トヨタが仕掛ける「EV最終戦争」 – 片山 修

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これは、サプライズですよ。トヨタ自動車は14日、都内でバッテリーEV戦略に関する説明会を開き、2030年に電気自動車(EV)の世界販売台数を350万台とする目標を発表しました。EVの開発や生産設備に4兆円規模の投資を行うことも明らかにしました。

説明会の会場では、来年発売予定のbZ4Xをはじめ、開発を進めているトヨタ・レクサスブランドのBEV16車種が披露され、実車を背に、社長の豊田章男氏がスピーチを行いました。ちなみに、並んだ16車種は、ここ数年内の発売が予定されています。

「2030年までに30車種のバッテリーEVを展開し、グローバルに乗用、商用セグメントにおいてフルラインナップでバッテリーEVをそろえていく」と、豊田氏は述べました。

これまでの計画では、トヨタはEVとFCV(燃料電池車)を合わせて200万台とする販売数目標を打ち出していました。豊田氏が「これはとてつもない数です」といっているように、トヨタはなぜ、従来の計画から目標を大幅に引き上げたのか。

一言でいえば、「機が熟した」ということでしょう。事実、トヨタは本格的なバッテリーEVの市場投入にあたり、いまかいまかと機会をうかがっていました。機会を窺って待った末に、絶好の機会が訪れたと判断したということでしょう。

豊田氏は、英グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)について触れ、「各国のいろいろなエネルギー政策などが見えてきた」と語りました。そして、「EVもこのくらいの目線であれば、実現可能なのかなということで上方修正しました」と説明しました。

実際、トヨタはこれまで長い年月をかけて、車両開発など、バッテリーEVにおけるさまざまな領域での取り組みを進めてきました。

たとえば、電池の領域では、長年、内製による研究開発と生産に取り組み、26年間に1兆円近い投資を行い、累計1900万台以上の電池を生産してきました。

それらの積み重ねを財産として、バッテリーEVの競争力を磨き、いよいよ本格的な生産スタートとなったんですね。

満を持してのスタートにあたり、トヨタは2030年までに電池に2兆円を投資するなど、EV開発に4兆円を投じ、その戦略をさらに強化する計画です。底力ですね。

また、高級車ブランドの「レクサス」は、北米、欧州、中国で新車販売のすべてをEVにする計画です。「ラグジュアリーセグメントの中では、EVに対する期待値が急速に高まっている。目標をたてることで、強い意思をもって行動していきたい」と、執行役員の佐藤恒治氏は述べました。間違いなく、テスラを意識しているといえるでしょう。

欧米メーカーのEV専業化に対して、トヨタが仕掛けた〝EV最終戦争〟の勃発です。

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