高市氏「国民の生命と財産守る」 – BLOGOS編集部

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事実上の首相選びとなる自民党総裁選が17日に告示され、選挙戦が本格化した。立候補したのは河野太郎行政改革担当大臣(58)、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務大臣(60)、野田聖子幹事長代行(61)の4氏。

同日党本部で行われた各候補の所見発表演説会で、高市氏は「日本を守る責任と未来を拓く覚悟を胸に立候補を決意した」と語った。また「国の究極の使命は国民のみなさまの生命と財産を守り抜くこと、領土・領海・領空・資源を守り抜くこと、そして国家の主権と名誉を守り抜くこと」だとし、「使命を果たすために全てをかけて働くことを誓う」と説明した。

総裁選は国会議員1人1票の「国会議員票」383票と、全国の党員・党友らによる投票で配分される「党員票」383票の、合わせて766票で争われる。29日に国会議員による投票が行われたのち即日開票され、新総裁が決定する。

演説全文

感染症などで家族を亡くされたみなさまに思いをいたす

みなさまこんにちは。高市早苗でございます。冒頭に感染症や、重病、また相次ぐ災害、事故や事件によって大切な家族を亡くされたみなさまの深いお悲しみに思いをいたし、心よりお悔やみ申し上げます。

コロナ禍にあって医療提供や、この社会経済活動の維持のために日々、懸命に働き続けてくださっている多くのみなさま方のご貢献に対して、深く感謝を申し上げます。現在、闘病中のみなさまの1日も早いご回復をお祈り申し上げます。また本日は台風14号の接近により非常に危険な状態が予想される地域がございます。どうか備えと注意を十分にしていただきますようにお願いを申し上げます。

これまで菅義偉総裁が命と暮らしを守り抜くという強い決意を持って私たちの先頭に立って、懸命に働き続けてこられた日々を思い、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。

今年の衆議院選挙に勝利することによって、自由民主党総裁は日本の国家経営を担うことになります。このような重要なステージに私を立たせてくださいました同僚議員のみなさま、誠にありがとうございます。そして平素より自民党の政策構築をはじめとする諸活動に大変なご指導を賜っております全国の党員党友のみなさま、そして国民のみなさまに心より感謝を申し上げます。

日本を守る責任と未来を拓く覚悟

私は日本を守る責任と未来を拓く覚悟を胸にこの自民党総裁選挙への立候補を決意いたしました。

私は国の究極の使命は国民のみなさまの生命と財産を守り抜くこと、領土・領海・領空・資源を守り抜くこと、そして国家の主権と名誉を守り抜くことだと考えております。この使命を果たすために私の全てをかけて働くことをお誓い申し上げます。

ちょうど本日9月17日は、19年前に日朝首脳会談が行われ、初めて北朝鮮が日本人の拉致を認めた日でもあります。大切な日本国民を取り戻すために、これからも自由民主党、一体となって力を合わせて懸命に取り組んでまいりましょう。

まずは、現下の困難を乗り切らなくてはなりません。新型コロナウイルス感染症につきましては、特に治療薬の早期投与による重症者と死亡者の数の極小化、そして自宅療養されている方の数を可能な限り減らしていくこと、そして国産ワクチン、国産治療薬の早期開発と生産設備への投資。また、飲食、観光関連のみならずサプライチェーン全体に及ぶ、多くの事業者のみなさまの経営基盤を維持して、雇用を守るための大胆な財政支援。これらの取り組みを重点的に行ってまいります。

アメリカの会計年度というのは昨年の10月から今年の9月までという年度でございますが、アメリカでは2021年度において、コロナ危機対策として約693兆円もの巨額の財政出動を行っています。それでも政府の税収は約395兆円増大しています。私はコロナの収束後も見据えた日本経済の立て直しに向けて急いで対策を講じます。経済政策につきましては後ほどまたご説明を申し上げます。

私は日本を守るために自然災害、感染症や重病、また食料安全保障、テロや凶悪犯罪、サイバー攻撃、また経済安全保障や国防にかかる脅威など、様々なリスクの最小化に向けた危機管理投資と法制度整備に最重点で取り組んでまいります。

経済安全保障と国防力の強化についても申し上げます。機微技術、先端技術、そして重要物資、また個人情報の流出を防ぐために経済安全保障包括法を制定し、秘密特許やまた一定の外国人研究者のスクリーニングを可能とする法整備を行うことを検討いたします。

今年2月に施行された中国海警法に対応できるように、海上保安庁法の改正に取り組みます。また、新たな戦争の形に対応できる国防体制を構築いたします。このゲームチェンジャーは衛星、サイバー、電磁波、無人機、極超音速兵器だと考えております。

敵基地の無力化、なかなか困難な取り組みではありますが、これを可能とするための法制度整備、また訓練と装備の充実。また防衛関連予算の増額を行ってまいります。また海底ケーブル、衛星の防御、しっかりと行ってまいります。

大胆な成長投資と分厚い中間層の再構築に資する税制

私は未来を拓くために雇用と所得の増大につながる大胆な成長投資、また分厚い中間層の再構築に資する税制。人材力の強化、全世代の安心感創出に資する諸政策を力強く実行してまいります。特に税制では育児や介護をしながら働いておられる方、非常に多うございます。ベビーシッターや家政士の国家資格化を前提にして税額控除を行える仕組みを構築したいと存じます。

また麻生内閣で検討されていた給付付き税額控除、また災害損失控除。こういったものの導入を目指しております。コロナ禍にあって、昨年中には就業者の約3分の1がテレワークを経験し、また東京23区内では20代の若い方々の約35%が地方移住への関心を高められました。本社の地方移転を検討しておられる企業も増えてまいりました。また地方にキャンパスを探しておられる大学もあります。地方としては移転を希望してくださる人材や大学や企業を受け入れる環境をしっかりと整えていかなければなりません。

日本全国どこに住んでいても安全に生活することができ、必要な福祉や医療を受けることができ、質の高い教育を受けることができ、そして働く場所がある。こんな地方を増やしていくことによって緊急時のリスク分散にもなりますし、何よりも豊かな地方経済への道を開いていきたいと考えております。

私は有事の経済政策として、日本経済強靭化計画を掲げ、経済を立て直します。第1に金融緩和でございます。第2に緊急時の機動的な財政出動。第3に大胆な危機管理投資、及び成長投資でございます。この三つの政策を総動員してまずは物価安定目標2%の達成を目指します。日本経済が軌道にのるまでには、時限的にいわゆるプライマリーバランスを凍結させていただき、戦略的な財政出動を優先いたします。プライマリーバランスが赤字であっても名目金利を上回る名目成長率を達成したら、財政は改善します。

超低金利の今がまさに大胆な取り組みを行うチャンスのときでもございます。危機管理投資、そして成長投資の恩恵というのは将来の納税者にも及ぶものでございます。そして強い経済というのは、全世代型の社会保障をしっかりと維持すること、また科学技術力や外交力の強化、さらには豊かな教育の実現にも資するものでございます。

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