M-1審査員が涙 50歳王者の生き様 – マイナビニュース

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松本人志が感無量「感動してます」

ABCテレビ・テレビ朝日系で19日に生放送された『M-1グランプリ2021』。暫定ボックスに同率で並ぶ事態がたびたび発生する大混戦で、審査員が「感動してます」「漫才師のあこがれる話芸」と手放しで賛辞を送る光景も見られた中、錦鯉の優勝で歴代最年長となる50歳チャンピオンが誕生した今年の大会を振り返る。

涙で称え合う錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆 (C)M-1グランプリ事務局

■トップバッター過去最高得点でスタート

昨年より1,000組多い史上最多の6,017組がエントリーした今年のファイナリストは、もも、真空ジェシカ、モグライダー、オズワルド、ランジャタイ、インディアンス、ゆにばーす、錦鯉、ロングコートダディの9組。決勝経験者の4組、初出場の5組が漫才の頂上を目指してしのぎを削る熾烈なお笑いバトルを繰り広げた。審査員は4年連続となるオール巨人、上沼恵美子、サンドウィッチマン・富澤たけし、立川志らく、中川家・礼二、ナイツ・塙宣之、松本人志の7名が務め、こん身のネタを700点満点でジャッジした。

モグライダー (C)M-1グランプリ事務局

ネタ順を決める恒例の「笑神籤(えみくじ)」で選ばれたファーストステージの1組目は、決勝初進出のモグライダー。誰もが知るヒット曲を題材にしながらも、「いいところに目をつけた」と巨人も感心する斬新な視点のネタで爆笑をさらい、トップバッターとしては過去最高の637点をマークした。

ランジャタイ (C)M-1グランプリ事務局

2組目は、こちらも初出場のランジャタイ。ギャグ漫画のような奇想天外なボケをひたすら繰り出す国崎和也の怪演は、昨年、“漫才か漫才じゃないか論争”を巻き起こした王者・マヂカルラブリーに勝るとも劣らない堂々たる破天荒ぶり。628点と点数こそ伸びなかったものの、「(笑えるか否かは)見る側の精神状態によりますよね(笑)」と松本を困惑させるなど、決勝に波乱を呼び込んだ。

ゆにばーす (C)M-1グランプリ事務局

個性あふれる初出場組が序盤から爪跡を残す中、3組目に登場したのは、3年ぶり3度目の決勝となるゆにばーす。川瀬名人と丁々発止の“ディベート漫才”を繰り広げたはらの成長ぶりに、礼二も「前よりもうまくなってる」と目を見張るなど審査員の評価も高く、得点は638点。モグライダーを抜いて1位に立った。

ハライチ (C)M-1グランプリ事務局

4組目は、敗者復活組のハライチ。結成15年のラストイヤーとなった今年、5年ぶりに決勝に帰ってきたファイナリスト常連コンビに会場は沸き返る。そんな興奮の中、ハライチは、岩井勇気がこれまでのクールなイメージをかなぐり捨て、感情むき出しにキレまくる新しいスタイルのネタを披露。636点をもぎ取って3位に食い込み、松本は「手の内もわかってるはずのハライチが、こうして岩井の新しい一面を見せてくれるなんて…。感動してます」と感無量の様子だった。

真空ジェシカ (C)M-1グランプリ事務局

続く5組目は真空ジェシカ。ひねりの利いたボケを積み重ねていく漫才で、言葉遊びのセンスを審査員から絶賛され、ゆにばーすと同点の638点を獲得した。この結果、トップ3は同率1位のゆにばーすと真空ジェシカ、わずか1点差でモグライダーが2位につける混戦状態に。

後半でレースを動かしたオズワルド

オズワルド (C)M-1グランプリ事務局

そんな中、レースを大きく動かしたのが6組目のオズワルドだった。3年連続決勝出場で、優勝候補の大本命との呼び声も高かった彼らは、もともと得意としていた飄々とした漫才に絶妙な緩急を加え、バージョンアップさせたネタで勝負。後半に向けてグイグイと引き込まれる巧みなネタ運びは、「漫才師のあこがれる話芸」と惜しみない賛辞を送る塙など審査員たちをうならせ、665点の高得点をマーク。オズワルドは一気にトップに躍り出た。

ロングコートダディ (C)M1グランプリ事務局

そして7組目はロングコートダディ。昨年の『キングオブコント』決勝に出場するなど、コント師としても評価の高い彼らは、表情の変化やユーモラスな動きなどの演技力を遺憾なく発揮する漫才を披露。649点で2位に滑り込んだ。

錦鯉 (C)M-1グランプリ事務局

ファーストステージもあと残すところ3組。1位にオズワルド、2位にロングコートダディ、3位に同率のユニバースと真空ジェシカが並ぶ大混戦が続く中、8組目に登場したのは、昨年に続いて決勝の舞台に立った錦鯉。今年50歳を迎え、愛すべきおバカキャラにますます磨きがかかる長谷川雅紀が、50代の自虐ネタをまき散らしながら暴走する姿には、巨人も「50歳で進化することってあるんやな」と感動。655点の高得点で2位につける大健闘を見せた。

インディアンス (C)M-1グランプリ事務局

続く9組目で3度目の決勝となるインディアンスも、田渕章裕の明るい小ボケが止まらないパワフル漫才で同じく655点を獲得し、同率2位に。

もも (C)M-1グランプリ事務局

10組目のももは、結成4年の若手とは思えない安定したしゃべくりで評価されるも、654点と惜しくもベスト3には届かなかった。

■審査員席のサンド富澤、ナイツ塙も涙

こうして迎えた最終決戦は、オズワルド、錦鯉、インディアンスの3組による戦いに。ファーストステージで、大ベテランの巨人も「もう直すところないんちゃう?」とネタの完成度に舌を巻いたオズワルドがこのまま優勝を決めるかと思いきや、ここで最年長の錦鯉がドラマを作った。

“逃げたサルを捕まえる”という設定で、全力で叫び、舞台狭しと暴れる長谷川。渡辺隆のツッコミも徐々に熱を帯びていき、最後に長谷川が放った予想外の“ボケ”には、不思議な悲哀と漫才に人生をかけてきた生き様がにじみ出しているように見えた。

そんな2人が放つ、唯一無二の“すごみ”が漫才レジェンドたちの心を揺さぶったのか、審査員投票では7票中5票を獲得し、ぶっちぎりの優勝を決めた錦鯉。男泣きする長谷川と渡辺はもちろん、審査員席でたまらず涙を拭っていた富澤、塙の姿も印象的だった。

(C)M-1グランプリ事務局

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