中国バブル なぜ統制しなかった? – 猪野 亨

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 中国の大手不動産が破綻間際です。マンション投資の過熱の結果、実態のない需要を煽る形でマンションが高騰、しかし、いずれ買い支えることができなくなり、崩壊するというパターンは日本でも経験済みです。
 日本はバブル経済を統制する力は全くなく、なすがままに放置し、下らない地上げ、意味のないゴルフ場建設など国土の荒廃を招きました。そのために費やした労働力は全くの無駄。私たちの生活を豊かにするものにはならず、カネを儲けた人間だけがえらいかのような風潮さえありました。勝ち組というやつです。
 その後、日本では構造改革に向かい、さらに格差社会を生み出しました。
 カネが支配する社会です。

 ところが中国でも同じようなバブルを実践してしまうなんて、一体、中国政府は何を考えていたのでしょう。こんな実態の伴わない無駄な労働力の浪費はありません。
 いずれバブルがはじけたときの怖ろしさは資本主義国では実証済みです。
 それが統制もできないままバブル崩壊なんていうことになったら、資産が一夜のうちに紙切れになりますから、大混乱になります。それがわかっていながら中国政府が統制してこなかったことは何故なのでしょう。目先の「利益」に目がくらんでいたのであれば最悪です。

 今般、中国政府は仮想通貨の禁止に踏み切りました。

中国が仮想通貨を全面禁止 刑事責任も追及へ」(産経新聞2021年9月24日)

 私は仮想通貨のようなものは全く信用もできないし、利用する気にもなりませんが、所詮、「仮想」にすぎず、このようなものを通過として認めること自体、異様です。
 仮想通貨が投機の対象になったり、あるいは仮想通貨がらみの詐欺事件が横行したり、いずれにしたって胡散臭い存在でしかありません。
 こんなところにカネを「投資」してしまえば、資産がそれだけで失いかねません。危うい状況の中で、仮想通貨の利用を禁止したことは危機感の表れだったのでしょうか。
 仮想通貨を容認するメリットはなく、不安定化の要因にしかなりません。

 さて、日本では金融所得課税の増税も一応、議論に上がりました。総裁選候補者たちが「増税」を言い出しました。

 これ自体は当たり前のことです。不労所得に高額課税は当たり前のことです。但し、本当に自民党政権のもとで実現するのかなということの方が問題です。

 資産が海外に逃げる?

 逃げるならそれでいいのではありませんか。
 当初こそ混乱もあるかもしれませんが、所詮は生産力に裏打ちされたものではなく、そんなもの全く必要ありません。国内成長を考えればいいだけの話です。資産運用がごときで経済は成長しません。生産力が上がること抜きに経済成長がどうこう言ってみても空虚なだけです。

米中対立が示すもの 単なる利権争い 生産力は国民生活の向上のために振り向けよう

2021年9月12日撮影

 トヨタの社長が電気自動車にすることは間違いだなどと述べています。

豊田自工会会長「全部EVは間違い」 エンジン車規制強化、雇用減招く」(時事通信2021年9月9日)
「エンジン車以外のEVや燃料電池車しか生産できなくなれば、「自動車産業が支える550万人の雇用の大半を失う」と懸念を示した。」

 何のための生産なのですか。雇用確保のためですか。生産によって私たちの生活を豊かにするためではなく、雇用のためというのは本末転倒です。

 やはり日本にあっているのは、「アリとキリギリス」です。

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