GPSは、スマートフォンや自動車、ドローンなどの位置情報取得に用いられていますが、「室内では位置情報を取得しづらい」「数mm単位での位置情報取得は難しい」といった問題が存在します。そんな中、アメリカ・プリンストン大学の研究チームが地面の情報をスキャンすることで非常に高精度な位置情報を取得するシステム「Micro-GPS」を開発しました。
High-Precision Localization Using Ground Texture
https://arxiv.org/abs/1710.10687
Micro-GPS
https://microgps.cs.princeton.edu/
Micro-GPSは地面の模様データを基に位置情報を数mm単位で認識可能。以下のムービーではMicro-GPSの仕組みが解説されています。
Micro-GPS ICRA2019 – YouTube
[embedded content]
Amazonの倉庫などの大規模な倉庫では、荷物のピッキングなどの用途にロボットが使われています。これらのロボットは、地面に配置された二次元コードを利用して位置を認識しています。
今回開発されたMicro-GPSは、地面の傷やマークなどを読み取って位置を認識するシステムです。
Micro-GPSは、カメラ対象エリアの地面の高精細な写真を撮影し、その写真を敷き詰めて対象エリア全体の地面のデータベースを作成します。
Micro-GPSは木材・カーペット・タイル・コンクリート・アスファルトといった多様な素材の地面に対応しています。
例えば、カーペットは一見すると単純なパターンの繰り返しに見えますが……
拡大すると、色や間隔などの微妙な違いが存在し、まるで指紋のように位置によって固有の模様を持っています。
アスファルトの場合も同様に……
亀裂や汚れなど、場所によって固有の模様が存在し、位置情報の識別子として利用できます。
粒子の粗いアスファルトでも同様に模様の違いを利用できます。
傷や亀裂を位置情報の識別に用いる場合、時間の経過と共に模様が変化してしまう可能性がありますが、研究チームの検証では最初のデータベース構築から16日経過しても位置情報の識別が可能だったとのこと。
コンクリートの地面の場合は26日経過しても識別可能でした。
地面の写真を撮影するカメラは、そこまで高性能でなくてもOK。例えば、タイルの地面を「iPhone 6」のカメラで撮影しても位置情報識別に利用できたとのこと。
Micro-GPSでは、地面の模様が少し変わってしまっても位置情報を識別できます。例えば、カーペットのデータベースを構築した後にカーペットを手で引っかいても問題なく位置情報を識別できます。
しかし、コンクリートの上に葉っぱが大量に落ちた状況では、位置情報の識別が不可能になってしまいます。
研究チームはMicro-GPSでは数mmの精度で、屋内と屋外の両方で信頼性の高い位置情報を正確かつ迅速に検出できるとアピールしています。また、プロジェクトページには実際にMicro-GPSの開発に使われた地面のデータセットを確認できます。
この記事のタイトルとURLをコピーする