華やかな反面、裏側のことは全く分からない芸能の世界。そんなよく分からなさゆえに、ゴシップも後を絶たないわけだが、私(中澤)にはずっと疑問に思っていることがある。それは「ラッキィ池田って凄いのか?」ということ。
頭にジョウロをつけている見た目のインパクトで、子供の頃はお笑い芸人だと思っていたが、どうやら本職は振付師らしい。しかも「天才」と呼ばれている。だが、ダンスが凄かった記憶も特にない。ますます謎である。そこでプロの振付師に聞いてみることにした。
・振付師のNaNaさん
話を伺ったのは、NMB48『ジッパー』の振り付けを担当している振付師のNaNaさん。今までAKBグループから地下アイドルまで30~40グループ100曲以上の振り付けを行ってきた若手のプロ振付師である。が、門外漢すぎる私(中澤)にとっては、振付師自体がよく分からない。そもそも、振付師ってどうやってなるんだろうか?
NaNaさん「私の場合、最初ジャズヒップホップのダンサーとして活動していたんですが、ダンスを習っていた先生がAKB48の振り付けをしていて、『やってみない?』という感じでした」
──ジャズヒップホップってどういうダンスなんですか?
NaNaさん「分かりやすく言うと安室奈美恵さんとか倖田來未さんとかK-POPのような感じかな。元々はヒップホップをやっていて、これはEXILEみたいな男っぽい感じなんですが、仕事を始めてからは、女性らしいジャズヒップホップがメインになりましたね」
──具体的にはどういう現場に参加されていたんですか?
NaNaさん「一番大きかったステージはSMAPの5大ドームツアーです。後は、堀江由衣さんや東山奈央さんなどの声優さんのバックもやらせていただきました」
・振付師になってから
ジャズヒップホップのダンサーとしてもプロフェッショナルであるNaNaさん。しかし、振付師としては、ダンサー時代とはまた違った個性の仕事がメインになっているという。
NaNaさん「振付師としては、可愛い感じや全員で踊れる感じのオファーがメインになってます。私の場合、アイドルのオファーが多いので」
──ギタリストになりたくて上京し、結局ライターをやっている私としては、この話にリアリティーを感じた。最初憧れたものと、求められることは大体の場合違う。その中で、いかに悪くない生き方を選んでいけるか。それを実践している人は分野関係なくリスペクトできる。
・ラッキィ池田さんとの仕事
そんなNaNaさんは、振り付けの現場でラッキィ池田さんと一緒になったことがあるのだとか。
NaNaさん「AKBグループは人数が多いので、大体振付師が何人もついてチームで振り付けが行われるんですが、AKB48の『心のプラカード』の時にラッキィ池田さんと一緒でした」
──単刀直入に聞きますが、ラッキィ池田さんって凄いんですか?
NaNaさん「凄いです」
──どういうところが凄いんでしょうか?
NaNaさん「まず覚えてるのは現場が凄く明るかったことですね。和気あいあいとしていてずっと笑ってる感じでした。その雰囲気を作ってるのがラッキィ池田さんで、楽しい雰囲気を作るのが凄くウマイ人だと感じました」
──現場の雰囲気って振付師さんによって違うものなんでしょうか?
NaNaさん「そうですね。ピリッとした現場もあります。そこは人それぞれなんですが、ラッキィ池田さんの現場は良い意味での緊張感の無さがありました。多分、ラッキィさんを嫌いな人はいないと思います」
──振り付け的にはどう感じられましたか?
NaNaさん「私はそこまでラッキィ池田さんについて詳しいわけじゃないので、その時感じたことをそのまま言わせてもらうと、凄くキャッチーで覚えやすいところは凄いと思います。みんなで踊れる感じというか」
──他の人の振り付けと違うと感じた部分はありますか?
NaNaさん「ちょっとしたダサ可愛さがあるんですが、それも含めて覚えやすさや明るい雰囲気になってるのが、ラッキィ池田さんならではのキャラクターだと思います。ああいうダサ可愛さはダンスだけやって来た自分からすると、なかなか思いつかない温度感ですね」
──ありがとうございました!
というわけで、ラッキィ池田さんは凄かった。まあ、その道30年以上で今も一線なんだから、普通に考えたら凄くないわけはないのだが、プロの話を聞いてみて「どう天才なのか」が実感できたように思う。
そう言えば私も子供の頃、『天才たけしの元気が出るテレビ』に出てくるラッキィ池田(当時はラッキー池田)さんが好きであった。子供の心を掴むなんか楽しげな動き。今もラッキィ池田さんはそれを極め続けているのかもしれない。もう62歳なのに凄いな。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.