「今日から俺は!!」制作の経緯 – マイナビニュース

BLOGOS

●常識にとらわれない発想に救われることも

日本テレビ系『金曜ロードショー』(毎週金曜21:00~)で、あす8日に映画『今日から俺は!!劇場版』が、本編ノーカット・地上波初放送される。80年代に連載された伝説のツッパリ漫画が原作で、18年に賀来賢人主演、福田雄一脚本・監督で連続ドラマ化されると大きな話題となり、20年に公開されたこの劇場版は、その年公開の実写映画最大のヒット(※興行通信社調べ)を記録した作品だ。
『今日俺』に加え、『スーパーサラリーマン左江内氏』『親バカ青春白書』で福田監督とタッグを組んできた高明希プロデューサーに、今作の成立経緯や、現場の様子を振り返ってもらった――。

『今日から俺は!!劇場版』 (C)西森博之/小学館 (C)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

○■ムロツヨシを“金八先生”にする予感

高Pが福田監督と仕事をするきっかけとなったのは、2014年に放送されたドラマ『アオイホノオ』(テレビ東京/柳楽優弥主演、福田雄一脚本・監督)。この作品を見て高Pからオファーして制作され、初めてタッグを組んだのが『スーパーサラリーマン左江内氏』(17年)で、その次の『今日から俺は!!』へとつながった。
『左江内氏』のときは、「お互い“はじめまして”で、探り合いみたいなことが正直あったんです」というが、だんだん相性が合ってきた2人。『今日から俺は!!』の衣装合わせで、福田監督がムロツヨシを「“金八先生”にする」と言い出し、多くのスタッフたちが衝撃を受ける中、高Pは「そう言うだろうなって予感があったんです(笑)。その予感が当たったときに『今日俺は大丈夫だ』という感覚がありました」と、作品の成功に自信をつけた。
周囲が予想だにしない提案は他にもあったそうで、『今日から俺は!!』の連ドラ第3話にゲスト出演した柳楽優弥を、劇場版に別の主要キャラクターで登場させるという異例の起用を決めたことも。こうした常識にとらわれない発想には「本当に学ぶべきことが多くて、一緒にお仕事をして救われたり、触発されたりする部分がたくさんあります」と語る。

○■賀来賢人だったら三橋をやれる

『今日から俺は!!』をドラマ化するにあたって大きかったのは、やはり福田監督の存在だった。
「原作が本当に面白いから、中途半端などスベりしちゃう映像にはできないので、それまで一度も提案したことはなかったんです。でも『左江内氏』で、福田監督の笑いのセンスに現場で初めて接して、その本領を一番いかんなく発揮できるようなものを提案したいと思っていたときに、『今日から俺は!!』だったら笑いにかけるスピリットが合うんじゃないかと思いました」

(C)西森博之/小学館 (C)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

そしてもう1人の大きな存在だというのが、主演の賀来賢人。
「私のプロデューサーデビュー作である『らんま1/2』(11年)に出てもらって、ずっと思い入れのある役者さんなんですけど、『左江内氏』にレギュラーで出てもらったらすごく頑張ってくれて、『らんま1/2』のときとは比べられないくらい成長していたんです。それで、賀来さんだったら三橋の役をやれると思って、それも含めて福田監督に『“今日から俺は!!”を賀来賢人さんでどうでしょう?』と言ったら、『僕もヤンキーものめちゃめちゃやりたかったんですよ』とマッチして、あれよあれよという間に制作が決まったんです」

●“ピリつく空気”が確かにある

福田雄一監督 (C)NTV

『今日から俺は!!』の原作が発表されたのは1988年。30年前の昭和の不良コメディーに対し、当時の話を懐かしむ大人世代にしか見られないのでは、という声もあったが、放送してみると子供世代が全く知らないファンタジーの世界として楽しんでおり、結果として幅広い世代が親子で視聴してヒットにつながった。
この狙いは「後付けではなく、企画書にも明確に書いていました。やりながら確信を持っていったんですけど、それがバチッとハマったのが『今日俺』という作品でしたね」と目論見通りに。
現場視点での福田監督の特徴を聞いてみると、「一番最初の1テイク目の新鮮さをすごく大事にされる人です」とのこと。「笑いが絶えなくて、和気あいあいとしてる現場なんですけど、その1テイク目で役者さんの本領を発揮させようとする集中力、その意味でのピリつく空気というのが確かにあるんですよね。だから、良い緊張感とその緩和の中で撮影ができていて、そういう意味でやっぱり監督としても素晴らしいなと思いながら、一緒にやらせていただいています」と話した。

○■福田監督に一番感じるのは「家族愛」

『左江内氏』『今日俺』と漫画原作の作品でタッグを組み、「ここまで来たらオリジナルをやりたいですね」ということで制作したのが、信頼するムロツヨシがゴールデン・プライム帯初主演を務めた『親バカ青春白書』(20年)だった。
「福田さんとお話していて、一番感じるのは家族愛です。奥さんや息子さんの話をいつも楽しそうにする福田さんの父性を、もっとドラマの中に盛り込んでほしい、と企画したのが『親バカ青春白書』でした。『親バカ』は、コロナ禍、スケジュール的に最初から全7話と短かったので、福田さんの家族愛は、また機会があれば掘りたいですね」
さらに、今後の福田監督との展望を聞くと、「笑いのためなら、どこまでも振り切る福田さんに、私は“戻ってこられる一本の芯”を真ん中に置きます。初めての仕事を終えた後、福田さんが息子さんに『俺の台本をあんなに面白く直してくれるプロデューサーは初めて』とおっしゃってくれたそうで、その言葉が今も私の活力になっています。福田さんのように、素敵な脚本家・演出家の方と、これからも面白いものを作っていきたいです」と、放送を控える『二月の勝者』(16日スタート、毎週土曜22:00~)への意欲を覗かせた。

高明希プロデューサー

●高明希1984年生まれ、神奈川県出身。07年日テレ アックスオンに入社し、11年に『らんま1/2』でドラマプロデューサーデビュー。以降、『35歳の高校生』『スーパーサラリーマン左江内氏』『今日から俺は!!』『親バカ青春白書』などをプロデュースし、10月スタートの新土曜ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』では企画プロデューサーを務める。

タイトルとURLをコピーしました