リーボック のVPが語る、進化するロイヤルティプログラム:「会員をすべての中心に据えている」

DIGIDAY

リーボック(Reebok)は、1週間に渡る会員限定バーチャルイベントを開催し、会員に商品ドロップへのアクセスを提供することで、自社のロイヤルティプログラムを進化させている。

リーボックは2019年4月、無料の階層型ロイヤルティプログラムであるアンロックド(Unlocked)を開始した。このロイヤルティプログラムにより、売上を伸ばし、顧客データによるパーソナライゼーションの作業を構築するためである。それから2年半が過ぎ、このプログラムの会員は1000万人にまで増え、これらの会員はロイヤルティプログラムに加入していない顧客よりも3倍の売上をリーボックにもたらすことがわかった。

今回、同ブランドははじめての会員限定イベントに賭けている。同ブランドの子ども向けペッパ・ピッグ(Peppa Pig)コレクション、たとえばアニメの絵が付いたスニーカーなどから、ゴアテックス(Gore-Tex)との提携による全天候・全地形対応のブーツまで、幅広い商品のドロップをバーチャルウィークで紹介する。

リーボックのデジタルブランドコマース担当バイスプレジデントであるトム・バロー氏は、米モダンリテールとのチャットで、ロイヤルティ顧客向けにスニーカーのドロップモデルを進化させること、顧客データを製造に関する決定に取り入れること、および同社のロイヤルティサービスにおけるアスリートのインフルエンサーの役割について語った。以下の対談内容は簡潔さと明確さを考慮し、編集を加えたものである。

◆ ◆ ◆

  1. ――アンロックドのプログラムを2019年に開始してから、どのように成長してきたか聞かせてほしい。
  2. ――リーボックのマット・ブロンダー氏は2019年に、このプログラムの目標のひとつは消費者のデータを集め、マーケティングと商品製造の両方を消費者の好みに応じてカスタマイズすることだと米DIGIDAYに語った。2021年において、これらの活動がどうなっているか話してほしい。
  3. ――新しいイベントである、リーボックアンロックドウィーク(Reebok Unlocked Week)について聞かせてほしい。ロイヤルティプログラムと仮想イベントを組み合わせた理由は何か、そして新しいイベントの目標は?
  4. ――Q&Aパネルには、バスケットボールのプロ選手のタメラ・ヤング氏や、フィットネストレーナーのジェス・シムズ氏など、何人かのプロのアスリートが参加する。ロイヤルティプログラムの特典においてプロのアスリートはどのような存在か?
  5. ――ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)などの同業メーカーは、特定の商品ドロップを会員専用ハブに振り分けている。御社もそれと同様なスニーカーのプレイブックに沿って、イベント限定の商品を数多く発売している。ロイヤルティ会員にこれらの新商品への優先権を与えることについて聞かせてほしい。また、その戦略によりスニーカーのドロップモデルがどのように変化すると考えているか?
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――アンロックドのプログラムを2019年に開始してから、どのように成長してきたか聞かせてほしい。

アンロックドは、リーボックのブランドに対する無料の会員制プログラムで、顧客がリーボックに愛着をもってもらうことを目標としている。当社がこのプログラムのコンセプトを作り出したのは3年ほど前だ。当社は、大規模な顧客調査の結果、スニーカーやアパレルの購入は、アクティブで健康的なライフスタイルを送ることのほんの一部にすぎないということを認識した。当社は、顧客にとって、それ以外に大切なことは何なのかを理解したいと考えた。アンロックドでは消費者が購入した商品やリーボックのブランドに対する行動に応じて、商品への早期限定アクセスから、フィットネストレーニング、栄養プログラム、フィットネスアプリ、独占イベント、コンテンツのパートナーシップなどに至るまで、すべてについて消費者に報酬を提供する。

2019年にプログラムを開始してから飛躍的な成長を達成した。北アメリカ、ラテンアメリカ、CISの全体にわたり、現在までこのデータベースに含まれる消費者の数は1000万人以上にまで成長した。当社がもっとも誇りとしているのは、このプログラムが実際に機能しており、消費者価値を生み出していると確認できることだ。当社の会員は、会員以外の顧客と比べて顧客生涯価値が3倍である。これはつまり、ロイヤルティ会員はそれ以外の消費者と比べて、ブランドとのライフサイクル全体で3倍の購入を行うということだ。

――リーボックのマット・ブロンダー氏は2019年に、このプログラムの目標のひとつは消費者のデータを集め、マーケティングと商品製造の両方を消費者の好みに応じてカスタマイズすることだと米DIGIDAYに語った。2021年において、これらの活動がどうなっているか話してほしい。

当社は、メールで受け取る連絡から、消費者がどのようにサイトを閲覧するかまで、消費者の行動の全体について、各個人に合わせたカスタマイズを開始した。例として、靴のサイズに応じて小さなカスタマイズを行った。消費者がサイトでサイズ7の靴を検索したなら、その消費者の靴のサイズは7だと考えられ、その消費者に対しては常にそのサイズの商品が表示される。これは、その消費者がアンロックドの会員で、ショッピングのため再度サイトに戻ってきた場合も同じだ。

このような小さなカスタマイズだけでも、ページのエンゲージメントは2.8%増大する。これだけではわずかな量だが、さらにサイズ、性別、スポーツ、ライフスタイル、好みなど、リーボックのアンロックドプログラムから得られた豊富な情報をもとに、カスタマイズを行えるようになる。これによって消費者は購入を行うときに不便を感じないようになり、エンゲージメントの増大に役立つ。

次に、商品に関する見識を得ることができる。これは当社にとって非常に貴重なものだ。当社は消費者から、商品がどのように役立ち、フィットしているかの感想を得るため、評価やレビューに対してメンバーシップポイントを付与している。この情報により、当社のデザイナーはさらに消費者に寄り添えるようになった。デザイナーはリアルタイムでダッシュボードにアクセスし、自分たちの製作した商品に対する消費者の意見を実際に閲覧できる。消費者に対する深い理解を得ることで、最終的にはデザイナーがまた新しい商品を作り出すときに役立つようになる。

――新しいイベントである、リーボックアンロックドウィーク(Reebok Unlocked Week)について聞かせてほしい。ロイヤルティプログラムと仮想イベントを組み合わせた理由は何か、そして新しいイベントの目標は?

当社は、このプログラムを開始したときから、会員優先の方針について語ってきたが、10月13〜19日までの1週間にわたり、会員をすべての中心に据えるつもりだ。毎日、会員のみが早期アクセスできる商品をローンチする。最初はゴーストバスターズ(Ghostbusters)とのすばらしいコラボレーションで、次は1980年代にディー・ブラウン氏によって有名になったスニーカーのOGポンプ(OG Pump)の再発売だ。ほかにもいくつかのすばらしいイベントや、限定コンテンツを用意している。

――Q&Aパネルには、バスケットボールのプロ選手のタメラ・ヤング氏や、フィットネストレーナーのジェス・シムズ氏など、何人かのプロのアスリートが参加する。ロイヤルティプログラムの特典においてプロのアスリートはどのような存在か?

消費者はアスリートの彼らを非常に尊敬しており、当社のターゲット層をアスリートのコンテンツとうまく結びつけることが利益になると考える。当社は10月第3週、アスリートの署名入り商品のドロップや、くじも用意している。彼らは広く知られており、新しい消費者に語りかけ、リーボックの非常に優れた(ロイヤルティの)提案について話してくれるだろう。

――ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)などの同業メーカーは、特定の商品ドロップを会員専用ハブに振り分けている。御社もそれと同様なスニーカーのプレイブックに沿って、イベント限定の商品を数多く発売している。ロイヤルティ会員にこれらの新商品への優先権を与えることについて聞かせてほしい。また、その戦略によりスニーカーのドロップモデルがどのように変化すると考えているか?

会員は、当社にとって実際にもっとも重要な消費者であり、当社は商品への早期アクセスや独占アクセスによって、これらの貴重な会員に報いることを望んでいる。当社は過去に、この戦略から非常に良好なフィードバックを得ている。去年、リーボックアンロックドの会員に対して、当社の代表的なクロストレーニング用スニーカー、リーボックナノ(Reebok Nano)を1週間前から試してもらい、多くの好意的で有益なフィードバックを得ることができた。当社はブランドについて、今後もこのような特典を提供することを考えている。

ドロップモデルは変化しつつあると考えるが、当社がデータを求める理由は、最終的に消費者との良好な関係を育てるためだ。消費者がポンプオムニ(Pump Omni)に興味を抱いているとわかれば、次にドロップを行うとき、当社はその商品についての情報を提示する。そして、消費者は新しい情報についていち早く知ることを希望するだろう。これらの消費者は、最新で最高の製品ドロップについて最初に知ることができる。

[原文:‘We’re putting members at the heart of everything we do’: Reebok’s vp of digital brand commerce on building out its evolving loyalty program]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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