る諸問題に関心を持っていただければ幸いです。
それでは、また明日。
音喜多駿/おときたしゅん
参議院議員(東京都選挙区) 38歳
1983年東京都北区生まれ。海城中・高校→早稲田大学政治経済学部を卒業後、モエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、都議会議員に(二期)。地域政党「あたらしい党」前代表。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、政治や都政に関するテレビ出演、著書も多数。3児の父。日本維新の会から公認を受けた参院選にて初当選、参議院議員に。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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