野田氏「自民は反省と検証必要」 – BLOGOS編集部

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事実上の首相選びとなる自民党総裁選が17日に告示され、選挙戦が本格化した。立候補したのは河野太郎行政改革担当大臣(58)、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務大臣(60)、野田聖子幹事長代行(61)の4氏。

同日党本部で行われた各候補の所見発表演説会で、野田氏は「党改革を叫ぶ前に自民党の力でもっと世の中を良くしてほしいと願う国民感覚とズレが生じている」と指摘し、「まずは反省と検証をし、それをやってから初めて新しいことに着手する意味がある」と述べた。

総裁選は国会議員1人1票の「国会議員票」383票と、全国の党員・党友らによる投票で配分される「党員票」383票の、合わせて766票で争われる。29日に国会議員による投票が行われたのち即日開票され、新総裁が決定する。

演説全文

他の候補者の政策には足りていない視点がある

私、野田聖子は、自民党総裁選に立候補いたしました。そこでまずはこの場をお借りして私を支えてくれた仲間たち、そして志を同じくする人々や、政策に賛同してくださった方たちに感謝を申し上げたいと思います。

かねてから総裁選に挑戦したいということを公言してきましたが、これまでなかなか出馬することができませんでした。しかし、4度目の今回は、皆さんのおかげでスタートラインに立つことができました。本当にありがとうございます。

まず、私が今回どうしても出馬をしようと考えたある大きな理由があります。それは自民党の多様性を示さなくてはいけないということです。残念ながらこれまでの候補者の方たちの政策を見ていると、やや足りていないなと感じる視点があります。

例えば人口減少。のちにご説明いたしますけれども、日本の経済だけではなく安全保障にもかかわる極めて重大なテーマです。そして日本の未来を担う子ども、女性、さらには高齢者、障がい者という社会的弱者、介護政策や貧困の格差などがあげられます。

つまり、小さき者や弱き者をはじめ人の暮らしが見えません。主役にならない人々へ向けた政策が十分ではないといってもいいでしょう。ならば自民党としては、誰かがこれをやらなくてはなりません。自民党の強さとは多様性だからです。

自民党には反省と検証が必要

自民党がこれまで多くの国民に支持されてきたのは、様々な政治信条、様々な政策を持つ多様な人材が真正面から意見をぶつけ合わせ、時には激しく対立するほど真剣に論争してきたからです。異なる価値観を受け入れるという日本の伝統的な寛容さ、多様性を体現する保守政党。それが自民党です。そこで早速、自民党の多様性を示すような、問題提起をさせていただきます。

これまでの候補者の方たちの主張の中で出ていない「我が身を振り返る」ということを議員、党員のみなさんに投げかけたいと思います。つまり、反省と検証が必要ではないかということです。

今回、自民党を改革するということが大きく叫ばれています。もちろん何か問題があるのならば、そこは変えていかなければいけないのは当然ですが、国民からは「党内で国民の支持がないのはあいつのせいだ」と誰かに責任を押し付けあっているようにも見えます。

また、選挙の顔を選ぶ権力闘争という厳しい評価も聞こえてきています。党改革を叫ぶ前に自民党の力でもっと世の中を良くして欲しいと願う、国民感覚とズレが生じているのです。

だからこそ私はまずは反省と検証が必要だと思います。誰かのせいにするのではなく、まずは自分たちの至らない点があるのではないかと検証する、与党としてしっかりと国民の期待に応えていたのか、そしていま、信頼が低下してしまっているのはなぜなのか。ということを議員ひとりひとりがしっかりと向き合う。それをやってから初めて新しいことに手をつけ、改革に着手する意味があるのではないでしょうか。

では具体的にどうやって我が身を振り返るのかというと、例えば、国民に約束しておいて実現できていない政策をしっかりと洗い出し、なぜできていないのかを考えます。

例えば、議員定数の大幅削減です。これは実現できていません。私はより国民の方を向いた政治にしていくために、是非ともこれを進めるべきだと考えています。人口減少によって国民も減っている中で、議員の数も調整していくのは当然と言えば当然のことです。

しかし今日に至るまで、議員定数削減は実現できていません。なぜなのか、どこに問題があるのか、ということも候補者のみなさんと一緒にしっかり考えて、党員のみなさん、ひいては国民のみなさんに分かりやすく、誰にも理解できるような言葉で説明していかなくてはいけないのではありませんか。

そんな、誰もがわかる政治というものを私はこの総裁選を通じて示していきたい。先ほど申し上げた、女性、子ども、高齢者、障がい者など弱い立場の人の視点も含めなくてはいけないというのも誰もがわかる政治が目指しているからです。

今、候補者の方が訴えている政策を見ると、党改革、安全保障、緊急事態条項など幅広いテーマが出てきています。もちろん、全て非常に重要な視点ではありますが一方、国民の生活、暮らし、そして命や健康に直結するテーマがちょっと少ないのではないかと心配しているのです。

ですから私は誰もがわかる政治ということを意識して、政策論争に多様性を持たせたいと、そしてそれが自民党をさらに強くすることなんだと信じています。

最優先すべきはコロナ対策 3つの集中投資

さて、このような理由から出馬させていただきました。次に私が総裁になったらどのような政策に力を入れるのか、ということを説明していきましょう。

まず最優先すべきはコロナ対策であることはいうまでもありません。今後のコロナ対策は以下の3点に集中投資をしていきます。1つめ、スピード重視、早期発見、早期治療の徹底、2つ目、フェアな支援、働く人は一律給付、現実的公平な経済支援、3つ目、見える化。安心安全の前の不安を国民から取り除く。

まず、早期発見、早期治療はこれからのコロナ対策で最も重要なところになってきています。コロナは早期に発見し、早期に適切な治療ができれば重症化を防げることがわかっています。新規感染者数を抑えることも重要ですが、経済活動をしっかり進めていくには、コロナをゼロにするのではなく、コロナを普通のインフルエンザのようにしていかなくてはなりません。そのためには、早期発見、早期治療の徹底が必要なのです。

具体的な方法としては、危機の間、臨時暫定の病床、病院、私はサブホスピタルと呼んでいますが、サブホスピタルを作ります。自宅療養では早期発見、早期治療はできませんので、軽症患者をスピーディに診察して重症化を防ぎます。人員は地域医療にしっかり協力してもらうことを考えています。

もちろん建設して体制をつくるまでにはある程度の時間がかかってしまうので、それまではやはり医療体制を守るためある程度の自粛も必要になります。そこで働く人への一律給付、現実的公平な経済支援です。サブホスピタルの体制ができるまでの間、経済活動を控えていただくことがあったら、会社員はもちろん、パート、アルバイトなど全て働く人に、現金の一律給付を行います。

一方で飲食店などの協力金はこれまでのような一律から、納税や店舗の規模等を考慮した現実的公平なものに変えていきます。個人には格差なく広く、そして事業者の方には経営規模に見合ったものというフェアな経済支援を、実現いたします。

このような感染防止への協力を国民のみなさんにお願いするうえでも、大切になってくるのが見える化です。政府が進めているコロナ対策はもちろん、地域の病床の状況、ワクチン接種の状況、治療薬の開発状況など、これまで以上に国民にわかりやすく丁寧に情報を伝えていくような発信をしていきます。

国民のみなさんに感染防止に協力していただくには、安心安全ということが欠かせませんが、その安心安全のためにまずは国民の不安を取り除かなければなりません。そのためにはしっかりと正確な情報をお届けする見える化が1番であります。

ワクチン接種が進んだ世界の国々でも感染爆発が起きているように、世界でもまだ、暗中模索、試行錯誤が続けられています。このような先行き不透明な状況がしばらく続く中で、政府が国民の不安を解消していくことが、何よりも大切なことであるのです。このようなコロナ対策を進めることは、経済対策でもあります。

世界では長引くコロナ禍によって、貯蓄が異常に増えていくという、強制預金という現象が起きています。アメリカなどはコロナ後の経済再開のブースターの役割を果たしています。これは日本にも当てはまることであります。このような出口戦略をしっかりと見据えたコロナ対策を強いリーダーシップを持って進めていきたいと思います。

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