「提案依頼書」はなくならないが、変革を求める声もある:困難な RFP プロセスのいま

DIGIDAY

「提案依頼書(以下、RFP)」プロセスを経ることを好きな者はいない。それは、別のエージェンシーでの仕切り直しをしようとしているマーケターや、新規事業を立ち上げようとしているエージェンシーも、例外ではない。どちらの側にとっても、時間やリソース、売上の面で高くつく。

だが、CMOの在任期間が短くなり(大手広告主の新CMOはたいてい、自身のエージェンシーを採用して新たなマーケティングを実施したがる)、メディアの選択がますます複雑化した。そのため、最近のメディアパルーザ(広告主による取引先エージェンシーの大規模な見直し)など、多くの動きも起きてきた。

エージェンシーとその潜在顧客は、困難なRFPプロセスを変えられるか? そもそも変えたいと思っているのか? マーケターを代表することが多いエージェンシーやピッチコンサルタントなど、米DIGIDAYが話を聞いた人々に基づくと、答えはおそらく「イエス」だろう。

「対話と挑戦の瞬間」

マネジメントコンサルタント企業、エージェンシー・アジャイル(Agency Agile)で、それぞれCEOとプレジデントを務めるジャック・スキールズ氏とグレッグ・モレル氏は、RFPプロセスへのアプローチをエージェンシーが適応させるよう推進してきた。ピッチでほかの多くの顧客のために行われた一連の仕事を繰り返すのではなく、両者の適合性を把握するために、顧客とともに問題を解決することを求めるべきだ、とモレル氏は説明した。

エージェンシーは、「一連のスライドをただ持ち込むのではなく、対話と挑戦の瞬間としてピッチを利用」すべきだ、とモレル氏は指摘する。「問題解決がどういう感じになるかを見る活動をともにするときだと捉え直した方がいい。どちらの側も、協力とはどういうものなのかを真に体験できる」。

「プレゼンではなく会話をすることが大事だ」とスキールズ氏は付け加え、エージェンシー・アジャイルがコンサルを務めたエージェンシーは勝率90%だと述べた。「顧客がエージェンシーと難しい会話を行えるかどうかのテストだ」。

業界全体の取り組み

個々のエージェンシーや潜在顧客が見つける協力の仕方はさまざまかもしれないが、実際に業界全体の取り組みもある。エージェンシーの業界団体4A’sのプレジデント兼CEO、マーラ・カプロウィッツ氏によると、マーケターを代表する全米広告主協会(Association of National Advertisers:ANA)と協力して、顧客や業務、スタッフなど、各エージェンシーに関する基本情報のセントラルリポジトリ(中央集積所)を開発する初期段階にあるという。こうした基本情報は、ピッチの「情報依頼」プロセスのために、何度も作成されなければならないものだ。リポジトリのおかげで、エージェンシーは解放されて、ピッチの解決策やアイデアの部分に集中できる。

だが、カプロウィッツ氏は、エージェンシーがそもそもレビューされるのを避けるのに役立つ代替策を追求すべきと確信もしている。MEC(グループエム[GroupM]傘下のエージェンシー、マクサス[Maxus]との合併により現在はウェーブメーカー[Wavemaker])を運営していたあいだ、カプロウィッツ氏は、顧客と協力してチェックインを定期化した結果、担当者を定期的にローテーションし、双方がより頻繁に連絡を取り合うことで合意した。「互いに徹底して率直だったので、実に生産的だった。双方が違う角度から考える、こうした大きな機会が生み出された」。

何十年もそうしてきたアビ・ダン氏のようなピッチコンサルタントの見るところでは、RFPプロセスの本質が最近変化しているが、これは主に、かつてはエージェンシーの役割だった業務のインハウス化をマーケターが推進し続けているためだという。「プロジェクト作業や、比較的短期間での戦術的なレビューではRFPプロセスが増えている、非常に多くの顧客がエージェンシーの役割のインハウス化を進めているので、それがすべてだ。インハウス化したら、リソースをもっと巧みに管理できる」。

目にとまることが最重要

だが結局のところ、レビューの絶え間ない動きが、マーケターの会社の機能不全の結果だったとしても、ダン氏は、マーケターがやり方を変えつつあるとは思っていない。「ほとんどの顧客の場合、新しいエージェンシーを探すのは、感情に動かされた決定だ。優れたコンサルタントなら、レビューの手間を省くことができるだろう。それが我々コンサルタントの価値だ」

カプロウィッツ氏に関する限り、RFPプロセス中のコミュニケーションに役立つという目的のためだけであろうと、コンサルタントには価値があるとも信じている。「検索コンサルタントがいない場合は、エージェンシーがマーケターの目にとまらないことが多すぎる」とカプロウィッツ氏はいう。それに、RFPプロセスを経るのを好む者がいないように、目にとまらないことを好む者もいない。

[原文:Media Buying Briefing: It’s too soon to declare RIP to the RFP, but some are agitating for change

MICHAEL BÜRGI(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:長田真)

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