ワクチン供給が滞る菅政権に苦言 – 野田佳彦

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  梅雨が明けました。夏本番です。まず思い浮かぶのは白く泡立った黄金色の液体。帰宅前にキンキンに冷えたジョッキを一気に飲み干したいところですが、コロナ禍の折柄自制しなければなりません。家に帰ってから缶をプシュッと開けましょう。日中は「ガリガリ君」をかじり、「パピコ」をしゃぶって猛暑をしのぎます。

  さて、先週のかわら版で「15日、旧船橋グランドホテルで1回めの接種を無事終えることができました」と、ご報告させていただきました。ところが、船橋市は同じ15日、新型コロナワクチンが国から計画的に供給されないとして、ワクチン接種の新規予約の受付を停止しました。私は、かわら版の印刷終了後にその報道に接し、大変驚くと同時に誠に残念に思いました。

  市によりますと、5月にファイザー社製のワクチンが81箱届いていたものの、国から示された8月の分配量はその半分以下しか見込めないということです。1回めの接種を済ませた市民の2回めの接種機会の確保を優先すると、新規予約は停止せざるをえなくなるわけです。

  船橋市は7月から集団接種会場を増設し、7月14日までに64歳以下の接種対象者全員に接種券が発送されていました。市は各会場に医療従事者やスタッフをしっかりと確保し、いよいよ接種を加速しようとしていました。接種を希望する市民にとっては、このタイミングで予約がとれなくなるとは…。

  松戸徹市長は「大変残念で、市民の皆様に心から申し訳なく思います。国には必要に応じたワクチン供給と、供給情報の早期提供を強く希望します」と、コメントしています。市長は温厚なお人柄なので怒りを抑制しているようですが、本当ははらわたが煮えくり返っているのではないでしょうか。

  菅総理は5月、「1日100万回接種」を掲げました。地方交付税の配分を所管とする総務省が、船橋市を含めて全国の自治体に「打って打って打ちまくれ」と、檄を飛ばしました。しかし、政府がワクチン供給の全体像や具体的計画を示すことはなく、自治体や職場が苦労して態勢を拡充すると、「打ちかたやめ」と急ブレーキ。国がはしごを外したも同然です。

  わが国の接種開始は2月。1回め終了は人口の3割程度。これで本当に「安全、安心」の東京五輪を実現できるのでしょうか。多くの人が不安を抱えながら、23日から五輪が始まりました。

  高校野球千葉県大会で、母校県船が銚子商にコールド勝ちするなど大健闘し、OBの1人として奮い立ちました。間違いなくスポーツの力は存在します。柔道66キロ級の阿部対丸山の24分の死闘は無観客でしたが、鳥肌が立つくらい感動しました。完全な形ではない五輪ですが、開催する以上は成功してほしいと思います。ただし、安全・安心といえたか、自国開催の意義はあったのかなど、しっかりと検証したいと思います。

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