モー!
子育て経験者ならご存知と思いますが、トイトレ=トイレトレーニングです。オムツを外す練習、トイレで用をたす練習をすること。この「トイトレ」と「牛」と「地球温暖化」と3つの言葉になんのつながりも見えませんが、科学者が見るとあるんですって。
地球温暖化と牛のトイトレについて研究をしているのは、動物心理学者Jan Langbein氏(論文共同執筆者)を含むドイツのリサーチチーム。Current Biologyにて論文を発表しています。
地球温暖化に大きく影響する温室効果ガス。これを多く排出するのが大規模農場で、動物の糞尿によるアンモニアが大きく影響しています。農場の中でも特に問題なのが牛。ここに目をつけた研究チームは、牛にトイレトレーニングしてみることにしたんです。
前述の動物心理学者Langbein氏いわく「牛に排尿・排便のコントロールができるはずないって普通は思うんですよ。しかし、牛に限らず他の家畜も実はとても賢く、いろいろなことを学ぶことができます。ならば、トイレの練習だってできるかもしれませんよね?」
チームが行った牛のトイトレはいたってシンプル。まず選ばれた牛16頭を、トイレエリアに閉じ込めます。そこでおしっこできたら、エサ・甘いお水のご褒美を与えます。次に、トイレエリアではないところでおしっこすると罰(水をプシュっと吹き付ける)を与えます。結果、尿意を感じたらトイレエリアまで我慢し、指定の場所でおしっこすることを学ぶというわけ。チームの研究では、牛のトイトレ(トイレまでおしっこを我慢する能力)は、幼児のトイトレ能力に匹敵することがわかりました。
研究チームは、今後、牛のトイトレを普及していきたい考え。米Gizmodoの取材に対し、Langbein氏はこう語ってくれました。「(普及には)まず、トレーニング方法全体をオートメーション化し、農場の状況に合わせていく必要があります。今後、さらに追加プロジェクトを行なっていくつもりです。」
期待できる結果と思いきや、もちろん課題もあります。まず、みんながみんなトイトレできるわけではないということ。チームがトレーニングした16頭のうち、トイトレを学ぶことができたのは10頭でした。次に、今回のトレーニングはおしっこだけだったということ。排便は含まれていないんです。うんちからでるメタンガスの方が、おしっこよりもよっぽど影響があるのでここは大きな課題になるかと。
…もちろん、牛のトイトレだけで地球温暖化が食い止められるわけじゃないんですけどね。
Source: EurekAlert!