Appleから2021年モデルとして、9月24日から販売が開始になったiPhone 13シリーズ。昨年同様にスタンダードモデルのiPhone 13にはコンパクトモデルのiPhone 13 miniが、プロ仕様を謳うiPhone 13 Proには大画面モデルのiPhone 13 Pro Maxがあり、4種類の中からどのモデルへ買い替えようか検討中の人も多いだろう。
実を言うと筆者も迷っている一人だ。
昨年は発売日の関係でiPhone 12 Proを購入したがiPhone 12 miniのサイズ感は魅力的であり、今年の買い替え先としてiPhone 13 miniの購入を検討している。
そこで今回は「iPhone 13 mini」の製品版を借用し、その実力をチェック、レビューをお送りする。
iPhone 12シリーズを踏襲したiPhone 13 miniの外観
まずはiPhone 13 miniの外観からチェックしていく。
基本的な外観についてはデザインを大きく刷新したiPhone 12シリーズを踏襲している。フラットなサイドフレームに包まれたデザインは「iPhone 12シリーズ以降」とパッと見判断できるため、周りから見ても「新しいiPhoneを使っている」と分かるデザインになっている。
2017年に登場したiPhone X以降、フロントカメラや顔認証 FaceIDに用いるセンサーがギッシリと詰まり、ディスプレイに食い込むように配置されたノッチも小型化されているが、これもiPhone 12シリーズ以前と並べて比べない限りは分からないだろう。
そんな中でも大きく変わったのはカメラだ。
iPhone 13 miniのカメラはiPhone 13 miniと変わらず、広角と超広角のデュアルカメラを搭載しているが、この並びが変わっている。iPhone 12 miniでは縦に列んでいたカメラがiPhone 13 miniでは斜めに並んでいる。
新たにセンサーシフト光学式手ぶれ補正に対応するなど、カメラモジュールがアップデートされたことが、カメラ部のデザイン変更の理由だろう。
また改めてになるが、iPhone 13 miniの横幅は64.2mmとiPhone SE(第2世代)の67.3mmよりも細く、重量も140gと軽いため、最も持ちやすいiPhoneと言えるだろう。
iPhone 6以降、iPhone SE(第2世代)までの本体サイズでも大きいという声もよく耳にするため、そう感じているユーザーの買い替え先としては最良の選択肢と言える。
ベンチマークではiPhone 12 Pro超え。コンパクトでも最新モデルらしいパワフルな動作
続いてiPhone 13 miniのパフォーマンスをチェックしていく。
比較対象は筆者が現在使用中のiPhone 12 Pro。iPhone 13 miniには新型のSoCとなるA15 Bionicが搭載されているが、非公表ながらメインメモリはiPhone 12 Proの6GBに対し、iPhone 13 miniは4GBと少ない。
ベンチマークスコアではiPhone 13 miniが全体的に1割から2割程度スコアが高く、コンパクトモデルながらもしっかりと新世代のモデルらしい、性能向上を確認できた。
実使用感ではまだiPhone 12 Proと比較して動作が軽快に感じられる場面は少ないものの、将来のOSバージョンアップやアプリがよりリッチになってきたときには差がハッキリとしてくるだろう。
スマートフォンの買い替えサイクルは長期化しているため、長い目でみればこれから選ぶべきはiPhone 13 miniら最新モデルの方がオススメだ。
どんなシチュエーションでも優等生のカメラ
iPhone 13 miniのカメラは先代のiPhone 12 miniと同じく、1,200万画素/F1.6の広角カメラと1,200万画素/F2.4の超広角カメラのデュアルカメラを搭載している。
画素数やレンズの明るさこそそのままだが、センサーサイズは1.7μm(1/1.7インチ)に大型のセンサーに変更されている。
機能面では手ぶれ補正が「センサーシフト光学式手ぶれ補正」に、HDR撮影機能が「スマートHDR4」にバージョンアップ。そして新たな撮影モード「フォトグラフスタイル」に対応したことだ。
また動画撮影では映画のようなフォーカシングが行なえる「シネマティックモード」にも対応しているが、今回は被写体と期間の都合こちらを試すことはできなかった。
以下、iPhone 13 miniで撮影を行なった作例をいくつか掲載していく。特に明記しない限り、撮影モードは初期設定のままのオートで撮影だ。
最初にずらっと並べたのは食事の作例だ。
新しいスマートフォンを手にすると「作例撮影だから」の名目で、ついつい良いものを食べてしまう。もちろん、ここで美味しそうに撮れるかどうかはそのスマートフォンのカメラの実力を測るのにちょうど良いし、iPhone 13 miniでの食事の撮影はどれも美味しそうに撮影することができた。
飲食店は屋内なので風景に比べ暗い環境での撮影になり、また雰囲気のため暖色の照明が使われいることも多い。どうしてもノイジーな写真や照明の色が被った写真になりやすいシチュエーションだが、iPhone 13 miniではしっかりと被写体の色を捉えている。
オートでもホワイトバランスはしっかりと、また過度に彩度をあげたようにもならないため、美味しさを思い出せるような写真を撮影することができる。
もちろん、通常の風景もいくつか撮影しテストを行なった。上の写真は日中、明るいうちに撮影した作例だ。従来のiPhoneシリーズ同様に、最近のスマートフォンに多いビビッドな色作りではない、比較的ナチュラルな色味で撮影が行なえる。
広角側での撮影は被写界深度の浅いF1.6のレンズの効果もあり、ポートレートモードを使用せずとも背景が上手にボケているのも、気軽にスナップ撮影に用いることの多いスマートフォンのカメラとして、優秀と言えるだろう。
夜景についても広角側であればF1.6と明るいレンズにセンサーシフト式の手ぶれ補正の効果もあり、手持ちでも十分にキレイに撮影が行なえる。
暗い被写体に対してはすぐに夜景モードへ自動で切り替わる。もちろんオフにすることもできるが、夜景モードをオンにして撮影することで肉眼で見る以上に明るく、鮮やかに撮影できるため、とっておきの夜景を撮影する際には活躍させたい機能なのは間違いない。
最後にiPhone 13シリーズで新たに追加されたフォトグラフスタイルの作例だ。
フォトグラフスタイルでは写真の色温度とコントラストを4つのプリセットから選択し、写真の色味を変更して撮影できるモードだ。
有効にした場合、撮影時のプレビューにも反映されるが、例えば「フォトグラフスタイル/リッチなコントラスト(トーン:-50/暖かみ:0)」で撮った作例のように影がグッと強調された写真にもなるため、常に設定してこのモードで撮影するというよりは、じっくりと撮影できるシーンでプリセットされた4つのプリセットを切り替え、一番しっくりきたプリセットでシャッターを切るといった使い方に向いている。
上手に使うことさえできれば、iPhoneらしくない1枚を撮影できるおもしろい撮影機能だ。
小さくても最新。総合的にバランスのとれたコンパクトモデル
外観ではiPhone 12 miniからのマイナーチェンジにしか見えないiPhone 13 miniだが、実際に使ってみると様々な部分で進化に驚く。
これは体感になるがレビュー期間中は電話やApple Pay以外のSNSやゲーム、移動中の音楽視聴をiPhone 12 ProからiPhone 13 miniで行なうようにしていたのだが、iPhone 12 Proと同等かそれ以上にバッテリが減らず、小さいながらそのスタミナに驚かされた。
またディスプレイの最大輝度も通常時でiPhone 12 miniの625cd/平方mからiPhone 13 miniでは800cd/平方mに引き上げられたことで、特に屋外での画面の見やすさが向上している点も使いやすいと感じる進化だ。
昨年のiPhone 12 miniはコンパクトなスマートフォンの中でも、特に決定版とも言えるモデルだと考えていたが、iPhone 13 miniではさらに「使い心地」をブラッシュアップし、完成度を高めた1台と言えるだろう。
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