朝日新聞社は11月10日、同社の運営する「朝日新聞デジタル」などのデジタル媒体向けに、記事の文意・文脈をAIで解析し、関連する広告を表示する「コンテクスチュアルターゲティング」を開始すると発表した。
ユーザーがウェブサイトを閲覧した履歴など「Cookie」を利用したトラッキングの制限や、2022年4月に施行される「改正個人情報保護法」などによりユーザーの閲覧履歴を活用する従来のターゲティング広告が成立しなくなることを見据えたサービス。デジタル広告の検証・不正対策「アドベリフィケーション」に取り組むIntegral Ad Science(IAS)と共同開発した。IASとの共同開発としては、日本のメディアで初めての展開という。
コンテクスチュアルターゲティングは、記事コンテンツの文意や文脈をAIによって解析し、関連する広告を配信する。ユーザーの閲覧履歴などの個人データではなく、記事内容から広告を表示することで、プライバシーに配慮する。
コンテンツにあわせた広告により、ノンターゲティング広告と比較してユーザーと親和性の高いものを配信できるほか、ジャンル違いの広告によるユーザーの嫌悪感なども軽減できるとしている。
導入に先立って朝日新聞デジタルで行った検証では、ノンターゲティング広告と比較し、広告の表示回数に対するクリック割合(CTR)は最大152%上昇したほか、広告から遷移する最初のアクセスページ「ランディングページ」から広告主の商品詳細ページへの遷移率も231%上昇したという。
今後、朝日新聞社では、次世代広告のソリューション開発を手がける「NxTラボ」を新設し、広告配信サービスをさらに進化させるとしている。